2011年6月3日金曜日

大学セミナーハウスで考える(1)

月刊誌「みにむ」1997年1月号


1.はじめに-問題意識-
①八王子市にある大学セミナーハウスで、(1996年)11月22日から24日に開かれた第23回国際学生セミナーでは、久しぶりによく勉強させて頂いた。

「転換期の世界」、「アジアにおける日米関係」のメインテーマのもとに、120名の参加者(うち外国人の方40名)が集った。
私の出た「グローバリズムとリージヨナリズム」の演習には24名が参加。演習中は、すべて英語でディスカッションが行われた。

驚いたのは、2名の指導教授はもちろんのこと、参加者の半数以上の方が、ほぼ完壁な英語を駆使し、自分の思うことを思うだけ表現でき堂々と議論ができるということであった。

私を含め残りの方はどうかというと、そこで行われる議論の大半は聞き取れるが、いざ自分の発言となると、思ったことの5分の1も言えず、5分も経つとしどろもどろになっていた。
この差はどこから出てくるか。メンバー全員に聞いてみたら面白いことが判った。

よく自己表現できるグループは、半年以上、正規の留学をしていた。
聞き取りまではよくできるが、よく話せないグループは半年以上の留学がなかったようだ。

早急かも知れないが、ここから推測できることがある。

もし英語のよい使い手になりたかったら、いくら日本で日本人から熱心に英語を日本語で教わっても一向に自己表現能力は身につかないので、せめて半年以上、日本人の余りいない学校に入り英語のみの生活を送り、どんどん英語で表現する以外にない、ということだ。





②それにしても、今の学生はよく勉強する。
事前に、とはいってもわずか一週間前に送られてきた合計100ページにも及ぶ、
同一テーマでの昨年度日本で出版された、
最高レベルであろうと思われるフォーマル・イングリッシュと専門用語だらけの英語の論文を、ほぼ全員が読了済であった。

1ヵ月余り前に参加申し込みをした時点から、図書館にこもり、自ら選択したテーマについて研究したり、ゼミの先生をつかまえて、不明なところを質問攻めにした学生も多いと聞き及んだ。

特に、女子学生は熱心で、全体討論の際にも、マイクを握りしめ熱心に、かつ理路整然と、わかりやすく、ウイットに豊んだ議論を、正確な英語で展開する人が多かった。





③私自身、10月から毎週土曜日は上智大学の社会人コースに通い、国際関係の勉強をさせていただいていることは先月号の「みにむ」にも書かせていただいた。

休み時間に学生食堂(カフェテリア)に行くと、かなりの学生が英語の新聞や雑誌を熱心に読んでいる姿を目にする。
数多くいる外国からの先生方や留学生と、何のてらいもなく、英語で議論しつづける光景も日常的に見られる。

授業の準備にも熱心で、よく予習して出席している。
勉強内容の理解も深まり、試験の準備もかなり前から行うので、よい内容の答案が多いと知り合いになった先生方から聞き及ぶ。




④この「みにむ」をお読みの皆様は、社会人の方々が多いと思われるので、余りお気付きにならない方が多いと思うが、現代の学生は、10年、20年前の学生と比べ、はるかに熱心に勉強に励み、
確実にまた、英語を充分に身につけている
(ちなみに、開倫塾には現在、中学3年生が650名余り在籍しており、実用英語検定3級にはそのうち250名が合格している。準2級合格もその10%以上存在する。
開倫塾を始めさせていただいた18年前には考えられない優秀さである。
30年前は、英検3級合格は各中学校で合計10名はいなかったと記憶している。
大学生のみならず、中学生も20~30年前の学生に比べはるかによく勉強しているといえる。)




⑤日本は憲法第九条に守られて、徴兵制がない。
学校を終った学生が、一瞬間も軍隊に行くことなく、卒業の翌月から仕事に就くことができる、世界でも希有な国である。
その学生のレベルは、今までの日本の歴史上最高であると私は思う。

そこで、私を含め社会人の義務は、そのような第二次大戦の惨禍の結果得られた平和憲法のお陰で1日も軍隊に行かずに済んだ最高レベルの学生に、いかに生き生きと働く環境を提供できるかということだ。
彼らが自分で選んだ職業に誇りを持ち、生き甲斐をもって伸び伸びと働き、生活する環境を整備することが彼らを迎えることではないかと思う。

そんな基本的な作業もしないで、自分が65才を過ぎたから、若者よもっと働いて自分たちの面倒をみよ、と20年後、30年後に言っても、「あなた達はちゃんと私達を社会に迎えてくれましたか」と「不作為責任」(何もしなかったことに対する責任)を問われるのみだ。




⑥前書きが長くなって恐縮だが、ミニ・ミニ・シンク・タンク「開倫総合研究所」は、開倫塾創設20年を2年後に迎えるにあたって、今まで地域の皆様にお世話になったせめてもの恩返しとして、日本の歴史上最も立派に育ってきつつある現代の学生を、心温かく社会人として迎えられるような環境を整備するための、基礎的な研究を行うべく、昨年暮に静かに発足させていただいた。

人間のやることなので、どこまでできるか判らないが、コツコツと、できるだけ地道に基礎的な研究作業を行っていきたいと思う。

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