2012年8月17日金曜日

「勉強とは何か」を考える(5)

---続き
 
第3は、書物(本)や新聞・雑誌、インターネット、TV(映像)や音声(録音したもの)を通じた「勉強」です。
 
(1)日本ほど気軽に本が入手できる国は少ないと私は考えます。
 
どのような地方に行っても郊外型の大型書店チェーンが存在し、日本中のコンビニエンス・ストアで本が取り寄せられ、大都会になればなるほどその中心部では本格的な大書店が激烈な競争状態にあります。
 
ありとあらゆる新刊本、古書がインターネットで入手可能です。
 
出版表現の自由が、日本国憲法21条によって「表現の自由はこれを保障する」と明確に保障されているために、「検閲」や「出版の差止め」はほとんど見られない世界一の自由度と言えます(わいせつ図画は除く)。
 
書物(本)による「勉強」は「勉強」の基本です。
 
日本は、本人の自覚さえあれば、書物を通じての勉強がいくらでも可能な状況にあります。
 
(2)インターネットは、国内だけでなく国外の情報を容易に得ることを可能にしました。
 
マサチューセッツ工科大学(MIT)では、2006年の段階で、2000の開講科目のうち1400科目の授業内容のシラバスや毎回の講義資料、テストとその解答、授業によってはその映像までをも、大学の知を全人類のためにという崇高な理念のもとにオープン・コース・ウェア(Open Course Wear 、 OCW)という名称のもとで、インターネットで全世界に無料配信、2000科目のすべての完全開放を目指しています。
 
このMITが始めた大学授業内容をインターネットで無料配信する「オープン・コース・ウェア」は、全米、全世界に広がりつつあります。
 
日本でも京都大学が中心となり「日本オープン・コース・コンソーシアム」が昨年結成されました。
 
少しずつではありますが、日本の大学の講義内容がインターネットで無料で公開され始めました。
 
私は、2011年のハイビジョン全面導入を境に、日本のすべての教育機関が独自性を高め競争力を増すために自らの生存を懸けて自らの教育内容を「オープン・コース・ウェア」の手法で全面無料公開するようになると確信いたします。
 
世界中でこの動きが一気に加速されますので、日本はもとより世界の「知識状況」は一変します。
 
こと「知識」の分野では、インターネットとこのオープン・コース・ウェアで「国境」は全く無くなり、全面「フラット」化します。
 
この動きを活用できる者と活用できない者との「格差」が、知識基盤社会の最も大きな特徴になると考えます。
 
日本では情報のほとんどは日本語ですが、外国では英語になります。そこで、英語での情報が日本語と同じスピードで読み取れ、日本語と同じスピード・充実度で発信できることが不可欠な能力(コンピタンス)となります。
 
「情報を相互作用的に活用する能力」が求められると言えます。
 
ハイビジョンを活用したインターネットには映像も音声も含まれますので、2011年のハイビジョン全面導入後、どのような形で勉強に取り組むかを今から考えておくことが大切であると考えます。
 
英語の読解能力、とりわけ読解スピードを日本語と同程度までにする訓練を今から積んでおくことが最も肝要と私は考えます。
 
読んで判らない内容は、普通は聴いても判りません。
 
ですから、聞き取りの前提としての英語の読解能力の訓練は重要です。
 
---続く

2012年8月2日木曜日

「勉強とは何か」を考える(4)

―――続き

第2は、国内外の国際会議や報告会も含む様々な講演会、BBL(Brown Box Lunch ブラウン・ボックス・ランチ、茶色い袋(Brown Box)に入れた軽食を食べながらの昼食勉強会)へ参加して「勉強」をしています。

(1)国際会議としては、ダボス会議を主催するWorld Economic Forum(ワールド・エコノミック・フォーラム)が主催するダボス会議の東アジア版である毎年1回のEast Asia Economic Summit(東アジア経済会議)、毎年G7の1か月前にOECD閣僚会議と併行してパリで開かれるOECD Forum(OECDフォーラム)、中国の海南島で毎年開かれるBoao Forum For Asia(ボアオ・フォーラム)などが、私の参加している国際会議の中でも非常にレベルの高いものと言えます。

「雇用」については、毎年6月にベルギーのブリュッセルで開かれるEmployment Week (エンプロイメント・ウィーク)が最も有用と考えます。

「大学等の高等教育」ならば、OECDのIMHE(高等教育管理)プログラムが全精力を傾けてパリを中心に行っている各国での国際会議は目を離せません。

(2)報告会を含む様々な講演会、BBL(ブラウン・ボックス・ランチ)は、様々な主催者が自らの「社会的使命(mission、ミッション)」を果たすために、文字通り「全国各地」で「毎日」のように開催されています。

有料のものもあれば、無料のものもあります。

そこに出掛けて話を聴いたり、議論に参加するのもよい「勉強」です。

日本は世界でも有数の「講演会(勉強会)」の多い国、講演会大国です。

①例えば、東京の青山学院大学の前にある「国際連合大学」や横浜のみなと未来にある「国際連合高等研究所」では、毎月何回か世界や人類の未来を考えるのにふさわしいテーマや講師(ノーベル賞受賞者や各国の代表クラス)による講演会が開かれています。

「国際連合大学友の会」などに年会費を払い会員になると案内が届き、また、ホームページからの情報でも申し込みが可能です。

②他にも、全国の大学、大学院、大学の研究所、専門学校、専修学校など所謂(いわゆる)「高等教育機関」が正規の授業以外で開催する講演会やBBL(ブラウン・ボックス・ランチ)などは非常に多いと言えます。

正式な教育機関であればあるほど、数年前から十分な準備をしてテーマを決め、人選をし、十分な事前の打ち合わせや議論を経て講演会が開催されます。

また、そのときの資料も充実していますので、参加者はよい「勉強」が可能です。

③外務省のシンクタンクである「日本国際問題研究所」や経済産業省のシンクタンクである「経済産業研究所、通称(RIETI リエティ)」でも、毎週のように本格的な国際会議、講演会、BBLを開催しています。

このように、各省庁や自治体など、公共部門やその外郭団体が、自らの「社会的使命(mission、ミッション)」を果たすために開催する講演会は非常に多く、自分で勉強したいテーマさえ明確になっていれば、とても質の高い「勉強」が可能です。

④この他にも、様々な団体がその団体の社会的使命(mission、ミッション)を果たすために講演会やBBL(ブラウン・ボックス・ランチ)のようなカジュアルな勉強会を開催しています。

そこに参加することはよい「勉強」になります。

―――続く