2012年6月27日水曜日

「働く意義」を考える

1.はじめに-「働く意義」を考える-


(1)何のために働くのか-「よく生きるため」-

①生活できるだけの収入を得るため

②仕事を通して「自己実現」するため

Q:「よく生きるため」とは、どのようなことですか。

A:(林明夫:以下省略)「人はみな『よく』生きようとしている」と私は思います。

人間はみなそれぞれに、しかもそれぞれなりに「よく」生きようとしています。

だれもが、それぞれなりに生き方を選んで「よく」生きようとしていると思います。

*(村井実著「みんなに伝えたい教育問答」東洋館出版社、2007年7月20日刊、7ページ)

何のために働くのか、つまり仕事をするのも「よく生きるため」と私は考えます。

Q:「生活できるだけの収入を得るため」とは、どのようなことですか。

A:「よく生きるため」に働くのですから、働いた結果得る収入は、ある程度の金額つまり「生活できるだけの収入」を目指した方がよいと私は考えます。

一人で暮らす場合は「生活できるだけの収入」を一人で得なければなりませんが、生活を共にする家族と暮らす場合には、働く人の合計で「生活できるだけの収入」を目指すべきだと私は考えます。
Q:「仕事を通して『自己実現』するため」とは、どのようなことですか。

A:自己実現というと、大きな夢や理想といった何か特別なもの、日常生活とはかけ離れたものと思われがちですが、自己実現とは本来生活そのものです。

自分の望む人生を、自分の日常生活の中で実現させることが、自己実現だからです。

日々の生活の中で、日々の仕事の中で、努力して問題を一つ一つクリアしていくことで、人は自己実現していきます。

それは自分だけの「人生の成功のキャリア・パス」を作ることです。

そして、キャリア形成に成功している人は、ほとんどの人がこのことをきちんと理解しています。

(*橘・フクシマ・咲江著「人材革命」祥伝社、2007年8月5日刊、15~16ページ)

2.社会で求められる人材とは-人様のお役に立つ人-

(1)「役に立つ」とは、「問題解決」できること。

(2)「問題解決能力」をもつ人が求められる。

Q:社会で求められる人材とは何ですか。

A:人様のお役に立つ人だと私は考えます。

2012年6月22日金曜日

社会に出て働くことの意味を考える

1.学校の勉強は、社会に出て役に立つのか


-役に立つ、学校での勉強や生活はすべて社会で役に立つ-

(1)①「早寝」「早起き」「朝ごはん」、②「欠席」「早退」「遅刻」「忘れ物」「授業中のおしゃべり」「居眠り」なしは、社会に出て役立つ。

<理由>仕事をする上で最も大事なのは、元気に、就業時間前に職場に到着すること。

事件や事故なく終業時間まで勤務すること。

(2)「朝礼」「ホームルーム」「そうじ(特にトイレそうじ)」「学校行事(体育祭、文化祭、遠足、修学旅行)」「~鑑賞」「見学会」などは、社会に出て役立つ。

<理由>仕事をする上で大事なのは、「打ち合わせ(今までの仕事を振り返り、これからのことを話し合うこと)」や「整理整頓」「みんなで物事を成し遂げること」「集団で行動すること」。

(3)「部活動(スポーツや文化活動)」も、社会に出て役立つ。

<理由>①スポーツで大切なのは、ルールの中でプレイをすること。ルールを知ること。

②きたない、見苦しいプレイはしないこと(フェアプレイ)。

③チームプレイ(チームプレイとは、自分に与えられた役割は他人を頼らずに責任を持って果たすこと。仲間を信頼してプレイすること)。

④練習をすればする程上手になることを知ること。

⑤ただし、上には上がいるもので、いつまでも勝ち続ける訳ではないことを知ること。

⑥スポーツを通じ、友だちができること。恩師ができること。いろいろな経験ができること。

(4)学校で勉強する方法(学習方法)は、社会に出て役立つ。

・学習には3段階ある 

①「理解」する段階-「うんなるほどとよくわかること」

②「定着」する段階-「理解」したことが身に付いていること

③「応用」できる段階-「合格点が取れる」「社会に出て使える」こと

この学校での勉強方法は社会に出て役立つ。

「授業中にノートを取ること」も社会に出て役立つ。

<理由>①仕事を覚えるときは、上司や同僚、お客様、ビジネスパートナーなどから教えてもらったことをひらすら「メモ」に取り続け、それを後で「理解」し、身に付け(「定着」させ)、仕事で使えるまでにする必要がある(「応用」)。

②社会で生活する上で「自動車の運転免許」を取る必要があることも多い。

資格が必要な仕事に就くときには、「資格試験」に合格する必要がある。

「資格試験」の勉強は、学校でのテスト勉強と全く同じで、「教科書」を隅から隅まで「理解」し、すべて「定着(身に付け)」させた上で、合格点が取れる(応用)までにしなければならない。

③学校での授業には、「予習」が欠かせない。
 
予習は何のためにするか。
 
教科書に書いてあることを自分自身の力で「理解」し、「理解」できた内容をできるだけ「定着」させることが一つの目標。
 
わからないことをはっきりさせて、問題意識を持って授業に臨むことが二つ目の目標。

2012年6月18日月曜日

大学の生き残り策を考える

Q 岡本薫・政策研究大学院教授によれば、OECD(経済開発協力機構)が1981年秋にパリで開催した「高等教育政府間会議」では、「18歳人口の急激な減少(decline)対策」がもう既に議論されていたようですね。

A (林明夫 以下省略)はい。

岡本先生によれば、この会議を通じて各国の共通理解となった18歳人口急減対策は、後から考えれば極めて単純明快なもので、次のようにまとめられる。

①従来どおりの学生数を維持したいなら、18歳人口急減に伴って当然に生じる新入生の学力低下に対応するため、各大学が補習(remedial program)を実施しなさい。-アメリカ型-

②新入生の学力を従来どおりの水準に維持したいなら、18歳人口の減少率に応じて、各大学の入学定員を削減しなさい。-西欧型-

③ただし、西欧諸国の大学は、新入生の学力を維持するために入学定員を削減していくと、学科によっては「学生定員1名」といった状況になってファカルティの維持が困難になるという問題に直面。

そこで、「大学の質」を重視した「高等教育政府間会議」が提唱した対策は、質の低下をもたらす自国学生の全入ではなく、質の高い「新しい顧客(New Client)」の開拓ということであった。

具体的には2種類の「新しい顧客」が注目されたが、その第一が「社会人」であり、第二が「留学生」である。
Q 興味深い分析ですね。

A 私もそのどおりだと思います。

現実直視のアメリカは、18歳人口が減少しているのに、大学の入学定員を従前のまま維持すれば大学生の学力は低下することを率直に認め、低下し続ける学力不足を補うための補習教育、つまりremedial programを充実してきました。

アメリカで発展しているコミュニティ・カレッジ(community college)などは、remedial programとの真正面からの取り組みと私には思えます。

Q 日本でも、高校時代にほとんど勉強しなかった学力不足の生徒を、定員が不足していることを理由にどんどん入学させてしまうOA入試がさかんであるにもかかわらず、補習教育(remedial program)に手が付いていない大学がまだ存在するようですね。

A 大学経営上、定員を充足するために学力不足の学生を入学させている大学の経営者は、学力不足を補うための補習教育(remedial program)を全学を挙げて行う大学としての社会的責任(CSR)があると私は考えます。

2012年6月11日月曜日

政策提言の積極的発信を

Q:社団法人経済同友会では、記者発表し一度公表した提言について、「政策フォーラム」という形でフォローアップすることをスタートしたそうですね。


A:(林明夫:以下省略)はい。

経済同友会では、毎年4月に開かれる総会の決定に基づき、委員会活動が1年間かけて行われます。

1年間かけて調査・研究し、まとめ上げた政策提言は、幹事会、正副代表幹事会を経て公表、記者発表されます(ホームページでも公表されます)。

そのようにして一度公表された政策提言を政策マーケット関係者(政界、官界、民間、学界、マスコミなど)に積極的に発信することにより、提言内容の理解促進と政策論議の喚起を図るのが、「政策フォーラム」の開催趣旨のようです。

 

 

Q:素晴らしい試みですね。第1回目には何人くらいの参加があったのですか。

A:開催されたのは、2007年10月29日(月)10:00~12:00と月曜日の午前中でビジネスマンにとっては週初めの最も忙しい時刻であったにもかかわらず、開催定員150名のところにほぼ満席の148名の参加でした。

会場は、東京駅丸の内北口の日本工業倶楽部3階大ホールでした。

私は、提言内容を政府関係者と会員・マスコミだけでなく広く知ってもらうしくみを考えてはどうかと年度末に提案させて頂きましたので、どのように開催されるのか気になって、毎週月曜日の午前中は私が議長を努める会社の会議があるのですが、参加させて頂きました。

 

Q:どのような人が参加したのですか。

A:経済同友会会員、各地経済同友会関係者、立法関係者(政党、国会議員-衆議院、参議院-)行政関係者(中央省庁、地方自治体)、学識者、有識者、マスコミ関係者などに事務局はご案内を出したようです。

 
 
 
Q:第1回の「政策フォーラム」は、どのような内容でしたか。


A:「国民の信頼と安心のための年金再生」と題して、2007年4月に策定した提言「活力ある経済社会を支える社会保障制度改革」を踏まえてのフォーラムでした。

 経済同友会社会保障改革委員会委員長門脇英晴・日本総合研究所理事長が提言内容を説明、自由民主党からは党厚生労働部会長の衛藤晟一参議院議員、民主党からは党政調会長代理の長沼昭・衆議院議員がパネリストとして参加。
 
モデレーターは、ジャーナリストの嶌信彦・白鴎大学経営学部教授でした。

2012年6月9日土曜日

自分で解を求める教育をめざして

丸の内北口通信(6)2007年9月5日
斉藤博明TAC株式会社 取締役社長のお話を聴いて考えたこと
 
1.教育の目的は、自分が社会で何をするのかを自分で考えさせること
(1)自立して生きる
(2)努力してまじめに生きる
(3)自分のためだけでなく、他人のため、社会のために役立つように生きる
(4)自分で考える。他人のせいにしない。自分の責任で生きる。
 
2.先生の仕事
(1)社会とどう接点を持つのか(何を仕事として働くのか)を常に生徒に意識させ、考えさせる。本人が自分の能力をどう引き出して社会に適合させるのかに重点を置いて教育をする。
(2)正解のわからない問題を、生徒に考えさせる。自分で解を見つける教育を行う。
(3)そのために、先生は学校以外の世の中のことを知る必要がある。ビジネスとは何か、会社とは何かを理解し、生徒に対して職業についてのアドバイスができなければならない。
(4)先生は、自らカリキュラムが作れ、自分で構想して教材が執筆でき、授業の設計をすることが大事。自分の頭で考えることが大事。先生がものごとを自分の頭で考えずに、生徒に「君達、考えなさい」と言ってもそれは難しい。先生が自らの頭でものごとを考えるようになれば、生徒も考えるようになる。
 生徒は、すぐに先生に追いつくもの。
 
3.会社で働いたことのない人は、先生として採用しない方がよい。10年に1回の免許更新制があるなら、1年間は無給にし、社会に出て自分の力で働いて収入を得て生活する体験をさせるとよい。

2012年6月1日金曜日

公務員(国家公務員、地方公務員)の免職法制の活用を(2)


Q:地方公務員についてはどうお考えですか。

A:『地方公務員法第28条第3項 職員の意に反する降任、免職、休職及び降給の手続き及び効果は、法律に特別の定めのある場合を除く外、条例で定めなければならない』

 

 全自治体の免職に関する条例を自治体倒産の時代に合ったように見直すと同時に、地方公務員に関する免職法を国会で整備することも検討すべきと考えます。

 国家公務員について人事院で規則を制定することが困難であるなら、国家公務員法第78条から「人事院規則の定めるところにより」の文言を削除し、これに変えて「法律の定めるところにより」の文言を入れて国家公務員免職法の整備をすべきと考えます。

 国家財政、地方自治体財政の危機的状況を打開するために、「国家公務員免職法」と「地方公務員免職法」の立法措置をとることを私は提言したく思います。

 公務員の世界に「免職」つまり「失業」の概念を、国家公務員法第78条第4号と地方公務員法第28条第1項第4号を活用して入れることが、「簡素で効率的な(中央・地方)政府」づくりには不可欠と考えます。

 

Q:公務員には、雇用保険つまり失業保険はあるのですか。

A:免職という法制度はあっても、実際に行われることはほとんどありませんでした。公務員には失業という概念もなく、そのためか、公務員の雇用保険つまり失業保険制度はないようです。

 私は、民間企業と同じように、公務員にも免職があり、失業という概念が今後生じるのであれば、雇用保険つまり失業保険制度を早急に検討すべきと考えます。

 公務員の労働基本権の問題を考える前提として、公務員の免職つまり解雇法制の活用と公務員への失業の概念の導入、失業保険の整備について考えました。