2012年12月19日水曜日

新卒就職採用問題の適正化に関する意見

(1)大学だけではなく、短期大学、専門学校、大学院修士課程の学生までが、卒業の1 年半前から会社説明会などのために授業を欠席する状況は、大学等の教育機関の本来の機能を著しく阻害するものと考える。

(2)会社説明会に参加しない学生には採用試験の受験の機会を与えない企業も多いと聞き及ぶが、大問題である。

(3)採用試験を受験する前に、コンピュータを通じてエントリーシート(申し込み書)の提出を求める企業も多い。

企業により書式や回答内容も異なり、作成に1 時間以上要する場合が多いと聞き及ぶ。

多い学生は100 社以上の企業に対してエントリーシートの提出を行うようだが、これに会社説明会への参加が加われば、卒業1 年半前から内定取得までの半年以上の期間は就職活動に忙殺され、大学生等の本来の学業を著しく妨げる原因となっている。

(4)これらに加えて、コンピュータによる基礎能力測定の試験(いわゆるSPI)を課す企業が1 万社近くあり、その準備のために大学等に入学すると同時に特別なプログラムを学ぶ学生も多い。

(5)TOEIC のスコアを求める企業も多いため、多くの大学等では英語の授業としてTOEIC の対策も行っているようだ。

(6)自分で考える力のある学生の育成を企業が大学等に望んでおきながら、このような形で大学教育を大きく阻害している採用活動の現状を放置することは、CSR 上許されるものではない。

(7)企業としてやってよいこと、よくないことを、経済同友会ではこの際徹底的に議論し、具体的な行動を起こすことを提案したい。

p.s
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2012年12月10日月曜日

サービス産業としての生産性向上に向けて

1.はじめに


我々の業界である学習塾をはじめとするサービス産業は、その必要性・需要はあるものの、製造業と比べあまりにもバラツキが多く、その結果極めて生産性が低いところが多い。

我が社もその例外ではない。

そこで、サービス産業としての生産性向上のための取り組みを今後本格的に行いたい。

2.TQM(総合的品質経営)のサービス産業への導入

栃木県内の製造業ではあたりまえの次のTQM の取り組みを一から学び、できるところからすすめることが今年の目標だ。

(1)5S

(2)基礎教育

(3)標準化

(4)日常的方針管理

(5)戦略的方針管理

(6)統計的手法の活用

(7)シックスシグマ

(8)デミング賞

(9)TQM

(10)日本経営品質賞

3.おわりに

(1)あきらめたらおしまい。遠く宇宙から7 年がかりで帰ってきたハヤブサのように、粘り強く、執念をもって企業経営にあたりたい。

(2)生産性の向上により地域の労働参加率(就業率)を少しでも向上させたい。

(3)栃木県経済同友会には、超円高、大消費不況、国際化の中で10 年後の栃木県の発展を見据えた積極的な活動を期待したい。

p.s
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2012年11月28日水曜日

学校の教科書を社会でも活用を(2)

---続き

5.ところで、以前、仙台市の中学校で教職員による公開講座を大々的に実施していた。

講座内容を「お品書き」と称して公開し、成人の学習サークルなどの要望に応じて、校内外で教職員が講義・指導する取り組みである。

また、品川区の中学校では生徒と住民が共に学ぶ「公開講座」に取り組んでいた。

選択教科の数学、国語、英語、音楽の通常授業で、地域住民である高齢者が生徒と机を並べて学習するのである。

共に、住民、特に高齢者に好評だった取り組みである。

最近、鳥取県伯耆町で、聴講生制度を実施している中学校があることを知った。

通常授業に成人が聴講生として加わり、生徒と一緒に学習するユニークな実践である。

このような成人の教科学習は、学校のみならず、公民館などに大いに期待される課題になる。
[コメント]

公民館やコミュニティスクールなどでの社会教育のテキストとして最も活用されるべきは、小学校、中学校、高校などの学校の教科書と教科書に準拠した資料集、問題集であるとかねがね考えていた私にとってこの文章は当に、「我が意を得たり」と高く評価したい。

大学でのリメディアル教育(補習教育)にも小~高校の教科書は有用。「○○基礎」「○○入門」という講座やコースのテキストや参考書はすべて学校の教科書にしたらどうかと思うくらい、日本の学校の教科書の内容は素晴らしい。

学校の教科書は児童・生徒だけに使わせるにはあまりにももったいない。

もっともっと社会でも活用できるよう、書店やインターネットでも販売すべきと考える。

p.s
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2012年11月17日土曜日

学校の教科書を社会でも活用を

1.最近、成人向けの高校教科書が書店に並んでいる。

高校の教科書を若干加工して、成人の教養書として販売しているのである。

日本史や世界史、政治・経済、数学などの教科書が多い。

成人が復習するためであろうが、学習を楽しむためでもある。

2.そういえば、以前、高齢者が孫の教科書を楽しそうに読む姿を見掛けたことがある。

孫に教えるためではなく、面白いから読んでいるのだと言うのである。

自分が中学校の時によく分からなかったことが、今だとよく理解できるから楽しいと言う。

筆者も、中学生や高校生の時代に古典を読んで、何がよいのかさっぱり理解できないまま、内容を覚えた経験がある。

しかし、今になって「論語」や「孟子」を改めて読むと、確かに面白い。

数学などの自然科学分野の教科書も読み返すと、青年期とは違う分かり方ができる。

このことは一般化できる傾向であろう。

3.それでは、なぜ、年を重ねてから教科書を読むと面白いのだろうか。

経験を積むと、物事の具体的認識が豊富かつ多様になり、教科書に書かれた抽象的な内容が具体化できるようになるからである。

古典の文法や数学の公式などを自分の経験に引き付けて、具体的に認識できるのである。

例えば、「1 兆円で何が買えるか」という問いに対して、すぐに答えられる人はほとんどいない。

1兆円を見たことも、使ったこともないため、具体的認識に落とせないからである。

しかし、1000円で買えるものであれば、すぐに答えられる。

1000 円は日常生活で頻繁に見ているし、使ってもいるので、瞬時に具体的認識に引き付けられるからである。

4.石川啄木の歌集「一握の砂」に、「たはむれに母を背負ひてそのあまり軽さに泣きて三歩あゆまず」という有名な一首がある。

この短歌が言わんとすることとその味わいは、老いた親を持つ経験がなければ到底理解できないであろう。

要するに、年齢を重ねると、分からなかったことが分かるようになり、理解が深まるのである。

---続く

p.s
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2012年11月5日月曜日

モラルハザードに陥った日本(3)

---続き

11.しかしその結果、これまでどうしてもできなかった構造改革が急速に進展することがありえるかもしれない。

12.為替が大幅な円安となり、政府の機能も麻痺するので、外国人投資家による日本の底値買いが起きることも考えられる。

特に、優れた科学技術や工業技術、生産管理技術を持つ企業は、海外投資家の草刈り場となるであろう。

しかし、被買収によって外貨資金調達の道が確保されるため、経済活動は息を吹き返す可能性がある。

雇用機会も増える。また、都心の立地条件の良い商業地や地方農村部の使い勝手の良い農地などにも、海外からの企業投資が増大することもありうる。

13.以上のように、日本財政再建の道筋が立たないときには、暴力的ともいえる経済再生シナリオが一挙に浮上することもありえよう。

言い換えれば、もし我々が財政規律を欠けば、短期的・暴力的・過激な市場の嵐に、日本が巻き込まれることになるのだ。

14.これを回避して日本経済の再生を目指すためには、徹底的な歳出削減と、政治活動の規模のダウンサイジングを合わせた、「超緊縮財政」以外に選択肢はないのである。

[コメント] モラルハザードに陥った日本

今日に至る歴代の日本政府の大衆迎合愚民政策、放漫なバラマキ支出がこのまま続いたらどうなるかというシナリオが、わかりやすく示されている。

国民もそれに甘え切り、子孫に膨大な抱え切れないほどの負担を強いている。

誰にでもわかるこのような簡単なシナリオが、なぜ政治家には理解できないのだろう。

政治家も、官僚も、そして、国民も、なぜ日本という国家を破滅の道に歩ませるのだろう。

不思議でならない。

日本は完全にモラルハザードに陥っている。

p.s
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2012年10月27日土曜日

モラルハザードに陥った日本(2)

---続き

6.まず、長期債の暴落(長期金利の急上昇)からはじまり、円安、株安に波及していくと予想される。

国債を大量に保有している金融機関の預金に対する取り付け騒ぎが発生することまで、考えておくべきであろう。

公共事業に依存する企業や借入金過多の企業の株は売られる。

政府保証が付いている中小企業向けの融資についても、将来的な不確実性の高まりは否定できず、想定される倒産確率の変更も不可避となり、企業間信用がパニックに陥る。外国人投資家の日本売りと日本の預金者の外貨買いが殺到するため、為替は「円暴落」となるだろう。

7.日銀は混乱を収拾するため、短期金融市場に大量の資金を供給するという事態に追い込まれる可能性が強い。

すなわち紙幣を大量に印刷して市中にバラ撒く状況である。

人々のインフレ心理に火が付き、国内の物価が急速に上昇する恐れさえも否定できない。

そうなれば、現在の円建ての預金や債券の実質価値も下落する。

8.しかし、「市場の反乱」は同時に、日本再生の、一つの悲しいシナリオを描き出す。

最初に、輸出によって外貨を稼ぐことのできる製造業輸出企業が立ち上がる。

外貨から見ると円は急落し、国内の労働者に支払う賃金も同様の調整を受ける。

こうした、日本の輸出企業の価格競争力の急速な回復を喜ぶべきなのかどうか。

9.アジア通貨危機を経験した韓国が良い例である。

アジア通貨危機の結果、韓国ウォンは急速に下がり、日本円や米ドル建てで評価した韓国内の労働者の賃金は大幅に低下した。

多くの韓国国民は生活水準の低下に苦しむことになった。

しかし、国内の業界再編と企業淘汰が進展した結果、現在の韓国の電機会社、たとえば三星(サムスン)やLG は、日本の国際的な電機メーカーと比較すると、「選択と集中」を強制的に迫られる局面をくぐらされることになった。

価格競争力の回復も見られた。

10.政府はどうなるか。

政府債務は相当分、実質減額となることが考えられる。

年金支給についてはインフレによる目減りは回避できず、社会的な摩擦の種が一挙に撒かれることになる。

年金生活者や高齢者を困窮させることが、どのような社会的影響をもたらすのか、誰も予想できない局面を迎えよう。

---続く

p.s
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2012年10月22日月曜日

モラルハザードに陥った日本

日本経済再生のために最優先で取り組むべきは財政再建である。


厳格な財政規律を欠いたままの財政運営を漫然と続けるならば、「市場の反乱」が起きる可能性が高い。

市場が望む形で財政再建を行うのであれば、徹底的な歳出削減と、政府活動の規模のダウンサイジングを合わせた超緊縮財政以外に選択肢はない。

国際的な比較をすれば、消費税率の15%程度までの引き上げは可能であるが、もし長期金利が現状より3%程度上昇すればそれだけで増税分は借金の利払い費用に消えるため、財政再建は進まない。

1.日本経済が再び持続的成長経路を発見するために、最優先でやらなければならないことは財政再建である。

財政収支の改善見通しもなく、規律に欠ける財政運営を漫然と続けるならば、この先2015 年までのどこかで、「市場の反乱」が起きる可能性が高い。

2.「市場の反乱」とは、市場規律や市場メカニズムを無視するような形で長期間にわたり形成されてきた相場の歪みに対して、経済の本当の実力、すなわちファンダメンタルズ(基礎的諸条件)ゆがを反映するような本来の相場水準を「回復」すべく、市場メカニズムが突如覚醒することを指す。
3.「市場の反乱」は暴力的であり、過激な形で生じる。

したがって、反乱が収束しても「バブル崩壊」という表現が使われることが多い。

日本の場合は、国債バブル、すなわち高過ぎる債券価格・低過ぎる長期金利を一気に是正する圧力がかかる可能性がある。

4.「市場の反乱」の特徴が暴走や混乱と異なるのは、国債バブルが崩壊した後のシナリオがそれなりに描かれている点である。

持続性のある適正な相場水準と、現在の行き過ぎて歪んだ相場水準との間の価格差を、狙撃するものだからだ。

価格発見機能や価格メカニズムによる効率的な資源配分機能を取り戻そうとして、蓄積したマグマが噴出する、市場の自律的な動きであるともいえよう。

5.それでは日本国債に対して「市場の反乱」が起きたとすればどうなるか。   ---続く   p.s 開倫塾では中学3年生の高校入試のための「合格必勝パック」を全国販売しております。 詳しくはこちら

2012年10月13日土曜日

「勉強とは何か」を考える(10)

---続き

(2)仕事上の知識を身に付けるのに教科書は普通ありません。

上司、同僚、顧客、ビジネスパートナー、地域社会の皆様から教えて頂いたものをどのように身に付けるかが大事です。

私の提案は、仕事の上で必要と思われることはひたすら「メモ」を取り続けること。

取った「メモ」をスミからスミまで何回も何十回も繰り返し読み、すべて確実に身につけることです。


(3)こま切れの時間を活用して、本をたくさん、ゆっくり時間をかけて読むこと。これはという本は5~6回読み返すこと。

読んでいて「ここは大事」と思ったところには「傍線」を引いておくこと。

印象も考えておくこと。

お気に入りのノートを「書き抜き読書ノート」とし、本を読んで大切と思ったことや心に触れたことを一行でも二行でも書き抜いておくこと。

「書き抜き読書ノート」に書き抜いた内容を、折に触れて何回も何回も読み直し、自分自身のものにすることをお奨めします。

(4)新聞を1日に1時間以上読んで考える習慣を身に付けること。

日本語で読んだ新聞の中でよく内容のわかった記事について、英字新聞でも1日1時間以上読んで考える習慣を一日も早く身につけること。

余程気になる語句以外は辞書で引かないこと。

「ヘラルドトリビューン」か「フィナンシャル・タイムズ」を、日本語の新聞を読んだ後に読むこと。

どうしても大変なら「NIKKEI WEEKLY(ニッケイ・ウィークリー)」を一週間かけて読むことも役に立ちます。

(5)「休みの日」を利用して「ベストプラクティスのベンチマーキング」に出掛けること。

これぞと考えるベストプラクティスを志を、同じくした社内外の仲間と礼を尽くして訪問することを月に1~2回継続して行うこと。

1日1回は心静かに机の前に座り、その日1日をふり返ること。

週に1日は楽しいことをして、ストレスを次の週にためないこと。

学校時代の友達や卒業後知り合った友達に時々会い、友情をあたためること。

人と会ったときは、その人の悪いところは一切見ず、よいところだけを見ること。

自分のよさを伸ばすこと。(欠点は少しずつ直すこと)

《6.勉強においてあなたが心掛けていることは何ですか。》

Q:勉強においてあなたが大切にしていることは何ですか。

A:「一生勉強、一生青春(足利在住の書家相田みつを先生のことば)」、「教育ある人とは勉強し続ける人(ドラッカー先生)」という考えが、「いつまでも若々しく生きる(中村天風先生)」、一生涯よく生き続けるために大切と考えて毎日を過ごしています。

p.s
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2012年10月3日水曜日

「勉強とは何か」を考える(9)

---続き

ドラッカーやコトラー、マイケル・ポーターなど各先生の著作は、本格的に腰を落ち着けて読めば読むほど実効性が高いことがわかります。

消費者保護法、個人情報保護法、会社法や労働法、独占禁止法などをはじめとするビジネス法規の無知は許されません。

製造業では、ISOの取得がなければ取引すらできない場合がありますので、経営者はその骨格を知る必要があります。

株式を公開したり、上場している会社では「内部統制」のしくみが十分整えられる必要があり、経営者としての専門的教養として、内部統制の知識は不可欠です。


Q:「経営者としての専門知識」とは何ですか。

A:まずは、その会社の業務内容を、顧客や地域社会、ビジネスパートナーにわかりやすく説明できるレベルまですべて熟知すること。

経営トップとして、会社の企業ドメイン(事業領域)、競争状況、財務状況、組織上の問題点、各事業別の問題点、人事の問題点を熟知すること。

これから新商品、新技術、新販路、新業態をどう開発するかについてリーダーシップが発揮できるだけの専門知識が経営者としては求められます。
Q:今後、林さんが勉強すべきだと自覚しているテーマは何ですか。

A:第1は、「サービス産業の生産性の向上のために製造業から学べることは何か」です。

日本の製造業と比べ、日本のサービス業の生産性は極めて低いと大きな問題となっています。

「2010年までに日本のサービス産業の生産性を現在の1.5倍にする」と政府の骨太方針にも記された程であります。

人口減少社会の影響を受け続けている学習塾も他のサービス業と同様、生産性が低く、教職員の待遇改善も十分にできない状況が続く学習塾も多いのが現状です。

開倫塾でも早急に生産性向上の取り組みが求められていますので、私の取り組むべき最大のテーマは、サービス産業における生産性の向上を製造業から学ぶことであります。

第2は、開倫ユネスコ協会の設立基本理念であり、来秋国立宇都宮大学国際学部で講義を担当する「人間の安全保障」についての勉強を深めることであります。

第3は、OECD(経済協力開発機構)のIMHE(高等教育管理)プログラムのメンバーにならせて頂いておりますので、OECDのIMHEを中心として大学等の高等教育機関の経営についての勉強を深めることです。

大学コンソーシアムとちぎの研究員としてレポートをすると同時に、開倫塾でスタートしようとしている企業内教職専門職大学院2010年スタートに向けた準備のために、この第3の勉強は私にとり必要不可欠と考えています。

《5.若きビジネスマンに勉強に関して助言されたいことを5つ程リストアップして下さい。》

Q:若いビジネスマンが勉強するとき気をつけた方がよいことは何でしょうか。

A:(1)小学校や中学校、高校、大学、大学院、専門学校、専修学校、学習塾、予備校などで勉強したときに使った教科書や参考書、ノートは、大事な宝物として確実に保存した上で、折に触れて読み直し、社会人としての生活に役立てて下さい。

ありとあらゆる仕事は、学校での勉強の上に成り立っています。   仕事の基礎はすべて、学校の教科書や参考書、ノートの中にあります。   切角、保護者の皆様のお陰で学校での勉強をなさったのですから、学校での勉強を大切に大切にして頂き、その上に仕事上の知識を身に付けて下さい。  

---続く 

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2012年9月17日月曜日

「勉強とは何か」を考える(8)


---続き

(3)更に、その内容を他人に伝えた方がよければ、わかりやすいことばで説明をし、伝えるためにはどうしたらよいかを考えること。

他人のために伝えようと考えたことを文章にしておくことも有用です。そのとき大事なのは、次の孔子の教えです。

「論語」に、「曽(そう)子(し)曰(い)わく、吾(われ)、日に三たび吾が身を省(かえり)みる。

人の為(ため)に謀(はかり)りて忠(ちゆう)ならざるか。

朋友(ほうゆう)と交わりて信ならざるか。

習わざるを伝(つと)うるか。

(通釈)孔子の門人の曽子が言った。

私は一日の中で何回も何回も主として次の点について反省する。

一つは、他人のために相談に乗った時、ほんとうに誠意をもって考えてやったか、ということ。

二つは、友達との交際において、信義を尽くさないことはなかっただろうか。

そして、三つには、まだ自分の知識として完全に消化されていない事がらを、他人に教え伝えはしなかっただろうか、と。」(四-四)とあります。

*前掲書、4~5ページより引用。

孔子の教えにあるように、自分でよくわからないことは伝えないことが、相手のことをよく考えれば当然であります。

《4.経営者あるいは経営幹部として活躍し続けるために今勉強されているテーマは何でしょうか?今後勉強すべきだと自覚されているテーマは何でしょうか?3つ程あげて下さい。》

Q:経営者あるいは経営幹部としての勉強にはどのようなものがあるとお考えですか。
A:経営者としての「一般教養」、経営者としての「専門的教養」、経営者としての「専門知識」、この3つだと私は思います。

Q:経営者としての「一般教養」とは何ですか。
A:人間とは一体何なのか、人間の幸せとは一体何なのか。

人は何のために生きるのか。人類はどのような歴史をたどって現在に至ったのか。

日本は、この地域は、これまでどのような状況で、これからどうなるのか。

日本をとりまく国々は現在どのような状況なのか。これからどうなるのか。

とりわけ、地域紛争は、戦争はどのような状況か。

日本、アジア、世界の経済状況はどのようになっているのか。当地の経済状況はどうなっている
か。

日本の財政、少子高齢化、人口減少、外国政策、消費税の動向はどうか。為替の状況。円高が進めば進むほど増える失業の状況。

要するに、世界や日本の歴史・地理・哲学・思想などをふまえ、日本経済新聞に書いてある程度のことがよく「理解」できるか否かが経営者としての「一般教養」の目標かもしれません。

併せて、日刊紙「ヘラルドトリビューン」「フィナンシャル・タイムズ」やロンドンで編集されている週刊経済誌「The Economist(エコノミスト)」が読みこなせるレベルが、経営者としての「一般教養」の目標かもしれません。

Q:「経営者としての専門的教養」とは何ですか。

A:チェーン展開(多店舗展開)するのに、チェーンストア理論を知らないでするのは、戦いに行くのに武器なしで行くのと同じで、負けははじめから決まっています。

会社が大きくなっているのに、「財務」、「マーケティング」や「戦略論」を知らないのでは話にもなりません。

---続く 

p.s
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2012年9月10日月曜日

「勉強とは何か」を考える(7)

---続き

その分野の「師匠」、「大家」の先生の教えは、はじめの数年間は別世界、もっといえば宇宙の言葉を聞いているようですが、だんだん慣れてきますと、例えば10~15年くらいたつと霧が晴れたように「ああ、あれはそういうことだったのか」と、「ジワーッ」とわかってくることが多いようです。

ただ、頭でいくらかはわかっても、実際にそれが実行できるまでにはもう5~10年くらいはかかるのが普通です。

なぜなら、頭ではわかっても、しくみがなかなかでき上がらないからです。

その道の「大家」、「師匠」の教えが実行できるまでには、早くて15年、普通20年~25年かかるのではないかと考えます。

ただ、時間はかかっても、その道の「大家」「師匠」の下に就くのと、そうでない人の下で学ぶのとでは雲泥の差が生じます。

第3は、「励まし合う仲間」を一人でも多くもつことです。

「勉強」は「一所懸命」になればなるほど辛いものです。

その辛さ、ストレスのために、勉強を途中で中断する人は山ほどいます。

そこで大切なのが「励まし合う仲間」を一人でも多くもつことだと思います。

様々な勉強会に行き、心と心が触れ合った人とちょっとの間だけでも立ち話をしたり、時間があったら食事をしたり、お茶を飲むこと。

できれば、行き帰りを一緒にしてその間に話をすること。

もっと親しくなったら、相互に訪問し合い、率直に意見交換をすることが「勉強」を進める上で大事です。

例えば、高井伸夫先生の主宰する「東京高井倶楽部」のメンバーは、高井伸夫先生を囲んでの勉強会が終了後、近くのカフェでソフトドリンクを飲みながら、近況報告をし、お互いの悩みを打ち明けたり、これからどうするかを親しく話し合っています。

「励まし合う仲間」を高井先生によって作ってもらえたと喜び感謝しています。

第4は、自分自身で勉強会を主宰し、志を同じとする人をたとえ数名でも集めて、定期的にお互いの勉強を深めることです。

例えば、開倫塾では1997年より経営品質について研究をし、日本経営品質賞を目指した取り組みをスタート。

地方版ではありますが、教育機関としては日本で初めて2002年に栃木県経営品質賞知事賞を受賞しました。

教育機関で経営品質の勉強をするところはないかと探しましたが、見い出すことができませんでしたので、受賞後、全国の教育機関の中で経営品質の勉強をしたい人を募り「教育経営品質研究会」を立ち上げ(2003年度)、毎年10回位勉強会を開催しています。

2007年度で4年目に入りました。

10名内外の小さな研究会ですが、メンバー同志が相互訪問をしたり、昨年よりその研究会のメンバーが中心となって、年1回先生方の授業の腕を競う「全国模擬授業大会」を開催するに至りました。

2008年度は、日本の学習塾や予備校にあたる韓国の「学院」の先生方にも日本の先生の授業を見て頂く計画をしています。

第5は、勉強した内容を自分なりによく「理解」し、その内容を「身に付ける」、つまり「定着」させて、実際の生活や活動、仕事に「役立てる」ことです。

(1)よく理解するためには、厚目のノート・ブックに勉強している内容の「メモ」を取り続けること。

取った「メモ」や勉強会等で配付された資料に十分目を通して「理解」したり、必要な内容を「定着」(身に付ける)するための「時間」が必要と考えます。

昼間の空いている時間、夜の1時間や早朝の1時間は、勉強した内容の「理解」と「定着」のための時間とすることが大切だと考えます。

(2)同時に、「理解」「定着」した内容を「自分の頭でまとめること」、まとめ上げたことをできるだけ簡単な文章にして残しておくこと。

そのまとめ上げた文章を何回も何十回も読み直し、どうしたらよいかを考え抜くことも大切かと思います。

---続く

p.s
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2012年9月5日水曜日

「勉強とは何か」を考える(6)

---続き

第4は、旅行です。

人は、国内・国外を問わず様々な場所を訪れることにより、多様性(自分と異なった文化、言語、価値観をもった人々が存在し、生きていること)を知ることができます。

自分と自分と共に生きている人を大切にするように、旅行中に訪れる地の人々も、自分自身と共に生きる人たちを大切にしていることを知ることで、「寛容」とは何か、「寛容な心」の大切さを学ぶことができます。

第5は、少人数、できれば1対1で議論することです。

10名までの少人数の勉強会は非常に有用です。

とりわけ1対1、つまり2人での「対話」は、「本格的な勉強」のためには有用と考えます。

第6は、以上第1から第5の「勉強」をふまえて、ものごとの本質を自分の頭で考える自分自身での自問自答、「自分自身との対話」が最も「勉強」になる方法と確信いたします。

Q:勉強の成果を上げるためにどのような工夫をしていますか。5つ程あげて下さい。

A:第1は、まずはその分野で日本で最高の勉強ができる場所、できれば全世界で最高の勉強ができる場所を探し当て、そこで開かれる勉強会に積極的に参加することです。
例えば、私は「マニー株式会社」の「社外取締役」に3年前に就任しました。
その7年前の1997年より、企業統治(コーポレート・ガバナンス)の勉強をしていました。
企業統治(コーポレート・ガバナンス)の勉強をするのに世界で最もよいと思われる団体が、ICGN(International Corporate Governance Network、インターナショナル・コーポレート・ガバナンス・ネットワーク)であることを知りました。
その後、日本で世界大会が開催されたとき会議に参加させて頂いて以来、会員になっております。
日程の都合で世界大会や会合には余り出席はできませんが、郵便やe-mailで配信されてくるICGからの最新の情報は、できるだけ目を通しています。
来年の2008年には、6月にソウルで世界大会があるので、是非参加しようと考えています。
日本でのコーポレート・ガバナンスの勉強は、①「日本コーポレート・ガバナンス・フォーラム」、②「日本取締役協会」、③「全国社外取締役ネットワーク」などが盛んなようです。
私は①と③に入会し、時間が許す範囲で参加しています。
特に③の「全国社外取締役ネットワーク」は、大規模、中規模の勉強会の他に、5~6名の少人数での意見交換を目指すグループでの活動が頻繁に開催されて、社外取締役としての実務上の「勉強」に役立っています。
第2は、その分野での「師匠」、「大家」と呼ぶに値する先生を探し当て、その先生が主宰する勉強会に何をおいても参加させて頂くことです。
例えば、開倫塾はチェーンでの校舎展開を目指しておりますので、チェーンストア理論に基づいた経営が求められます。
日本でのチェーンストア理論の権威は渥美俊一先生ですので、私は渥美俊一先生の主宰するペガサスクラブに入会させて頂き、渥美先生の御著書をできるだけ読むと同時に、ペガサスセミナーにできるだけ参加させて頂いています。
また、ペガサスクラブの速記録で公刊されているものは、できるだけ買い求め、手元に置き、何回も読み返しています。
同時に、ペガサスクラブで教えを受けた講師の先生(例えば、川崎進一先生、会田玲司先生、武川先生)の本もできるだけ買い求め、読み進めると同時に、先生方の勉強会、例えば会田玲司先生の主宰する日本ホームセンター研究所の会員になり、その勉強会にも参加しています。
---続く
p.s
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2012年8月17日金曜日

「勉強とは何か」を考える(5)

---続き
 
第3は、書物(本)や新聞・雑誌、インターネット、TV(映像)や音声(録音したもの)を通じた「勉強」です。
 
(1)日本ほど気軽に本が入手できる国は少ないと私は考えます。
 
どのような地方に行っても郊外型の大型書店チェーンが存在し、日本中のコンビニエンス・ストアで本が取り寄せられ、大都会になればなるほどその中心部では本格的な大書店が激烈な競争状態にあります。
 
ありとあらゆる新刊本、古書がインターネットで入手可能です。
 
出版表現の自由が、日本国憲法21条によって「表現の自由はこれを保障する」と明確に保障されているために、「検閲」や「出版の差止め」はほとんど見られない世界一の自由度と言えます(わいせつ図画は除く)。
 
書物(本)による「勉強」は「勉強」の基本です。
 
日本は、本人の自覚さえあれば、書物を通じての勉強がいくらでも可能な状況にあります。
 
(2)インターネットは、国内だけでなく国外の情報を容易に得ることを可能にしました。
 
マサチューセッツ工科大学(MIT)では、2006年の段階で、2000の開講科目のうち1400科目の授業内容のシラバスや毎回の講義資料、テストとその解答、授業によってはその映像までをも、大学の知を全人類のためにという崇高な理念のもとにオープン・コース・ウェア(Open Course Wear 、 OCW)という名称のもとで、インターネットで全世界に無料配信、2000科目のすべての完全開放を目指しています。
 
このMITが始めた大学授業内容をインターネットで無料配信する「オープン・コース・ウェア」は、全米、全世界に広がりつつあります。
 
日本でも京都大学が中心となり「日本オープン・コース・コンソーシアム」が昨年結成されました。
 
少しずつではありますが、日本の大学の講義内容がインターネットで無料で公開され始めました。
 
私は、2011年のハイビジョン全面導入を境に、日本のすべての教育機関が独自性を高め競争力を増すために自らの生存を懸けて自らの教育内容を「オープン・コース・ウェア」の手法で全面無料公開するようになると確信いたします。
 
世界中でこの動きが一気に加速されますので、日本はもとより世界の「知識状況」は一変します。
 
こと「知識」の分野では、インターネットとこのオープン・コース・ウェアで「国境」は全く無くなり、全面「フラット」化します。
 
この動きを活用できる者と活用できない者との「格差」が、知識基盤社会の最も大きな特徴になると考えます。
 
日本では情報のほとんどは日本語ですが、外国では英語になります。そこで、英語での情報が日本語と同じスピードで読み取れ、日本語と同じスピード・充実度で発信できることが不可欠な能力(コンピタンス)となります。
 
「情報を相互作用的に活用する能力」が求められると言えます。
 
ハイビジョンを活用したインターネットには映像も音声も含まれますので、2011年のハイビジョン全面導入後、どのような形で勉強に取り組むかを今から考えておくことが大切であると考えます。
 
英語の読解能力、とりわけ読解スピードを日本語と同程度までにする訓練を今から積んでおくことが最も肝要と私は考えます。
 
読んで判らない内容は、普通は聴いても判りません。
 
ですから、聞き取りの前提としての英語の読解能力の訓練は重要です。
 
---続く

2012年8月2日木曜日

「勉強とは何か」を考える(4)

―――続き

第2は、国内外の国際会議や報告会も含む様々な講演会、BBL(Brown Box Lunch ブラウン・ボックス・ランチ、茶色い袋(Brown Box)に入れた軽食を食べながらの昼食勉強会)へ参加して「勉強」をしています。

(1)国際会議としては、ダボス会議を主催するWorld Economic Forum(ワールド・エコノミック・フォーラム)が主催するダボス会議の東アジア版である毎年1回のEast Asia Economic Summit(東アジア経済会議)、毎年G7の1か月前にOECD閣僚会議と併行してパリで開かれるOECD Forum(OECDフォーラム)、中国の海南島で毎年開かれるBoao Forum For Asia(ボアオ・フォーラム)などが、私の参加している国際会議の中でも非常にレベルの高いものと言えます。

「雇用」については、毎年6月にベルギーのブリュッセルで開かれるEmployment Week (エンプロイメント・ウィーク)が最も有用と考えます。

「大学等の高等教育」ならば、OECDのIMHE(高等教育管理)プログラムが全精力を傾けてパリを中心に行っている各国での国際会議は目を離せません。

(2)報告会を含む様々な講演会、BBL(ブラウン・ボックス・ランチ)は、様々な主催者が自らの「社会的使命(mission、ミッション)」を果たすために、文字通り「全国各地」で「毎日」のように開催されています。

有料のものもあれば、無料のものもあります。

そこに出掛けて話を聴いたり、議論に参加するのもよい「勉強」です。

日本は世界でも有数の「講演会(勉強会)」の多い国、講演会大国です。

①例えば、東京の青山学院大学の前にある「国際連合大学」や横浜のみなと未来にある「国際連合高等研究所」では、毎月何回か世界や人類の未来を考えるのにふさわしいテーマや講師(ノーベル賞受賞者や各国の代表クラス)による講演会が開かれています。

「国際連合大学友の会」などに年会費を払い会員になると案内が届き、また、ホームページからの情報でも申し込みが可能です。

②他にも、全国の大学、大学院、大学の研究所、専門学校、専修学校など所謂(いわゆる)「高等教育機関」が正規の授業以外で開催する講演会やBBL(ブラウン・ボックス・ランチ)などは非常に多いと言えます。

正式な教育機関であればあるほど、数年前から十分な準備をしてテーマを決め、人選をし、十分な事前の打ち合わせや議論を経て講演会が開催されます。

また、そのときの資料も充実していますので、参加者はよい「勉強」が可能です。

③外務省のシンクタンクである「日本国際問題研究所」や経済産業省のシンクタンクである「経済産業研究所、通称(RIETI リエティ)」でも、毎週のように本格的な国際会議、講演会、BBLを開催しています。

このように、各省庁や自治体など、公共部門やその外郭団体が、自らの「社会的使命(mission、ミッション)」を果たすために開催する講演会は非常に多く、自分で勉強したいテーマさえ明確になっていれば、とても質の高い「勉強」が可能です。

④この他にも、様々な団体がその団体の社会的使命(mission、ミッション)を果たすために講演会やBBL(ブラウン・ボックス・ランチ)のようなカジュアルな勉強会を開催しています。

そこに参加することはよい「勉強」になります。

―――続く

2012年7月18日水曜日

「勉強とは何か」を考える(3)

---続き

Q:例えばどういうことですか。


A:(1)私は、開倫塾という学習塾を創業し、皆様のお陰で今では6000名以上の塾生をもつ学習塾になりました。

開倫塾で働く人々は400名に迫ろうとしています。その経営者としての社会的使命を果たすためには、「中堅会社」の経営者としての勉強が求められます。

また、マニー株式会社の社外取締役を務めますので、製造業やマニー株式会社について学ぶと同時に、社外取締役にとって必要な勉強も少しずつしております。(1枚目の「びょうぶ」)

(2)次に私は、経済団体の一員としての活動をしていますので、各々の経済団体のもつ社会的使命(mission、 ミッション)達成のために、一人のメンバーとして勉強をしています。

経済団体から派遣され、栃木県や宇都宮市の教育委員会の審議会等の委員を委嘱されていますので、その委員会の委員としての社会的使命を果たすための勉強をしています。

また、とちぎニュービジネス協議会の政策委員長をおおせつかっていますので、その使命を果たすための勉強も少しずつ積み重ねています。(2枚目の「びょうぶ」)

(3)第3に、私は人間の安全保障の促進を設立の理念として発足した「開倫ユネスコ協会」の設立メンバーとしてユネスコ活動をし、ユネスコや人間の安全保障の勉強をしています。

2008年秋からは、国立大学法人宇都宮大学国際学部で「人間の安全保障」の講座を担当する予定ですので、そのための勉強も少しずつ重ねています。(3枚目の「びょうぶ」)

(4)第4に、私はCRT栃木放送でラジオ番組「開倫塾の時間」を毎週1回担当し、21年目に入りました。

また、開倫塾の月刊誌の巻頭言を担当し、20年目になります。地元の月刊ミニコミ誌「みにむ」の連載に続いて、2年半前より、月刊誌「私塾界」の連載を担当させて頂いています。

放送内容も含め、コラムの執筆のための「勉強」も欠かせません。(4枚目の「びょうぶ」)

*まとめてみますと、私の勉強は次のようになります。私は「4枚びょうぶ型人生」を目指しています。

①経営者を目指しての勉強

②ビジネス・ステーツマン(財界人)を目指しての勉強

③社会教育家を目指しての勉強

④コラムニストを目指しての勉強

これらはすべて関連し、すべて社会的使命(mission、ミッション)の達成のための「勉強」となります。

私自身が「よく」生きるための「勉強」と言えます。

《2.どのような方法で勉強されていますか。5つ程あげて下さい。》

Q:どのような方法で林さんは勉強していますか。

A:第1は、所属する会社や団体の勉強会への参加です。例えば、会社や、経済団体等で開かれる勉強会、ユネスコ等の社会活動の勉強会など、所属する団体が主催する勉強会にはできるだけ積極的に参加しています。
 
例えば、東京の経済同友会の委員会では、その分野で著名な学者や官僚、政治家、有識者や実務家を続々と講師として招き、講義後、参加している委員との本格的なディスカッションをしたり、その調査・研究の成果を提言にとりまとめて政府等の関係者に提言書として提出することが多々あります。
 
このような「勉強会」は、自分自身が主催団体のメンバーであり、勉強会も運営していますので、主体的に取り組んでいる関係で非常に有益です。
 
---続く

2012年7月13日金曜日

「勉強とは何か」を考える(2)

---続き

(6)年齢に応じて「よく生きる」ために勉強することも大切です。


①参考になるのが、孔子の教えを書き伝えた「論語」の「為政第二」。

「子日わく、吾十有五にして学に志す。三十にして立つ。四十にして惑(まど)わず。

五十にして天命を知る。

六十にして耳順(したが)う。

七十にして心の欲する所に従えども矩(のり)を踰(こ)えず」

(通釈)孔子が言った。私は十五歳で学問に志し、三十歳で、思想も、見識も確立した。

四十歳で心の惑いもなくなり、五十歳で、天から与えられた使命を自覚した。

六十歳で、何を聞いても耳にさからうことがなくなり、七十歳になると、自分の欲望のまゝに振舞っても、その行動が道徳からはずれることはなかった。

*須永美知夫著「論語抄」(第3版)足利市教育委員会(史跡足利学校事務所)、平成15年9月1日発行、9~10ページより引用。

②15歳までにする勉強、30歳までにする勉強、40歳までにする勉強、50歳までにする勉強、60歳までにする勉強、70歳までにする勉強の内容が充実していてはじめて、孔子の言う状態になります。

そのためには、

ア15歳までに「学問に志す」だけの勉強をすること。

イ30歳代までに「思想や見識を確立する」だけの勉強をすること。

ウ40歳代までに「心の惑いがなくなる」だけの勉強をすること。

エ50歳代までに「天から与えられた使命を自覚する」だけの勉強をすること。

オ60歳代までに「何を聞いても耳にさからうことのない」だけの勉強をすること。

カ70歳代までに「自分の欲望のままに振舞っても、その行動が道徳からはずれることがない」だけの勉強をすること。

(7)私は、「びょうぶ型人生」を目指して勉強することも、「よく」生きるためには大切かと考えます。

①「びょうぶ型人生」とは、人生のびょうぶを何枚かに設定して、そのびょうぶをしっかり立て、「よく」生きるために勉強するものです。

②例えば、1枚目は「仕事」、2枚目は「趣味」のスポーツ、3枚目は「ボランティア活動」、4枚目は「執筆活動」というように、1つ1つのびょうぶはそれぞれの「勉強」を積み重ねてはじめて充実する。

1つ1つのびょうぶの内容は異なるものだが、同一人物がやるものなので、高さや、厚みを調整するというバランスも必要。

Q:林さんは何のために勉強しているのですか。

A:私ですか。

私は、私に与えられた「社会的使命(mission、 ミッション)」を少しでも全うするため、果たすために勉強しています。

---続く

2012年7月6日金曜日

「勉強とは何か」を考える

《1.何のために勉強されていますか。》


Q:人は何のために勉強していると考えますか。

A:(林明夫:以下省略)よく生きるためだと私は考えます。

(1)「人は皆『よく』生きようとしています。人間は人間である限り、いつでも、どこでも、だれでも、どういうことがあっても、一人ひとりが例外なく、それぞれに『よく』生きようとしているのです。」

*村井実著「みんなに伝えたい教育問答」東洋館出版社、2007年7月20日刊、6~8ページより引用。

人はよく生きるために勉強するのだと私は考えます。

(2)人はよく生きるために仕事をします。

「人は何のために働くか」といえば、「生活できるだけの収入を得るため」と「仕事を通して自己実現するため」と私は考えます。

このような仕事のことを「ディーセント・ワーク(Decent Work、 ちゃんとした仕事、きちんとした仕事、適正な仕事)」と言うのだと私は考えます。

この「ディーセント・ワーク」に就くためには、「勉強」して「雇われる能力(employability エンプロイアビリティ)」を身に付ける必要があります。

(3)「雇われる能力(エンプロイアビリティ)」には、レベルに応じて4段階あります。

①経営者(トップマネジメント)としての雇われる能力(エンプロイアビリティ)

②中堅幹部(ミドルマネジメント)としての雇われる能力(エンプロイアビリティ)

③現場の管理者(ロワーマネジメント)としての雇われる能力(エンプロイアビリティ)

④一般社員としての雇われる能力(エンプロイアビリティ)

1つ1つの段階の「雇われる能力(エンプロイアビリティ)」を身に付け、「ディーセント・ワーク」をめざして、人は「勉強」し続ける必要があります。

(4)この「雇われる能力」は「強化」し続ける必要があります。

「能力強化」を英語では「empowerment(エンパワーメント)」と言いますが、このempowermentには、もう一つ「権限委譲」という意味があります。

つまり、「能力強化」されてはじめて「権限委譲」がなされるということです。

「能力強化」が果たされなければ「権限委譲」はないということを、この「empowerment(エンパワーメント)」ということばは教えてくれています。

そのために「勉強が必要」なのだと考えます。

(5)「トップマネジメントとしての雇われる能力(エンプロイアビリティ)」にも、いくつかの段階があります。

①大会社のトップとしてのマネジメント

②中会社のトップとしてのマネジメント

③小会社のトップとしてのマネジメント

④零細会社のトップとしてのマネジメント

零細から小へ、小から中へ、中から大へと会社の規模が変わる毎に、それなりの勉強が求められます。
 
(零細会社はセスナ、小会社は中型飛行機、中会社はジャンボジェット機、大会社はロケットなど、乗り物により求められる免許状や飛行技術が全く異なるのと同様に、会社の規模によりトップマネジメントとして雇用される能力(エンプロイアビリティ)が異なり、その都度「勉強」をし直す必要があります。)
 
---続く

2012年6月27日水曜日

「働く意義」を考える

1.はじめに-「働く意義」を考える-


(1)何のために働くのか-「よく生きるため」-

①生活できるだけの収入を得るため

②仕事を通して「自己実現」するため

Q:「よく生きるため」とは、どのようなことですか。

A:(林明夫:以下省略)「人はみな『よく』生きようとしている」と私は思います。

人間はみなそれぞれに、しかもそれぞれなりに「よく」生きようとしています。

だれもが、それぞれなりに生き方を選んで「よく」生きようとしていると思います。

*(村井実著「みんなに伝えたい教育問答」東洋館出版社、2007年7月20日刊、7ページ)

何のために働くのか、つまり仕事をするのも「よく生きるため」と私は考えます。

Q:「生活できるだけの収入を得るため」とは、どのようなことですか。

A:「よく生きるため」に働くのですから、働いた結果得る収入は、ある程度の金額つまり「生活できるだけの収入」を目指した方がよいと私は考えます。

一人で暮らす場合は「生活できるだけの収入」を一人で得なければなりませんが、生活を共にする家族と暮らす場合には、働く人の合計で「生活できるだけの収入」を目指すべきだと私は考えます。
Q:「仕事を通して『自己実現』するため」とは、どのようなことですか。

A:自己実現というと、大きな夢や理想といった何か特別なもの、日常生活とはかけ離れたものと思われがちですが、自己実現とは本来生活そのものです。

自分の望む人生を、自分の日常生活の中で実現させることが、自己実現だからです。

日々の生活の中で、日々の仕事の中で、努力して問題を一つ一つクリアしていくことで、人は自己実現していきます。

それは自分だけの「人生の成功のキャリア・パス」を作ることです。

そして、キャリア形成に成功している人は、ほとんどの人がこのことをきちんと理解しています。

(*橘・フクシマ・咲江著「人材革命」祥伝社、2007年8月5日刊、15~16ページ)

2.社会で求められる人材とは-人様のお役に立つ人-

(1)「役に立つ」とは、「問題解決」できること。

(2)「問題解決能力」をもつ人が求められる。

Q:社会で求められる人材とは何ですか。

A:人様のお役に立つ人だと私は考えます。

2012年6月22日金曜日

社会に出て働くことの意味を考える

1.学校の勉強は、社会に出て役に立つのか


-役に立つ、学校での勉強や生活はすべて社会で役に立つ-

(1)①「早寝」「早起き」「朝ごはん」、②「欠席」「早退」「遅刻」「忘れ物」「授業中のおしゃべり」「居眠り」なしは、社会に出て役立つ。

<理由>仕事をする上で最も大事なのは、元気に、就業時間前に職場に到着すること。

事件や事故なく終業時間まで勤務すること。

(2)「朝礼」「ホームルーム」「そうじ(特にトイレそうじ)」「学校行事(体育祭、文化祭、遠足、修学旅行)」「~鑑賞」「見学会」などは、社会に出て役立つ。

<理由>仕事をする上で大事なのは、「打ち合わせ(今までの仕事を振り返り、これからのことを話し合うこと)」や「整理整頓」「みんなで物事を成し遂げること」「集団で行動すること」。

(3)「部活動(スポーツや文化活動)」も、社会に出て役立つ。

<理由>①スポーツで大切なのは、ルールの中でプレイをすること。ルールを知ること。

②きたない、見苦しいプレイはしないこと(フェアプレイ)。

③チームプレイ(チームプレイとは、自分に与えられた役割は他人を頼らずに責任を持って果たすこと。仲間を信頼してプレイすること)。

④練習をすればする程上手になることを知ること。

⑤ただし、上には上がいるもので、いつまでも勝ち続ける訳ではないことを知ること。

⑥スポーツを通じ、友だちができること。恩師ができること。いろいろな経験ができること。

(4)学校で勉強する方法(学習方法)は、社会に出て役立つ。

・学習には3段階ある 

①「理解」する段階-「うんなるほどとよくわかること」

②「定着」する段階-「理解」したことが身に付いていること

③「応用」できる段階-「合格点が取れる」「社会に出て使える」こと

この学校での勉強方法は社会に出て役立つ。

「授業中にノートを取ること」も社会に出て役立つ。

<理由>①仕事を覚えるときは、上司や同僚、お客様、ビジネスパートナーなどから教えてもらったことをひらすら「メモ」に取り続け、それを後で「理解」し、身に付け(「定着」させ)、仕事で使えるまでにする必要がある(「応用」)。

②社会で生活する上で「自動車の運転免許」を取る必要があることも多い。

資格が必要な仕事に就くときには、「資格試験」に合格する必要がある。

「資格試験」の勉強は、学校でのテスト勉強と全く同じで、「教科書」を隅から隅まで「理解」し、すべて「定着(身に付け)」させた上で、合格点が取れる(応用)までにしなければならない。

③学校での授業には、「予習」が欠かせない。
 
予習は何のためにするか。
 
教科書に書いてあることを自分自身の力で「理解」し、「理解」できた内容をできるだけ「定着」させることが一つの目標。
 
わからないことをはっきりさせて、問題意識を持って授業に臨むことが二つ目の目標。

2012年6月18日月曜日

大学の生き残り策を考える

Q 岡本薫・政策研究大学院教授によれば、OECD(経済開発協力機構)が1981年秋にパリで開催した「高等教育政府間会議」では、「18歳人口の急激な減少(decline)対策」がもう既に議論されていたようですね。

A (林明夫 以下省略)はい。

岡本先生によれば、この会議を通じて各国の共通理解となった18歳人口急減対策は、後から考えれば極めて単純明快なもので、次のようにまとめられる。

①従来どおりの学生数を維持したいなら、18歳人口急減に伴って当然に生じる新入生の学力低下に対応するため、各大学が補習(remedial program)を実施しなさい。-アメリカ型-

②新入生の学力を従来どおりの水準に維持したいなら、18歳人口の減少率に応じて、各大学の入学定員を削減しなさい。-西欧型-

③ただし、西欧諸国の大学は、新入生の学力を維持するために入学定員を削減していくと、学科によっては「学生定員1名」といった状況になってファカルティの維持が困難になるという問題に直面。

そこで、「大学の質」を重視した「高等教育政府間会議」が提唱した対策は、質の低下をもたらす自国学生の全入ではなく、質の高い「新しい顧客(New Client)」の開拓ということであった。

具体的には2種類の「新しい顧客」が注目されたが、その第一が「社会人」であり、第二が「留学生」である。
Q 興味深い分析ですね。

A 私もそのどおりだと思います。

現実直視のアメリカは、18歳人口が減少しているのに、大学の入学定員を従前のまま維持すれば大学生の学力は低下することを率直に認め、低下し続ける学力不足を補うための補習教育、つまりremedial programを充実してきました。

アメリカで発展しているコミュニティ・カレッジ(community college)などは、remedial programとの真正面からの取り組みと私には思えます。

Q 日本でも、高校時代にほとんど勉強しなかった学力不足の生徒を、定員が不足していることを理由にどんどん入学させてしまうOA入試がさかんであるにもかかわらず、補習教育(remedial program)に手が付いていない大学がまだ存在するようですね。

A 大学経営上、定員を充足するために学力不足の学生を入学させている大学の経営者は、学力不足を補うための補習教育(remedial program)を全学を挙げて行う大学としての社会的責任(CSR)があると私は考えます。

2012年6月11日月曜日

政策提言の積極的発信を

Q:社団法人経済同友会では、記者発表し一度公表した提言について、「政策フォーラム」という形でフォローアップすることをスタートしたそうですね。


A:(林明夫:以下省略)はい。

経済同友会では、毎年4月に開かれる総会の決定に基づき、委員会活動が1年間かけて行われます。

1年間かけて調査・研究し、まとめ上げた政策提言は、幹事会、正副代表幹事会を経て公表、記者発表されます(ホームページでも公表されます)。

そのようにして一度公表された政策提言を政策マーケット関係者(政界、官界、民間、学界、マスコミなど)に積極的に発信することにより、提言内容の理解促進と政策論議の喚起を図るのが、「政策フォーラム」の開催趣旨のようです。

 

 

Q:素晴らしい試みですね。第1回目には何人くらいの参加があったのですか。

A:開催されたのは、2007年10月29日(月)10:00~12:00と月曜日の午前中でビジネスマンにとっては週初めの最も忙しい時刻であったにもかかわらず、開催定員150名のところにほぼ満席の148名の参加でした。

会場は、東京駅丸の内北口の日本工業倶楽部3階大ホールでした。

私は、提言内容を政府関係者と会員・マスコミだけでなく広く知ってもらうしくみを考えてはどうかと年度末に提案させて頂きましたので、どのように開催されるのか気になって、毎週月曜日の午前中は私が議長を努める会社の会議があるのですが、参加させて頂きました。

 

Q:どのような人が参加したのですか。

A:経済同友会会員、各地経済同友会関係者、立法関係者(政党、国会議員-衆議院、参議院-)行政関係者(中央省庁、地方自治体)、学識者、有識者、マスコミ関係者などに事務局はご案内を出したようです。

 
 
 
Q:第1回の「政策フォーラム」は、どのような内容でしたか。


A:「国民の信頼と安心のための年金再生」と題して、2007年4月に策定した提言「活力ある経済社会を支える社会保障制度改革」を踏まえてのフォーラムでした。

 経済同友会社会保障改革委員会委員長門脇英晴・日本総合研究所理事長が提言内容を説明、自由民主党からは党厚生労働部会長の衛藤晟一参議院議員、民主党からは党政調会長代理の長沼昭・衆議院議員がパネリストとして参加。
 
モデレーターは、ジャーナリストの嶌信彦・白鴎大学経営学部教授でした。

2012年6月9日土曜日

自分で解を求める教育をめざして

丸の内北口通信(6)2007年9月5日
斉藤博明TAC株式会社 取締役社長のお話を聴いて考えたこと
 
1.教育の目的は、自分が社会で何をするのかを自分で考えさせること
(1)自立して生きる
(2)努力してまじめに生きる
(3)自分のためだけでなく、他人のため、社会のために役立つように生きる
(4)自分で考える。他人のせいにしない。自分の責任で生きる。
 
2.先生の仕事
(1)社会とどう接点を持つのか(何を仕事として働くのか)を常に生徒に意識させ、考えさせる。本人が自分の能力をどう引き出して社会に適合させるのかに重点を置いて教育をする。
(2)正解のわからない問題を、生徒に考えさせる。自分で解を見つける教育を行う。
(3)そのために、先生は学校以外の世の中のことを知る必要がある。ビジネスとは何か、会社とは何かを理解し、生徒に対して職業についてのアドバイスができなければならない。
(4)先生は、自らカリキュラムが作れ、自分で構想して教材が執筆でき、授業の設計をすることが大事。自分の頭で考えることが大事。先生がものごとを自分の頭で考えずに、生徒に「君達、考えなさい」と言ってもそれは難しい。先生が自らの頭でものごとを考えるようになれば、生徒も考えるようになる。
 生徒は、すぐに先生に追いつくもの。
 
3.会社で働いたことのない人は、先生として採用しない方がよい。10年に1回の免許更新制があるなら、1年間は無給にし、社会に出て自分の力で働いて収入を得て生活する体験をさせるとよい。

2012年6月1日金曜日

公務員(国家公務員、地方公務員)の免職法制の活用を(2)


Q:地方公務員についてはどうお考えですか。

A:『地方公務員法第28条第3項 職員の意に反する降任、免職、休職及び降給の手続き及び効果は、法律に特別の定めのある場合を除く外、条例で定めなければならない』

 

 全自治体の免職に関する条例を自治体倒産の時代に合ったように見直すと同時に、地方公務員に関する免職法を国会で整備することも検討すべきと考えます。

 国家公務員について人事院で規則を制定することが困難であるなら、国家公務員法第78条から「人事院規則の定めるところにより」の文言を削除し、これに変えて「法律の定めるところにより」の文言を入れて国家公務員免職法の整備をすべきと考えます。

 国家財政、地方自治体財政の危機的状況を打開するために、「国家公務員免職法」と「地方公務員免職法」の立法措置をとることを私は提言したく思います。

 公務員の世界に「免職」つまり「失業」の概念を、国家公務員法第78条第4号と地方公務員法第28条第1項第4号を活用して入れることが、「簡素で効率的な(中央・地方)政府」づくりには不可欠と考えます。

 

Q:公務員には、雇用保険つまり失業保険はあるのですか。

A:免職という法制度はあっても、実際に行われることはほとんどありませんでした。公務員には失業という概念もなく、そのためか、公務員の雇用保険つまり失業保険制度はないようです。

 私は、民間企業と同じように、公務員にも免職があり、失業という概念が今後生じるのであれば、雇用保険つまり失業保険制度を早急に検討すべきと考えます。

 公務員の労働基本権の問題を考える前提として、公務員の免職つまり解雇法制の活用と公務員への失業の概念の導入、失業保険の整備について考えました。

2012年5月24日木曜日

公務員(国家公務員、地方公務員)の免職法制の活用を(1)


 


Q:国および地方の行政改革は、民間企業の目から見れば財務がほぼ破綻状況にあるため避けて通れないようです。国や地方自治体の予算のうち人件費の占める割合が高いようですが、公務員は財政状況悪化を理由に免職つまり解雇できるのでしょうか。

A:(林明夫:以下省略)公務員の身分を規定する国家公務員法と地方公務員法の上では、免職つまり解雇は可能です。

 

『国家公務員法78条 職員が、左の各号の一に該当する場合においては、人事院規則の定めるところにより、その意に反してこれを降任し、又は免職することができる。四(号)官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合』

 

『地方公務員法第28条 ①職員が左の各号の一に該当する場合においては、その意に反して、これを降任し、又は免職することができる。四(号)職制若しくは定数の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合』

 

Q:国家公務員、地方公務員ともに、仕事がなくなったり、仕事に割当てられた定員が削減されたり0(ゼロ)になったりしたときや予算が少なくなって仕事がなくなったり、人員が多すぎたときは免職つまり解雇できるのですね。驚きました。今までに、この条文を使って免職つまり解雇をしたことはあるのですか。

A:昭和20年代の前半、吉田内閣の下で、戦争が終わって軍隊から戻った国家公務員数万人は、国家公務員法第78条第4号の適用があり免職つまり解雇されたようです。以来、この国家公務員法第78条第4号の適用事例はありません。

 

Q:林さんは、国家公務員や地方公務員の免職つまり解雇には賛成なのですか。

A:仕事がなくなったり、財政状況が悪化して予算が組めなくなったなど国家公務員法第78条第4号や地方公務員法第28条第4号に規定されている場合には、公務員であっても免職つまり解雇される場合がありうると考えます。

 簡素で効率的な政府(中央政府、地方政府)」づくりに、この法律を積極活用すべきと考えます。

 

Q:この法律を活用するにはどうしたらよいのですか。

A:国家公務員法第78条に関する「人事院規則」を定めることが先決です。先頃、憲法改正に関する国民投票法が制定されました。憲法の条文の中には国民投票を経て憲法を改正する条項があるのに、憲法改正の国民投票法という手続き法がないために、実質上憲法改正ができない状況が憲法制定以来続きました。法的整合性の欠如、何もしなかったことの責任(不作為責任、ふさくいせきにん)が問われ、先頃ようやく憲法改正に関する国民投票法が成立の運びとなりました。同様に、この国家公務員法第78条の国家公務員の免職条項についても、人事院規則の未整備は、法的整合性の欠如、何もしなかったことの責任つまり不作為(ふさくい)責任が問われますので、早急な法規定の整備が求められます。

2012年5月19日土曜日

地方の中堅・中小企業の活性化や事業継承に、外国企業も含め戦略的MandAの最大活用を

丸の内北口通信(4)                                      2007年9月4日 -事業縮小や事業削減は地方経済を直撃する- Q:林さんは、地方経済活性化の決め手は何だと考えますか。 A:(林明夫:以下省略)はい。3つあると考えます。 1つは、国際競争力のある企業の「本社」や国際競争力のある企業の「RandD機能付きの事業部」の立地であると確信します。 2つ目は、地方の中堅企業・中小企業の活性化のために、外国企業も含め戦略的MandAを最大活用することと考えます。 3つ目は、1と2を加味しながら国際競争力のある地域クラスター(産業集積)を促進することです。   Q:2つ目を少し詳しく説明して下さい。 A:デフレ経済の下で少子高齢化が進むと、地方の中堅企業や中小企業での事業の活性化が進まず、また、事業承継が困難になり、企業の倒産に到らないまでも、事業縮小や事業消滅する企業がジリジリと増えることが予想されます。   税収が減り、地方財政が改善しないだけでなく、雇用の吸収力が減少し、失業率が増し、地域に住む人々の生活基盤自体が脅かされる直接の原因となります。 ではどのようにしたらよいかといえば、外国からの投資も含めての戦略的なMandAを通じて、事業を活性化させると同時に、事業の継承の道をしっかりとつくり続けることも一つの解決策と考えます。   Q:戦略的なMandAとは何ですか。 A:本業つまりコアコンピタンス(核となる能力)、企業ドメインを明確化し、それからはずれた事業は、外国企業も含め得意な方にどんどん売却する。 本業をより強くすることに必要と思われる会社や他の会社の事業部門は、外国企業も含めどんどん買収する。 地元の企業が規模縮小したり、消滅してしまうことによる地域経済の打撃は計り知れません。 失業ということになれば、人々の生活の基盤さえ脅かします。税収が減れば、福祉や教育、社会インフラの整備がたち行かなくなり、住むことのできない街になってしまいます。 企業の最大の社会的責任(CSR)は、事業の規模を縮小しないこと、会社を消滅させないこととも言えます。 地方の中堅企業・中小企業であっても、グローバル化が進んだ今日、国際競争力のある活動が求められますので、MandAの分野でも対内直接投資(FDI. Foreign Direct Investment フォーリン・ダイレクト・インベストメント)は戦略的に考えて歓迎すべきと考えます。 外国企業の買収も積極的に行うべきと考えます。 地方自治体としても、中堅企業や中小企業の事業縮小や事業承継者が見つからないことによる事業消滅問題を産業政策上の大切な課題と考え、MandAを外国からの対内直接投資(FDI)も含めて積極的に促進すべきと考えます。 *外国企業が日本企業や日本企業の一部分を買収する場合には、管理責任者は、単身ではなく家族とともに日本の地元に住むことになります。 地方自治体として、外国人が安心して住むことのできる社会インフラ、つまり英語ですべての授業が行われる国際学校(インターナショナルスクール)、英語の通じる病院、街なかの公共施設・商業施設における英語によるありとあらゆる表示などの整備が求められます。 外国人にとっての優しい街づくり(Foreigner Friendly Town)が緊急課題となります。

2012年5月17日木曜日

独立行政法人の見直し後には、徹底した「事業仕分け」の導入を (2)

3.見直し後の独立行政法人に一番必要なのは、「経営能力」のある人材。 (1)公務員であった者は、すぐに事業体の経営を行えと命じても、事実上は不可能であることが多い。 アッと言う間に大赤字の垂れ流しに陥ることが多い。 (2)これを避けるには、2つの方法がある。 ・予め「経営者人材」を準備するしくみをつくり上げること。2007年問題を上手に活用すれば、高い志を持つ有能な人材は民間に「山ほど」存在する。 ・独立行政法人の中に現在いる人材を活用せざるを得ないのであれば、インターンシップを含む「研修システム」を構築する以外にない。   4.世界各国の行政改革には、独立行政法人の合理化の先進事例、ベストプラクティスと失敗事例は、山ほどある。 日本は、この分野では、「遅れて来た者の利益(Late Comer's Advantage レイト・カマーズ・アドバンテージ)」を十分享受できる立場にある。 もうこれ以上の失敗は許されないのだから、国民の利益のために慎重かつ大胆に改革を進めたい。

2012年5月16日水曜日

独立行政法人の見直し後には、徹底した「事業仕分け」の導入を (1)

丸の内北口通信(3) 2007年8月28日 -見直し後の経営能力ある経営(だれが何をやるか)が肝要- 1.どんどん進む独立行政法人の見直し (1)政府の行財政改革推進本部は、経済財政諮問会議の民間議員からの提案「独立行政法人のゼロベースでの見直しを(2007年5月9日提出)」を踏まえての「骨太方針2007(6月19日閣議決定)」に基づき、 「行政減量・効率化有識者会議」を発足させ、独立行政法人全101法人の整理合理化計画策定に向け検討。 (2)有識者会議は、8月10日に「独立行政法人整理合理化計画の策定に係わる基本方針」を取りまとめ、閣議決定された。 (3)①8月末までに、各主務大臣が独立行政法人整理合理化案を提出 ②9月以降、有識者会議と関連会議において議論 ③12月下旬に、政府は、「独立行政法人整理合理化計画」を決定 の予定だ。   2.独立行政法人の見直し後には、徹底した「事業仕分け」の導入を (1)「見直し」も大事だが、「見直し」後に納税者の視点でどこまで徹底した改革を行うかを、今回の改革では忘れてはならないと確信する。 (2)私は、「見直し後」つまり「合理化計画」を政府が決定した直後から、具体的には2008年1月から、所謂(いわゆる)「事業仕分け」の手法で各独立行政法人の全業務を詳細に「仕分け」ることを提言したい。 (3)「有識者会議」や「関連会議」では、独立行政法人版の「事業仕分け」の具体的手法を本年中に議論し、「事業仕分け」の指針を予め明示。 「見直し後の独立行政法人の評価項目」の中に、予め明示すべきと考える。 (4)「事業仕分け」を、独立行政法人に応用して考える。 ①まずは、その事業が必要かどうかを判断し、不要であれば廃止。 必要である場合は、民間企業ができるものであれば、すべて民間企業に委ねる。 つまり、事業を開放する。既得権益化しない。 ②見直し後の各々の独立行政法人のすべての業務を、「市場化テスト」つまり「官民競争入札」の対象とすることも考えられる。 ③民間に委ねるべき業務でないものでも、他の自治体等も含む公的機関や独立行政法人が行った方が効率性が高いものは、そちらに委ねる。 (5)「事業仕分け」には、外部の「目利き能力」のある「仕分け協力グループ」の存在が不可欠である。 経済同友会などの経済団体や弁護士、税理士、公認会計士、コンサルタントなどの専門家の業界団体、ニュービジネス協議会や全国社外取締役ネットワーク、 日本評価学会、経済学や経営学関係の各学会などにも呼びかけ、「事業仕分け」協力者グループを予め組織化しておくことも必要だ。

2012年5月12日土曜日

学社(学校と社会)融合を目指して -千葉県習志野市立鷺沼小学校から学ぶ-(2)

5.学社(学校と社会)融合の大きな成果 (1)このような活動が継続されてくると ①教育内容が充実し、子どもの学校生活が豊かになる。 ②大人の喜びになり、地域活動が積極的になる。 ③コミュニケーションの幅が広がり、人間関係作りの能力が育成できる。 *今の充実とこれからの育成に意義がある。 (2)このように、学校と地域の融合は、学校開放という視点だけでなく、人と人との結びつきによる「教育の充    実」と「街づくり」の視点で考えられる。 ①地域にいる多様な能力を持つ大人と子どもが結びついての街づくりとなっていけば、どのようなことでも推進できる。 ②自分の住む街をよりよくしたいという願いは、すべての人が持っているから。 ③その中核に、子どもがいる。 6.「できる人が、できる時に」「無理なく」「楽しく」、これが連続していける学社(学校と社会)融合の秘訣 (1)活動を共にした子どもを知っている大人が地域にいるので ①成長して、中・高校生になったあとも ②放課後や休日にも 地域の人が子どもを見守ってくれる。 (2)教師には、その地域からの転勤があるが、地域の多くの人は転居しない。 (3)コミュニケィスクールは年間200日×8時間だが、スクールコミュニティは年間365日×24時間。 ①教育内容が充実し、街づくりが推進され、子どもは元気になる。 ②子どもが、自分の家族以外に信頼できる大人や家族が地域にいること。 ③親もまた、地域の家族に目を向けられるように。 7.原風景が人間形成に及ぼす影響は大である    以上の内容は、宮崎稔大妻女子大学非常勤講師、前鷺沼小学校校長からお伺いしたものである。(文責、明夫)   実質上財政破綻している中で、高額な税金を使って建設した学校設備が、少子化のため児童・生徒数が減少して十分に使われない状況にある。 社会に開放して、公共財の有効活用を図るべきである。 また、学校教育の抱える問題が多岐・複雑で、学校だけでは解決不可能な場合も多い。 この学社融合の取り組みは、検討に値すると確信する。

2012年5月8日火曜日

学社(学校と社会)融合を目指して -千葉県習志野市立鷺沼小学校から学ぶ-(1)

鷺沼小では、朝9時から夜9時まで土、日も学校の空教室の民間開放をすすめている。   1.授業以外でも、地域の人による子どもとの交流がある。 (1)「学校という聖域」で大人と子どもが活動する学社融合は、世代間交流による街づくりそのもの。ここに、地域再生・教育改革の鍵がある。 (2)技術を持たない人でも自由に参加できるので、若い父親や母親が子どもと共に参加して、高齢の人と共に活動する。 (3)例えば、鷺沼小の「おやじの会」によるヤキイモ会では、廃材を切ったり薪割りをするところから始まる。子どもたちは、6年生になるまで「まさかり」は使わせてもらえない。これは、鷺沼小の「おやじの会」の厳しい約束だ。   2.鷺沼小の授業事例 (1)技術を持っている人は、生き甲斐(がい)を持って小学校の学社融合活動に参加する。 ①高齢者の生き甲斐は、人々への役立ち感を持ちながら生き続けること。街で子どもたちに出会ったときに、声を掛けられたりすると無上の喜びとなる。 ②高齢者は、「技術がある」「時間がある」「子どもの学びのペースで待つことができる」。 (2)高齢者は、経験がある。 ①それを語れる場があることで、役立ち感となる。 ②戦争体験の語り授業。今は病気療養中だが、枕元には子どもからの感想文がある。「来年も6年生に語れるように、元気にならなくちゃ!」と療養に励んでいる。 (3)授業は、学校生活で一番重要なもの。 ①校長も、率先して授業研究を行うとよい。 ②担任以外の大人が日常的に教室に来るという雰囲気が当たり前になる一方で、授業を大切にする校内の緊張感が高まる。 ③ボランティアによる放課後の授業も。「陶芸」は、大人も楽しみ。 ④無理のない範囲で子どもとの触れ合いが活発に行われることは、地域で共に生活する大人(特に高齢者)にとって喜びとなる。   3.安全を守る (1)日常的な活動の積み上げを通して、学校からの「子どもを守ろう」という呼びかけにも、地域はすぐに反応する。 (2)自分の孫が通う学校、自分の子どもが通った学校は、「おらが街の学校」そのものだからだ。   4.街づくりのための「人材」についての3つの考え (1)学校へ来てくれる、能力ある大人。 -学校へ来てくれること自体が、能力と考える- (人材バンクとして固定するのではない) (2)ただ学校で子どもと共に過ごす大人        -大人の後ろ姿を、子どもに見せたい- (3)子どもこそ「人材」ということが、街づくりの過程でわかってきた    *子どもの安全に関する参加は、街づくりの意識を形成するのに取り掛かりやすい

2012年4月25日水曜日

日本は世界第二の「森の国」 (1)

(1)日本は国土の約7割にあたる2500haが森林で、国土面積と森林の比率ではフィンランドに次ぐ「世界第2位の森の国」であるそうだ。   (2)このこと、つまり「日本は世界第2位の森の国」であることを、日本国民にもっともっと知らせた方がよい。      日本国民は、「日本は森の国」であることをもっと自覚し、「森の国」の国民であることにもっと誇りを持ち、      「森の国」を守ることは国民としての責任と考えた方がよい。   (3)木は、炭酸ガスを吸い酸素を排出する。   CO2の排出権の観点からも、森林を地球温暖化対策上の日本最大の資産として大切に守ることを考えた方がよい。 -つづく-

2012年3月26日月曜日

経営とは何かを考える(1)

宇都宮大学国際学部
株式会社開倫塾提供寄附講座
国際学特殊講義Ⅰ
2007 年8月8日(木)
宇都宮大学国際学部教室




本講座提供の趣旨
開講に先立ち株式会社開倫塾が本講座を宇都宮大学国際学部に提供させて頂く趣旨をお話しさせて頂きます。

開倫塾は、教育目標、経営目標を「高い倫理」「高い学力」「高い国際理解」「自己学習能力の育成」と定め、企業としての社会的使命(mission ミッション)を「成功の実現に貢献すること」としております。


講師の神永善次大使は、世界に生きる新しい日本の対応を示した「欧州の知恵」(講談社、1992年刊)や、東洋の「生き方」を読み取る「アジアのBCG」(三田出版会、1998 年刊)を著しておられます。


ちなみに「アジアのBCG」とは「B はアジアの美」、「C はアジアの思」、「G はアジアの慈」とのことであります。

この神永大使の5日間(90 分15 コマ)の集中講義によりまして皆様が「高い倫理」「高い学力」「高い国際理解」とは何かについてお考え頂き、
一生を通じて日本外交についての勉強を継続するきっかけを自分なりにおつくり頂ければ、皆様の「自己学習能力の育成」に繋がり、ひいては皆様人生における「成功の実現に貢献」できるものではないかと確信いたします。



おわりに

皆様は国立大学法人宇都宮大学国際学部の学生であります。


破綻に瀕している日本国の貴重な税金で運営されている国立大学法人で学ぶ者として、自分の利益のみを考え学ぶのではなく、どうか「高い志」をもって学んで頂きたい。


国際公務員や外務省に勤務し、世界の平和の維持や日本の国益(National Interest)のために活躍したり、民間にあっても日本の外交は担えますので、どうか何らかの形で一生涯を通して、日本外交の担い手になるのだという「高い志」をもって学んで頂きたく希望しいたします。

2012年2月13日月曜日

谷内正太郎、高橋昌之著「外交の戦略と志―前外務事務次官谷内正太郎は語る―」産経新聞出版社2009 年4 月26 日刊を読む

外交の戦略と志―前外務事務次官谷内正太郎は語る―

1.外交の基本は国益追求

(1)40 年間、基本的に自分が考えていた問題意識はそんなに変わっていない。

第1 に、外交の基本は国際舞台で国益を追求することだということだ。

ただし、自国だけ良ければいいという近視眼的なやり方では、国益を守るつもりでも守れないし、伸ばすものも伸ばせない。
国際公益との整合性を保ちながら、国益を追求することが基本だ。

英語では「エンライトンド・セルフインタレスト」、つまり「啓かれた利益の追求」と言ったりする。

さらにいえば、国益の中核にあるのは安全保障であり、安全保障とは突き詰めれば「国民の生命と財産を守る」ことだ。
そこが大事という問題意識は変わっていない。


(2)第2 に、先にちょっと触れたが、外務省の宿弊である「事なかれ主義」を、打破しなければならないということだった。

日本がまだ国力がそれほどなかったときは、事なかれ主義で、頭を低くして、トラブルには首を突っ込まない、余計なことはしない、受け身でいいということでよかったと思うが、今やそれは許されない。許されなくなって、もう長いこと経つと思う。

国家が発展し、国力が増大すれば、それに伴って国際的な責任も増え、期待も高まる。
その国家がさらに「大国」として成長するには、国際的な関わりを増強する必要がある。

国民はその動きを支持し、自らも参加し、さらには外国から一定の敬意を受けたいと思うようになる。
それを可能にするのは事なかれ主義ではなく、積極主義である。

私が次官になって訴えたのは「攻めの外交」であった。

時には大胆な決断をし、世界史の創造に積極的に関わっていく、歴史を切り開いていくという気概も必要だ。

それと同時に、日本は外交の基本の一貫性、継続性を守っていくことも重要だ。

米ソ冷戦崩壊後の1990 年代、いわゆる「失われた10 年」の間、日本では7 人の首相が登場し、その度、外国人からは「首相が代わったら外交政策は変わるのか」ということをよく聞かれた。
そのときに私は「首相が代わったからといって国益まで変わるわけではないのだから、外交の基本的方向は一貫性をもって継続される」と答えてきた。
だから、「政治」がいかに変わろうとも、その一貫性を保つということが、外交事務当局の重要な存在理由にもなっている。

第3 にますます重要性を増しているのは、「国民とともに歩む外交」という視点である。
外務省はよく目線が高いとか、国民から遊離していると言われてきた。
他国でもこのような外務省批判はよく聞くところだが、拉致問題が注目されてからは、特にわれわれが心がけなくてはいけないことだと痛感している。



2.責任はすべてとる
(1)私は外務事務次官に就任するにあたり、国民に信頼される外務省にしたいと強く思った。

私自身は仕事をするときは7 割か8 割の力を出して、残りは温存しておいて、緊急事態に使えるようにしたいと思いたがる性質なのだが、次官になったときはともかく一球一球をおろそかにせず、全力投球でいこうと思った。

勝海舟の言葉に「事いまだ成らず小心翼々事まさに成らんとす大胆不敵事すでに成る油断大敵」というものがある。

(2)心がけようとしたのがそれで、外交政策に取り組むにあたって、準備するときは小心翼々、つまりどんな問題点があるんだろうか、どんな反応があるだろうかということを真剣かつ慎重に検討する。
ここが勝負所だというときは大胆不敵に決断し、実行する。

事すでに成ったときは勝って兜の尾を締める、油断大敵の心構えである。

仮にうまくいかなかったときは、責任をとるという覚悟でやってきた。


(3)ただ、次官は事務当局の最高責任者だから、目を吊り上げて髪を振り乱してという姿は、部下を当惑させ、不安がらせるだけなので、余裕のあるような態度をとるようにはしていた。

しかし、次官をやること自体が自分にとっては勝負所だったので、実際はただただ一生懸命だった。


(4)最初の頃は信頼しているある部下から
「外務省員は次官をクールな目で見てますよ。お手並み拝見という感じです」
と言われた。

自分ではまず自分自身が意欲を持って仕事に取り組み、外務省全体の責任はすべて自分がとるということ以外にないと思っていた。

(5)だから平成17 年1 月4 日に次官に就任した際、全省員に対するあいさつの中で
「事務当局の最高責任者としてみなさんがやったことについてはすべて責任はとります。
その覚悟でここに立っているつもりです。
一緒に頑張ってやっていきたいと思います。」
と言った。

それをずっと心がけてきたつもりで、段々とみんなが意欲的になってきた、省内が明るくなってきたという印象があった。

そういう意味で自分が心がけてきたことを、みんなが理解してくれてよく頑張ってくれたと思う。

外交官は国益のために自分の将来を計算に入れずに仕事をしなければならない。
いろいろと心ない批判を受けることがあっても、「恐れず、めげず、屈せず」に「しなやかに、したたかに、信念を持って」仕事をすべきだ。
P24 ~ 27


[コメント]
外交の基本は国家の安全保障との使命を明確に自覚して、日本の外交官のリーダー役を果たされた谷内氏の本著は、動揺に次ぐ動揺を重ねる近時の日本外交に一定の方向を与えるものでとても参考になる。
外交官だけでなく企業や行政のリーダー論としても大いに学ばせて頂きたいと考える。


- 2011 年1 月2 日林明夫記-

2012年2月8日水曜日

栃木県に国際競争力を

CRT 栃木放送『開倫塾の時間』2010 年4 月17 日(土)放送内容資料


1.はじめに

おはようございます。

開倫塾塾長の林明夫です。

今朝も「開倫塾の時間」をお聴きいただき、ありがとうございます。

この「開倫塾の時間」では、私がいろいろと勉強させていただいたことや勉強の仕方についてお話をさせていただいています。

今週の水曜日、2010 年4 月14 日に、読売新聞・とちぎ版の「とちぎ寸言」というコラムに原稿を書かせていただきましたので、今日はその内容を紹介させていただきます。



2.現在は、大変な円高で輸出不振に陥り、また、消費の低迷で消費者がものやサービスを買わなくなり、栃木県の経済の活力が失われつつあるのではないかという認識を私は持っています。

おそらく皆様の中にも同じように感じていらっしゃる方も多いのではないかと思います。



3.では、これを解決するにはどうしたらよいでしょうか。

私は、1 つの方法として、各企業・栃木県・各市町・各地域が国際競争力を徹底的に身につけることで、この危機を乗り切っていけるのではないかと考えています。



4.なぜ国際競争力を身につけることが大事か。

栃木県には、とちおとめなどの農作物の県産品・工業製品の県産品などが数多くあります。

それら栃木県で作ったものをこれからは海外で販売する必要があるからです。

そして、それが栃木県の発展には不可欠だからです。



5.加えて、外国から訪れる観光客の誘致も、栃木県の発展のためには不可欠であると思います。



6.皆様もご存知だと思いますが、栃木県の経済は、自動車の輸出をはじめとする最先端の輸出型の製造業によってリード(牽引)されています。

ですから、国際競争力をつけることが、栃木県の経済危機を切り抜ける1 つの方法ではないかと私は考えているのです。



7.国際競争力強化のために必要なことの1 つめは、栃木県の第2 公用語を英語にすることであると思います。

公用語とは、公(おおやけ)の場で用いられる言語のことをいいます。

栃木県の公用語はもちろん日本語ですが、第2 公用語として英語を用いることが最も大切ではないかと思います。

英語を第2 公用語にするためには、栃木県全体を国際競争力強化のための特区、つまり国際化特区にすることだと思います。

その上で、行政の申請の大半を英語でできるようにすると、外国人の方にとっては大変便利です。

栃木県に外国の人が住んだり、経済活動や様々な社会活動を展開する大きな契機、きっかけとなります。

日本語のみの申請しか受け付けないのでは、栃木県に来る人も増えなければ、栃木県で仕事や経済活動をする人も増えません。

相手の立場に立ってものごとを考えることが大事なのに、日本語だけを使うことは外国の人にとって不親切の極みと言えます。

自分がされて困ることは相手にもしない。

これが大事です。

役所は、日本語だけの世界から一日も早く脱却をすること。

そうでなければ国際化はありえません。

日本の将来も栃木県の将来もありません。



8.次に、県内のすべての標示を英語でも行うことが大事です。

既に道路標識などは英語でかなり標示されていますが、そのほかの標識も日本語と英語(ローマ字)の両方で標示するとよいと思います。

また、企業やNPO などには、社名や組織名を英語でも表記していただき、仕事の内容や活動内容を少しでも英語で書いていただくようにすると、日本語の読めない方にはとても便利になります。



9.最終的には、すべての行政サービス・公共サービス、更に加えれば、民間のサービスを日本語だけではなく英語でも提供できるようになればよいと思います。

これが、国際化を図る上で一番大切なことです。



10.そのためにはどうしたらよいかを、次にお話します。

小学校から大学院まで英語の授業がたくさんありますが、それらの授業をすべて英語で行うことが基本中の基本です。

現在行われている英語の授業を日本語で行う形では、なかなか英語が身につきません。

ですから、栃木県内にあるすべての小学校・中学校・高等学校・専修学校・専門学校・大学・大学院では、英語の授業はすべて英語で行うようにすべきです。

できれば、幼稚園での英語の授業も英語で行うとよいと思います。

そうすれば、英語でのコミュニケーション能力が高まります。



11.また、役所で働く公務員はもちろんのこと、小売業やサービス業に従事する方々、

例えばタクシーやバスの運転手さん、コンビニエンスストアで働く方、病院で働く方も大変だと考えず、

自分の未来は自分で切り開くと考え、英語によるコミュニケーション能力を徹底的に身につけることも大事です。



12.さらに、県内のテレビ・ラジオ放送、新聞、ミニコミ誌などにもできるだけ英語のコーナーを設けていただきコミュニケーションを図ると、国際競争力の強化に役立つのではないかと思います。



13.国際競争力強化のために為すべきことの2 つめは、自分の住む町の改善点を十分に自覚することだと思います。

例えば、空き地が山ほどあるのに、起業家を育成したり企業を誘致したりするしくみがうまく機能していないという問題があります。

このようなときは、日本国内だけでなく世界中に目を向け、成功を収めている実践例から素直に学んで少しずつ取り入れていく必要があると思います。



14.それから、留学生や栃木県で学んだり働いたりしている外国人の方々が栃木県民として活躍できる場づくりも、国際競争力強化のためには大切です。

例えば、足利市にある足利赤十字病院は、フィリピンから看護師さんを迎え入れました。

この看護師さんが定着できるように、地域の人たちや行政が力を合わせて活躍できる場づくりに取り組まなければならないと思います。



15.このように、栃木県の経済を活性化するためには国際競争力を強化する必要があるので、そのために栃木県を国際化特区にしていろいろなことを行ったほうがよいというのが、私の考えです。



16.今日は、2010 年4 月14 日(水)発行の読売新聞・とちぎ版の「とちぎ寸言」に書かせていただいた内容について紹介させていただきました。

皆様はどのようにお考えでしょうか。


― 2011 年5 月12 日訂正、追記、林明夫―

2012年2月6日月曜日

練習は不可能を可能にする

Q:「練習は不可能を可能にする」とは何ですか。


A:(林明夫。以下略)慶應義塾の塾長をつとめられた小泉信三先生が、テニスをはじめスポーツをすけいおうぎじゆくこいずみしんぞうることで得られる、身につくものの1 つとして教えて下さったものです。

小泉先生は、スポーツをすることで3 つの大切なものが得られるとして、その3 つを「3 つの宝」と名付けられました。



Q:スポーツをやることで得られる「3 つの宝」とは何ですか。


A:(1)1 つは、今御紹介した「練習は不可能を可能にする」という考えです。

(2)今、このドッジボール合宿にお集まりのドッジボール選手の皆様も、ドッジボールを習いたてのころはあまり上手にドッジボールをすることができなかったと思います。

(3)しかし、コーチや監督の先生、先輩やお友達に教えていただきながら練習を積み重ねるあいだに、少しずつドッジボールが身につき、今日のようにドッジボールの試合や合宿ができるまでになったのだと思います。

(4)はじめはドッジボールのことが何もわからなかったのに、いろいろな方の指導のおかげで練
習を積み重ねることによって、試合に出場するまでになる。
はじめは不可能であったことが、練習によって可能になる。
これを知り、身につけることがスポーツの素晴らしさです。

(5)このことを、この「練習は不可能を可能にする」ということばは教えてくれます。




Q:3 つの宝」の2 つ目は何ですか。
A:(1)スポーツをすることで得られる、身につくものの2 つ目の宝は、「フェアプレイ」だと小泉信三先生は教えて下さいました。

(2)どのようなスポーツにもしてよいこととしてはいけないこと、ルールがあります。

(3)いやしいプレイをしてはいけない、ルールに反したプレイをしてはいけない。正々堂々胸を
張ってプレイをする、ルールをよく守ってプレイをすることが、どんなスポーツでも大事です。

(4)学校生活や、家庭や社会で生活するときも同じで、やってよいことよくないことは何か、学校や家庭、社会のルールをよく知り、「フェアプレイ」の考えでものごとを行うことが大事です。

(5)この「フェアプレイ」の考えが身につくのがスポーツであることを、小泉信三先生は教えて下さいました。




Q:「3 つの宝」の3 つ目は何ですか。


A:(1)「よき友」です。

(2)私は中学生のときに柔道を習ったのですが、監督の椎名弘先生から「練習で泣いて試合で笑え」と教えられ、厳しく鍛えられました。

(3)そのおかげで少しずつ柔道が身についていきましたが、それは厳しい練習でした。

(4)ただ、厳しく感じていたのは私だけでなく、いっしょに練習をした私の友達も同じく厳しく感じていたようです。

(5)厳しい監督の指導のもとで、力を合わせて練習をし、試合に出掛け、泣いたり笑ったりしているうちに、少しずつ皆仲良くなり友達になりました。

(6)これは、ドッジボールをしている皆様も同じだと思います。

(7)これが、スポーツをして得られる「3 つの宝」の3 番目の「よき友」の意味だと私は思います。
皆様はどうお考えですか。



Q:スポーツで得られるこの「3 つの宝」は、勉強にもあてはまるのですか。


A:(1)はい、3 つともあてはまると思います。
テストをやっているときは、人の答案を見るカンニングをしてはいけないなど、
テストのきまり、ルール通りにやらなければいけないので、「フェアプレイ」は勉強にもあてはまります。

(2)いっしょに勉強をしているとお友達もできますので、「よき友」も勉強にあてはまります。

(3)「練習は不可能を可能にする」は、勉強に一番あてはまるかもしれません。




Q:「練習は不可能を可能にする」は、どう勉強にあてはまるのですか。少し詳しく説明して下さい。



A:(1)勉強するときに一番大切なのは、先生の授業を聞いたり、本を自分で読んだりして「うんなるほど」「これはこういうことなのか」と「よくわかる」ことです。
これを「理解」といいます。

(2)一度「うんなるほど」と「よくわかった」あと、つまり「理解」したあと、次に大切なのは、それを身につけることです。
一度「うんなるほど」と「理解」したことを身につけることを、「定着」といいます。

(3)この「身につける」(「定着」)のときに大事なのが、3 つの練習です。



Q:えっ、勉強にも「3 つの練習」があるのですか。


A:はい。私は一度「うんなるほど」と「理解」したことを身につけるための練習に「定着のための三大練習」(3 つの大きな練習)と名付けました。




Q:「定着のための三大練習」とは何ですか。1 つ1 つ説明して下さい。

A:(1)1 つは「音読練習」です。

(2)「音読」とは、一度「うんなるほど」とよく「理解」した教科書やノート、プリントや参考書を大きな声を出してよく読むことです。

(3)何回も何十回も声を出して読む「音読練習」をして、今まで勉強したことを「スミからスミまで一語のこらず覚えてしまい、何も見ないでスラスラ口をついて言えるまでにする」。
これが大事です。

(4)そのためには、「声を出して読む練習」、「音読練習」は役に立ちます「練習は不可能を可能にする」のです。




Q 2つ目の練習は何ですか。


A (1)「書き取り練習」です。

(2)「音読練習」をして、教科書に書いてあることなどが「何も見ないでスラスラ言えるようになった」ら、それを紙に書いてみる。

書いてみて、正確に書けない「ことば」があったら、正確に書けるようになるまで、何回も何回も書く練習をする。

(3)これが「書き取り練習」です。




Q 3つ目の練習は何ですか。


A (1)「計算・問題練習」です。

(2)教科書や問題集に出ている計算や問題の答えが、なぜそのような答えになったのか「うんなるほど」とよく「理解」できたら、次にどうしたらよいのか。

例えば、5 + 8 = 13、7 × 8 = 56
などは、なぜ5 に8 をたすと13 になるのか、なぜ7 に8 をかけると56 になるのかと「うんなるほど」とよく「理解」できたらどうするか。

(3)計算や問題を見た瞬間にパッ、パッ、パッと正しい答えが出るようになるまで、何回も何十回も練習をすることです。これを「計算・問題練習」といいます。




Q そうですか。


A (1)はい。このように、一度「うんなるほど」と「理解」したものを自分のものとして身につける、「定着」させるには、3 つの大切な練習、つまり「定着のための三大練習」があります。

(2)この「定着のための3大練習」を熱心に行えば行うほど、勉強がよく身につきます。
学校のテストでどんな科目でもよい点数、100 点が取れるようになります。

(3)「練習は不可能を可能にする」。このことばは、勉強にもあてはまります。




Q 最後に一言どうぞ。


A 学力の高い人、成績のよい人は次のような人です。

(1)よく本や新聞を読む人
1.学校の教科書に出ていたり先生が紹介して下さったような本をじっくりゆっくり読むと、思慮深さが身につきます。
読んでいて「いいな」と思った文はノートに書き抜いて、何回も読み返して自分のものにしましょう。

2.新聞は毎日必ず読みましょう。新聞を毎日じっくり読むと、世の中のことがよくわかってきます。
自分で考える力が身につきます。ことばの数がどんどん増えます。

3.本や新聞を読んでいてわからない「ことば」があったら、必ず「辞書」を引きましょう。辞書で調べたことは必ず「ノート」に「メモ」をし、その「ノート」はいつも1 ページ目から「音読練習」と「書き取り練習」をしましょう。

4. 1 日に10 個、新しい「ことば」を辞書で調べ、コツコツと「音読練習」と「書き取り練習」を繰り返して身につければ、1 年は365 日ですから、1 年間で365 × 10 = 3650、3 年間で1 万以上の「ことば」が身につきます。
小さな積み重ねは大切な力となります。
「練習は不可能を可能にします」


(2)学力の高い人は勉強の仕方をよく身につけています。
1.学校で先生の授業をよく聞き、「うんなるほど」とよく「理解」することに全力を傾けています。

2.わからない「ことば」はどんどん辞書を引いて調べ、調べたことをノートにメモし、よく読み、よく書き、身につける努力をします。

3.授業中、大切なことはよくノートを取ります。
取ったノートを何回も何回もよく読み、よく書き、身につける努力をします。

4.授業が終わったあと、一度「うんなるほど」とよく「理解」したことを繰り返し声を出して読み、書く練習、計算や問題練習をします。
スミからスミまでよく身につけてしまいます。


(3)「練習は不可能を可能にする」
このことばは、ドッジボールはじめスポーツにも、勉強にもあてはまります。
スポーツに勉強にがんばって下さいね。



お話をお聴きいただき感謝します。

練習は不可能を可能にする

Q:「練習は不可能を可能にする」とは何ですか。


A:(林明夫。以下略)慶應義塾の塾長をつとめられた小泉信三先生が、テニスをはじめスポーツをすけいおうぎじゆくこいずみしんぞうることで得られる、身につくものの1 つとして教えて下さったものです。

小泉先生は、スポーツをすることで3 つの大切なものが得られるとして、その3 つを「3 つの宝」と名付けられました。



Q:スポーツをやることで得られる「3 つの宝」とは何ですか。


A:(1)1 つは、今御紹介した「練習は不可能を可能にする」という考えです。

(2)今、このドッジボール合宿にお集まりのドッジボール選手の皆様も、ドッジボールを習いたてのころはあまり上手にドッジボールをすることができなかったと思います。

(3)しかし、コーチや監督の先生、先輩やお友達に教えていただきながら練習を積み重ねるあいだに、少しずつドッジボールが身につき、今日のようにドッジボールの試合や合宿ができるまでになったのだと思います。

(4)はじめはドッジボールのことが何もわからなかったのに、いろいろな方の指導のおかげで練
習を積み重ねることによって、試合に出場するまでになる。
はじめは不可能であったことが、練習によって可能になる。
これを知り、身につけることがスポーツの素晴らしさです。

(5)このことを、この「練習は不可能を可能にする」ということばは教えてくれます。




Q:3 つの宝」の2 つ目は何ですか。
A:(1)スポーツをすることで得られる、身につくものの2 つ目の宝は、「フェアプレイ」だと小泉信三先生は教えて下さいました。

(2)どのようなスポーツにもしてよいこととしてはいけないこと、ルールがあります。

(3)いやしいプレイをしてはいけない、ルールに反したプレイをしてはいけない。正々堂々胸を
張ってプレイをする、ルールをよく守ってプレイをすることが、どんなスポーツでも大事です。

(4)学校生活や、家庭や社会で生活するときも同じで、やってよいことよくないことは何か、学校や家庭、社会のルールをよく知り、「フェアプレイ」の考えでものごとを行うことが大事です。

(5)この「フェアプレイ」の考えが身につくのがスポーツであることを、小泉信三先生は教えて下さいました。




Q:「3 つの宝」の3 つ目は何ですか。


A:(1)「よき友」です。

(2)私は中学生のときに柔道を習ったのですが、監督の椎名弘先生から「練習で泣いて試合で笑え」と教えられ、厳しく鍛えられました。

(3)そのおかげで少しずつ柔道が身についていきましたが、それは厳しい練習でした。

(4)ただ、厳しく感じていたのは私だけでなく、いっしょに練習をした私の友達も同じく厳しく感じていたようです。

(5)厳しい監督の指導のもとで、力を合わせて練習をし、試合に出掛け、泣いたり笑ったりしているうちに、少しずつ皆仲良くなり友達になりました。

(6)これは、ドッジボールをしている皆様も同じだと思います。

(7)これが、スポーツをして得られる「3 つの宝」の3 番目の「よき友」の意味だと私は思います。
皆様はどうお考えですか。



Q:スポーツで得られるこの「3 つの宝」は、勉強にもあてはまるのですか。


A:(1)はい、3 つともあてはまると思います。
テストをやっているときは、人の答案を見るカンニングをしてはいけないなど、
テストのきまり、ルール通りにやらなければいけないので、「フェアプレイ」は勉強にもあてはまります。

(2)いっしょに勉強をしているとお友達もできますので、「よき友」も勉強にあてはまります。

(3)「練習は不可能を可能にする」は、勉強に一番あてはまるかもしれません。




Q:「練習は不可能を可能にする」は、どう勉強にあてはまるのですか。少し詳しく説明して下さい。



A:(1)勉強するときに一番大切なのは、先生の授業を聞いたり、本を自分で読んだりして「うんなるほど」「これはこういうことなのか」と「よくわかる」ことです。
これを「理解」といいます。

(2)一度「うんなるほど」と「よくわかった」あと、つまり「理解」したあと、次に大切なのは、それを身につけることです。
一度「うんなるほど」と「理解」したことを身につけることを、「定着」といいます。

(3)この「身につける」(「定着」)のときに大事なのが、3 つの練習です。



Q:えっ、勉強にも「3 つの練習」があるのですか。


A:はい。私は一度「うんなるほど」と「理解」したことを身につけるための練習に「定着のための三大練習」(3 つの大きな練習)と名付けました。




Q:「定着のための三大練習」とは何ですか。1 つ1 つ説明して下さい。

A:(1)1 つは「音読練習」です。

(2)「音読」とは、一度「うんなるほど」とよく「理解」した教科書やノート、プリントや参考書を大きな声を出してよく読むことです。

(3)何回も何十回も声を出して読む「音読練習」をして、今まで勉強したことを「スミからスミまで一語のこらず覚えてしまい、何も見ないでスラスラ口をついて言えるまでにする」。
これが大事です。

(4)そのためには、「声を出して読む練習」、「音読練習」は役に立ちます「練習は不可能を可能にする」のです。




Q 2つ目の練習は何ですか。


A (1)「書き取り練習」です。

(2)「音読練習」をして、教科書に書いてあることなどが「何も見ないでスラスラ言えるようになった」ら、それを紙に書いてみる。

書いてみて、正確に書けない「ことば」があったら、正確に書けるようになるまで、何回も何回も書く練習をする。

(3)これが「書き取り練習」です。




Q 3つ目の練習は何ですか。


A (1)「計算・問題練習」です。

(2)教科書や問題集に出ている計算や問題の答えが、なぜそのような答えになったのか「うんなるほど」とよく「理解」できたら、次にどうしたらよいのか。

例えば、5 + 8 = 13、7 × 8 = 56
などは、なぜ5 に8 をたすと13 になるのか、なぜ7 に8 をかけると56 になるのかと「うんなるほど」とよく「理解」できたらどうするか。

(3)計算や問題を見た瞬間にパッ、パッ、パッと正しい答えが出るようになるまで、何回も何十回も練習をすることです。これを「計算・問題練習」といいます。




Q そうですか。


A (1)はい。このように、一度「うんなるほど」と「理解」したものを自分のものとして身につける、「定着」させるには、3 つの大切な練習、つまり「定着のための三大練習」があります。

(2)この「定着のための3大練習」を熱心に行えば行うほど、勉強がよく身につきます。
学校のテストでどんな科目でもよい点数、100 点が取れるようになります。

(3)「練習は不可能を可能にする」。このことばは、勉強にもあてはまります。




Q 最後に一言どうぞ。


A 学力の高い人、成績のよい人は次のような人です。

(1)よく本や新聞を読む人
1.学校の教科書に出ていたり先生が紹介して下さったような本をじっくりゆっくり読むと、思慮深さが身につきます。
読んでいて「いいな」と思った文はノートに書き抜いて、何回も読み返して自分のものにしましょう。

2.新聞は毎日必ず読みましょう。新聞を毎日じっくり読むと、世の中のことがよくわかってきます。
自分で考える力が身につきます。ことばの数がどんどん増えます。

3.本や新聞を読んでいてわからない「ことば」があったら、必ず「辞書」を引きましょう。辞書で調べたことは必ず「ノート」に「メモ」をし、その「ノート」はいつも1 ページ目から「音読練習」と「書き取り練習」をしましょう。

4. 1 日に10 個、新しい「ことば」を辞書で調べ、コツコツと「音読練習」と「書き取り練習」を繰り返して身につければ、1 年は365 日ですから、1 年間で365 × 10 = 3650、3 年間で1 万以上の「ことば」が身につきます。
小さな積み重ねは大切な力となります。
「練習は不可能を可能にします」


(2)学力の高い人は勉強の仕方をよく身につけています。
1.学校で先生の授業をよく聞き、「うんなるほど」とよく「理解」することに全力を傾けています。

2.わからない「ことば」はどんどん辞書を引いて調べ、調べたことをノートにメモし、よく読み、よく書き、身につける努力をします。

3.授業中、大切なことはよくノートを取ります。
取ったノートを何回も何回もよく読み、よく書き、身につける努力をします。

4.授業が終わったあと、一度「うんなるほど」とよく「理解」したことを繰り返し声を出して読み、書く練習、計算や問題練習をします。
スミからスミまでよく身につけてしまいます。


(3)「練習は不可能を可能にする」
このことばは、ドッジボールはじめスポーツにも、勉強にもあてはまります。
スポーツに勉強にがんばって下さいね。



お話をお聴きいただき感謝します。

2012年2月2日木曜日

ピザ(PISA)にからくりなし

中谷好江著「ピザ(PISA)にからくりなし」アピール
産経新聞2011 年1 月12 日刊を読む


1.私どもOECD(経済協力開発機構)が実施している国際学習到達度調査(ピザ)の信憑性を疑う立命館大教授の加地伸行氏のコラム「“ピザ”のからくり」が昨年暮れ(12 月26 日)掲載されました。

ご存じない方もいらっしゃると思いますのでこの機会にピザ(PISA)についてご紹介させていただきます。


2.まずピザの目的は、OECD 加盟34 ヵ国などの15 歳の男女を対象に義務教育終了時の読解力や数学的応用力、科学的応用力などを測定、把握することにあります。


3.調査は、国際センター経由で各国の調査実施機関に委託し、2000 年から3 年ごとに実施しています。


4.調査結果は、国際比較できるよう、企画や問題開発、対象集団の抽出、実施、採点方法などさまざまな順守事項などが定められています。


5.調査対象は、公立/私立、普通科/専門学科といった層別の人口規模に比例するように必要数の学校を抽出。次に学校内でまとまった人数(35 人)の生徒を抽出する「層化二段抽出法」を採用しています。


6.この方法では、恣意的に学力の高い学校や生徒を抽出することはできません。


7.採点については、事前に採点基準などのマニュアルが用意され、各国4 人の調査・採点担当者が独立して採点を行いますが、国際センターでも独自に用意した各国の言語に堪能な採点者が採点します。


8.これは、4 人の採点者間の採点の一致度・信頼性および国際センターの採点者との一致度・信頼性を対比させるためのもので、採点などを含め国際基準を満たさないと判定された場合は、結果は公表しません。


9.なお、すべて最高値だった得点など、加地教授が疑問視されていた初参加の上海の場合、PISA運営理事会が「客観的な調査を実施することが可能な地域である」と判断して地域参加を認めたもので、しかもその結果は中国全体の結果を示すものではありません。


[コメント]
OECD PISA(15 歳児対象の国際学習到達度調査)についての調査の主催者である中谷好江OECD東京センター所長によるわかりやすい解説、説明。

地域として参加した中国・上海市が3 部門で突然PISA の首位を独占したのでわきおこったPISA の調査方法に対する疑念を払拭するために書き記したものと思われる。

調査結果に疑問をはさむ時間があったら、一日も早く日本は上海や韓国、シンガポール、フィンランドに追いつく努力をすべきと私は思う。

- 2011 年1 月12 日林明夫記-

2012年2月1日水曜日

何のために仕事をするのか(3)

3.社会人になるに当たって考えておかなければならないこと

(1)アジアのよさ、日本のよさ、東京のよさ、江戸川区のよさ、瑞江第三中学校のよさ、友だちのよさ、家族のよさ、そして自分自身のよさとは何かを考えよう。

「よさ」はそのまま素直に認めよう。

「よさ」はどんどん伸ばすように努めよう。


(2)問題点は問題点として解決するように努めよう。


(3)本をたくさん読んで考えよう。

新聞を1日1時間読んで考えよう。(英字新聞も毎日読もう)


(4)「英語」と「コンピューター」は、できれば最大限身につけよう。

これに加えて、「専門分野」(これはという得意分野)を持とう。


(5)世の中には、様々な文化、伝統、ものごとの考え方(価値観)があることを知ろう。


(6)健康第一(身体の健康、心の健康)。「いつまでも若々しく生きる」(中村天風先生)


(7)勉強は一生続けよう。「一生勉強一生青春」(相田みつを先生)

「教育ある人」とは「勉強し続ける人」のこと。


(8)「一所懸命(一つの所で命を懸けるくらいの熱心さで)」ものごとに取り組もう

(足利高校マラソン大会)


(9)「ブルドック魂」

(食いついたら離すな)。(中学校のクラス担任岡田忠治先生)


(10)「自他共栄」

(自分も他人も共に栄えよう)。(中学校の柔道部長椎名弘先生)


(11)「会った人は皆友達」

(一期一会、出会いを大切にしよう)。(京都一燈園石川洋先生)


(12)「持続する志」

(志は高く持ち、一生持ち続けよう)。(小説家大江健三郎先生)

※「躾(しつけ)」を身につけよう。
・美しい立居振舞い(たちいふるまい)
・敬語表現を含む言葉遣(ことばづかい)

2012年1月31日火曜日

何のために仕事をするのか(2)

(イ)「定着」:一度「理解」したことを完全に正確に身につけること。


[A]「定着」にも、3つの段階がある。

・一度「うんなるほど」と「理解」したことを、何も見ないでスラスラ口をついて言えるまでにすること。

※そのためには、「何で勉強するか」をはっきりさせておくこと。
「教科書」「参考書」「ノート」など、勉強する対象をはっきりさせておくこと。

※「ノート」は、「定着」のために使用してはじめて「価値(大切さ)」が出る。
予習をしているときや授業中にノートに様々なことをメモし続けるのは、「定着」つまり「完全」に「正解」に身につけるため。
このポイントから、ノートの取り方、ノートのまとめ方も工夫しよう。

※スラスラ言えるまでにするのに一番よいのは、「音読」つまり「声に出して読む」こと。
何十回も、何百回も、一度「うんなるほど」とよく「理解」した内容を「音読」すると、何も見ずに正確に言えるようになる。

※「覚えようとして覚え込むこと」も大事。


・何も見ないで正確にスラスラに言えるようになったら、その内容を何も見ずに正確に楷書(かいしょ)で書けるようになるまで、「書き取りの練習」を何十回、何百回も繰り返すこと。

※正確に書けなければ、相手に正確に伝わらない。(テストでは得点もできない)

※「練習、練習、また練習」は部活動と同じ。


・授業や教科書でやったような基本的な問題は、その意味や内容が「うんなるほど」と「理解」できたら、問題を見た瞬間に条件反射で正解が出るまで、何十回、何百回も練習、練習、また練習で「問題練習」を繰り返すこと。

※一度やってよく理解できている問題は、「パッ、パッ」と瞬間的に答えが出るまでにしてはじめて、身についた、つまり「定着」したと言える。




[B]「仕事」についても、「仕事」の内容を一度「うんなるほど」と「理解」したら、その内容が「スラスラ口をついて正確に言えること」や「正確に楷書(かいしょ)で書けること」、仕事の上での基本的な計算は「問題を見た瞬間に正解が条件反射で出る」までにしておくことが求められる。

※「仕事」の内容について「一度うんなるほど」と「理解」したことを完全、正確に「定着」させるためには、学校での授業内容の「定着」と同様に、「音読」「書き取り」「計算(問題)練習」を何十回、何百回も繰り返すこと、つまり「練習、練習、また練習」が大切。
学校での勉強の方法と全く同じ。




[C]仕事を身につけるには、メモを自分自身のノート、マイ・ノートブックに取り続け、そのメモを完全、正確に自分のものとして身につけることが最も効果的。
学校での勉強方法(「理解」→「定着」)がそのまま役に立つ。


(ウ)「授業」等で一度「うんなるほど」と「理解」し、その内容を完全、正確に「定着」、身に付けた後はその「応用」が大切。




[A]「応用」には2つの内容がある。

・「理解」→「定着」した内容を活用し、テスト等で十分な得点(合格点)が取れること。

※そのためには、過去に出題された問題を5~ 10 年分くらい自分自身の力でゆっくり解き、正確に解けなかった問題を研究すること。
どこかで間違った問題があったら、間違えた原因は何かを考える。

(a)「理解」が足りなければ、教科書や参考書、ノートなどをもう一度勉強し直し、「うんなるほど」と「よくわかる」ようにする。
どうしても、自分一人の力ではわかるようにならなければ、先生に質問する。

(b)「定着」が足りないことが原因で間違えたのであれば、「音読」「書き取り」「問題練習」を何十回、何百回も繰り返す。
「練習、練習、又練習」で完全、正確に身に付くまでにする。

(c)「応用」力が不足することが原因でできなかったのであれば、少し難しめの問題や、その試験で実際に出題された問題を数多く解く練習をする。

※同じ問題が出たら二度と間違えないようにするには、5~6回同じ問題を解くこと。

・実際の生活で役に立てる力を身につけること。(社会で役立てること)

※そのためには、間違えることを恐れず、どんどん使ってみること。
チャレンジする以外にない。




[B]この「応用」の勉強方法こそ、「仕事」に最も役立つ。
仕事の上では、放っておけば同じような問題が毎日のように発生することもある。
問題が発生し続けることを放置し続ければ、よい仕事はできない。
お客様の問題解決にならない。
問題の発生する原因を発見し、どんどん解決し続ける必要がある。

※なぜ「仕事」がうまくできないのか、その原因を考えて、対策を練り上げ、うまく「仕事」ができるようにしてはじめて、よい「結果」を出せる。

(エ)このように、中学での勉強の方法や生活の方法は、仕事に役立つ(Decent Work ディーセント・ワーク)に直結する。

2012年1月28日土曜日

何のために仕事をするのか(1)

東京都江戸川区立瑞江第三中学校第3学年
出張授業資料
2006 年11 月17 日(金)

-ディーセント・ワーク(Decent Work)に就くことをめざそう-


1.「人は何のために働くのか」を考えよう

(1)「ディーセント・ワーク」(Decent Work)という考えがある。


(2)decent には、「適正な」「ちゃんとした」という意味がある。
では、何がDecent Work(ディーセント・ワーク)なのか。

(ア)生活できるだけの収入が得られる仕事

(イ)自己実現できる仕事


(3)「仕事」とは何か。

(ア)世の中に役に立つこと。人様のお役に立つこと。

(イ)世の中や人様のお役に立つとは何か。
仕事には、「お客様」がいる。
その「お客様」の「問題解決」になること。

(ウ)「お客様」の「問題解決」になってはじめて「仕事」をしたことになる。
「結果」を出さなければ、「仕事」をしたことにはならない。


(4)「お客様」の「問題」は、時代の変化とともに急激に変化し続ける。
「急激」に変化し続ける「お客様」の「問題」を「解決」してはじめて「仕事」をしたといえ
る。


(5)「仕事」をしていると必ず「競争相手」が存在する。
「競走相手」もまた、「急激」に変化し続ける「お客様」の「問題」を「解決」しようと創意工夫をし続ける。


(6)「競争相手」との「競争」に負けると、「仕事」を失い、「失業」することになる。


(7)ただし、いくら競争相手に勝っても、社会のルールに反した方法で仕事をしてはならない。

(ア)刑罰の対象になる行為は認められない。

(イ)法律違反は認められない。

(ウ)道徳に反する行為は認められない。

(エ)社内の規定に反する行為も認められない。
※そのためには、刑罰の対象となる行為とは何か、法律とは何か、道徳とは何か、社内で決めた規定とは何かを知らなければならない。「知らない」ことは認められない。


(8)これに加えて、「企業の社会的責任」
(CSR:Corporate Social Responsibility コーポリート・ソーシャル・リスポンシビリティー)が求められる。


(9)最も大切なことは、「社会的使命」(missio、ミッション)といえる。
企業に課せられた「社会的使命」、「企業目的」、「企業倫理」とは何かをいつも考え仕事をし続けること。


(10)「労働生産性」が低ければ、国内外の競争に勝つことはできない。




2.中学生時代に学んでほしいこと
-中学校での勉強の方法、生活の方法は、仕事に役立つ(Decent Workに直結する)-

(1)学習には3段階ある(学習の3段階理論)

(ア)「理解」:うんなるほどと納得すること。よくわかること。腑(ふ)に落ちること。


[A]理解をするために必要なこと。
・「欠席」、「遅刻」、「早退」をしないこと。
※授業に欠席、遅刻、早退をしては、先生がいくら熱心にていねいに教えてくれても、そこに存在しないのだから「理解」は難しい。

・「忘れ物」をしないこと。
※教科書や副教材、ノート、筆記用具、その他授業に必要な「道具」を忘れると、授業を受け「理解」することが難しい場合が多い。
学習効果が半減する場合が多い。

・「私語(おしゃべり)」をしないこと。
※「私語(おしゃべり)」は、先生の話を注意して聞いていないのだから、自分の「理解」が減少されると同時に、「話し相手」の「理解」や「周囲の人々」の「理解」も妨げる。
授業をする先生の授業計画の進行も大いに妨害する行為。

・「居眠り」をしないこと。
※眠っていては、「理解」はできない。

・身体の状況がよいこと。
※体調が悪くては、「理解」はできない。

・授業の内容以外のことをやったり、考えたりしないこと。
※授業に集中しなければ、「理解」はできない。


[B]仕事をするときも全く同じ。
上記のようなことがあると、仕事にはならない。職場でこのようなことが度重なると、仕事を失う原因ともなる。


[C]仕事をする上で、新しいことを学び続ける必要がたえず生じる。
そのときにこのようなことがあると、必要なことを学ぶ第一歩としての「理解」が妨
げられる。


[D]学校での授業態度は、仕事の上でも非常に役立つ。
特に「早寝、早起き、朝ごはん」つまり「規則正しい生活」や「健康(身体の健康、心の健康)」は大切。
※病気がある場合には、病気と闘って、少しでもよくなるように努力しよう。


[E]この「理解」は、「学校」で先生の授業を聞かなくても、職場で誰かから教わらなくても、本やその他のもので自分一人でも可能。
ただし、わからないことが出てくることが多いの
で、「辞書」や「参考書」、「インターネット」などで調べる方法を身に付けておく必要がある。
「図書館」の使い方も身につけておく必要がある。

2012年1月27日金曜日

なぜ学ぶのかを考える

東京都足立区立千寿青葉中学校
1 年1・2 組B グループ出張授業資料
2006 年9 月27日


-学ぶことを怠るとどうなるか-


1.仕事の内容(なぜこの仕事をしているのか)

(1)仕事の内容は「問題解決」

・何が問題なのか

・なぜその問題が起こったのか

・a とりあえずどうしたらよいのか
b 4~5年先までにどうしたらよいか


(2)株式会社開倫塾代表取締役社長


(3)マニー株式会社社外取締役


(4)宇都宮大学大学院情報工学研究科非常勤講師


(5)栃木県教育委員会栃木県社会教育委員


(6)宇都宮市教育委員会学校制度改革委員会委員


(7)学校法人有朋学園東日本高等学院評議員


(8)社会福祉法人両崖福祉会特別養護老人ホーム清明苑理事・評議員


(9)社団法人経済同友会幹事、NPO社会起業委員会副委員長



2.学校で学んだことがどう仕事に生きているのか

(1)自己学習能力(自分で勉強する力)


(2)学習の3段階

・理解…授業を受け、「うんなるほど」とよくわかること

・定着…よくわかった内容を確実に身につけること
a 「音読」で、何も見ないでスラスラ言えるようになる
b 「書き取り」で、何も見ないで楷書(かいしょ)で書ける
c 「問題練習」で、やさしい問題はサッと答えが出せる

・応用…a テストで満点が取れる
b 社会でどんどん使える


(3)読書図書館の使い方を知り、活用する…「書き抜き読書ノート」


(4)新聞を毎日読んで考える…新聞記事の切り抜き


(5)部活動の目的
美しい立居振舞い(たちいふるまい)
身体を鍛える
躾(しつけ)を身につける
敬語表現を含む言葉づかい


(6)生徒会活動、学級活動


(7)そうじ、運動会、修学旅行


(8)一番役に立つのは実技4科



3.好きなことば


(1)一生青春、一生勉強(相田みつを)


(2)教育ある人とは勉強し続ける人(ドラッカー)


(3)ブルドック魂、食いついたらはなすな(岡田忠治先生…中学校の担任)


(4)自他共栄(椎名弘先生…講道館の教え、中学校の部活動の先生)


(5)一所懸命(足利高校マラソン大会のスローガン)


(6)独立自尊(慶應義塾創始者福沢諭吉)

2012年1月25日水曜日

ディーセント・ワーク(Decent Work)をめざして (3)

Q:仕事や活動をする上での、今後の課題は何ですか。



A:「人口減少」と「国際化」、「IT 化」の3つです。

少子化、高齢化の進む日本は、人口が減り始める「人口減少」の社会に突入しました。

FTA(Free Trade Agreement フリー・トレード・アグリーメント自由貿易協定)や

EPA(Economic Partnership Agreement エコノミック・パートナーシップ・アグリーメント経済連携協定)などが、

これから多くの国々と日本との間で締結されますので、人の動き、ものやサービスの動き、お金の動きが今まで以上に自由になり、「国際化」が進みます。

IT を中心にした通信技術が数10 倍単位、いやそれ以上の単位でどんどん進歩し、「IT 化」がとめどなく進んでいきます。





Q:世の中の動きと仕事の内容は関係があるのですか。



A:仕事も社会的活動も世の中の動きに合わせて内容を変えていかなければ、何の役にも立たなくなる場合がほとんどですので、大いに関係があります。

世の中の動きを見誤って、昨日のように今日があり、今日のように明日があると考え、十年一日の如(ごと)く仕事のやり方を全く変えずにいると、

お客様はどんどん減っていき、「生活できるだけの収入」を得ることが難しくなる場合が多いようです。

企業であれば、倒産する場合もあります。





Q:進路を考えるにあたって、中学校、高等学校時代にしておくべきことは何ですか。



A:本日、私の話をお聴き下さっている皆様方の大部分は、高校卒業後に4年制の大学に進学なさると思います。

そうであるなら、大学に進学しても困らないだけの基礎的な学力を、中学校、高校時代に身につけておくことをおすすめします。

一番のおすすめは、興味や関心のある科目あるいは得意科目は、遠慮なく好きなだけ勉強することです。

学年に関係なく、知りたいという欲求つまり「知的な欲求」があったら、中学生であっても高校生の内容にまで、

高校生であっても大学生や大学院生の内容にまで踏み込んで、どんどん自分の力で先へ先へと勉強なさることをおすすめします。

だからといって、タウリンを入手して動物や人体に実験するなどといった法令違反、倫理に反する行いだけは絶対にしないこと。

作ることができるからといって、爆弾を作ったり、それを実際に使用することは、厳に戒めるべきことです。





Q:興味のもてない科目や、不得意科目はどうしたらよいのですか。



A:大学センター入試や、二次試験に合格できるだけの力はどんなことがあっても身につけるべきです。

これに加えて、自分が進学したい学部をできるだけ早く決めて、その学部で勉強するのに必要な中学、高校の科目は抜かりなく勉強しておくことをおすすめします。

例えば、地域環境の勉強を大学でしたいのなら、生物、化学、物理だけでなく地学も必要です。

大学入試科目としてとらなくても、高校で地学の授業があったら必ず履修して下さい。

地学の授業がなければやさしい高校生用の参考書を自分で買い、高校1年生のうちから勉強することです。

中学生のうちから勉強してもよいのですよ。勉強に遠慮は要りません。

2012年1月24日火曜日

ディーセント・ワーク(Decent Work)をめざして (2)

Q:社会で役に立つ仕事とは、どのようなものですか。




A:「仕事」は、お客様のために「製品(もの)をつくること」と、お客様に「サービスを提供すること」の2つに分けられます。


「製品(もの)をつくること」、「サービスを提供すること」のどちらも、お客様にとって「問題解決」になっていなければ仕事とは言えず、
仕事の「対価」として「生活できるだけの収入を得る」ことはできません。


また、いくら「製品(もの)」をつくり「サービス」を提供してお客様の「問題解決」になっても、
「価格(値段)」が高すぎたり、不便な「場所」で提供されたりしたのでは、お客様は受け取ったり利用したりすることができません。


さらに、製品やサービスの販売促進やPR、つまりお客様とのコミュニケーションが不十分であると、お客様にそのよさ(価値)を知ってもらうことができず、
せっかくつくったものや用意したサービスを買ってもらえません。


つまり、お客様が抱えている「問題解決」になるような「製品やサービス」を、お客様が買うことのできる手ごろな「価格」で、利用しやすい便利な場所で提供し、
そのよさ(価値)をお客様とのコミュニケーションで十分知ってもらい、お客様のお役に立つ、その結果はじめて「生活できるだけの収入を得ること」ができるといえます。





Q:「生活できるだけの収入を得る」ことは、世の中の役に立つことだと考えればよいのですね。



A:その通りです。
だからこそ、「仕事」は収入を得るだけではなく人生の貴重な時間の一部を注ぎ込むに値するものであると私は思います。


先ほど、「ディーセント・ワーク」の意味として、「働く価値のある仕事」と紹介しましたが、
「働く価値がある仕事」であるからこそ「仕事を通して自己実現」できる、つまり「その仕事に人生を懸けて打ち込める」といえます。


私は、「一つの所に命を懸ける」くらい熱心にものごとを行うという意味での「一所懸命」ということばが好きです。


1つ1つの仕事の「社会的使命(mission,ミッション)」、つまり社会における自分の仕事の意味・大事さが分かれば分かるほど、自分の人生の貴重な一部をそのために使いたいと思うようになりました。
これが、仕事を通しての「自己実現」です。





Q:仕事をして得た喜びはありますか。やりがいはありますか。



A:私が現在行っているのは、「企業の経営者としての仕事」と「社会的な活動」の2つです。


どちらも、「企業としての社会的な使命(mission,ミッション)」や社会的な活動としての「社会的な使命(mission,ミッション)」を少しでも果たすことができたときには、
喜びがあり、やりがいを感じます。





Q:仕事をしていて失敗はありますか。



A:あとで考えれば、毎日が失敗の連続のような気もします。
ああすれば、もっとよりよくできたのにと思うことばかりです。


小学生の時に、一日の終わりに反省会というものがありました。
今でも毎日が反省会の連続です。


ただ、仕事の上での失敗は一回は許されても二回は許されません。
同じような失敗をしないように失敗から教訓を学び取るようにしています。


仕事の上で事前に入念な「段取り」、つまり準備を丹念に行っておけば、失敗する確率はかなり減ります。
複雑なものほど、仕事の順序(process プロセス、手順)を抜かりなく考えるようにしています。


また、大事な問題ほど「耳に痛いことを言ってくれる人ほど尊い人だ」と考えるようにしています。
スタッフには、
・どこに問題があるのか
・その原因は何だと推定されるのか
・緊急措置としてとりあえずどうすればよいのか
・ゆくゆくはどのようにシステムを改革したらよいのか
などを、できるだけ具体的に、そして自由に発言してもらうようにしています。


「問題点を先送りにしない」ことが大事なので、タブーなしで自由に発言してもらってから、最高責任者が私の場合には自分の責任で一人で決定を下します。


ただ、私の考えた決定と異なる考え方をする人が一人でもいる場合には、私が決定に到ったプロセス(process, 過程)をできるだけ具体的に分かりやすく説明し、
理解した上で協力してもらえるように努力しています。
これを「説明責任(accountability, アカウンタビリティ)」といいます。

2012年1月23日月曜日

ディーセント・ワーク(Decent Work)をめざして(1)

社会で働くことの意義を考える



Q:人間は、何のために働くのですか。働くことの意義は何ですか。



A:(林明夫:以下省略)「生活できるだけの収入を得ること」と同時に、自己実現をすること」であると私は考えます。

皆さんは、「ディーセント・ワーク」ということばをご存知ですか。
英語でdecent(ディーセント)とは、「見苦しくない、上品な、かなり(りっぱ)な、寛大な、親切な」という意味です。

*参考までに、形容詞decent の名詞形はdecency で「礼儀(正しさ)、上品さ、寛大、親切」の意味があり、decency の複数形decencies は「礼儀作法、見苦しくない生活状況」を意味します。

このdecent(ディーセント)にwork(ワーク)をつけたのが、decent work(ディーセント・ワーク)ということばです。







Q:何ですか。その「ディーセント・ワーク」というのは。



A:国際連合の一機関であるILO(International Labor Organization インターナショナル・レイバー・オーガニゼーション世界労働機関)の事務局長のジュアン・ソマビア(Mr. Juan Somavia)という人が、1999 年に就任した際に、ILO のこれからの理念・活動目標として示したのが「ディーセント・ワーク」です。

「ディーセント・ワーク」とは何か。このことばからは、いろいろな意味が考えられます。たとえば、「きちんとした仕事」、「働く価値のある仕事」、「適正な仕事」、「人間らしい仕事」、「尊厳ある仕事」、「人間としての尊厳を保つ仕事」、などなどです。

堀内光子ILO 駐日代表は、ディーセント・ワークを「働く人の権利が確保され、社会保護が保障され、労使対話のある仕事。
いってみれば、「人間らしく安心して働ける仕事」と説明しています。

私は、このILO の示した「ディーセント・ワーク」ということばを参考にして、働くことの意
義、意味を「生活できるだけの収入を得ること」と「自己実現をすること」と考えました。







Q:「仕事」というものは、社会で役に立つのですか。



A:ある人が自分の仕事だと考え行っていることでも、法令に反したり、倫理に反するものは、社会で役に立たないと考えられます。

しかし、法令に反しないこと、倫理に反しないことであるなら、ほとんどの仕事は社会で役に立つものばかりだと考えられます。


次回:社会で役に立つ仕事とは