2012年1月31日火曜日

何のために仕事をするのか(2)

(イ)「定着」:一度「理解」したことを完全に正確に身につけること。


[A]「定着」にも、3つの段階がある。

・一度「うんなるほど」と「理解」したことを、何も見ないでスラスラ口をついて言えるまでにすること。

※そのためには、「何で勉強するか」をはっきりさせておくこと。
「教科書」「参考書」「ノート」など、勉強する対象をはっきりさせておくこと。

※「ノート」は、「定着」のために使用してはじめて「価値(大切さ)」が出る。
予習をしているときや授業中にノートに様々なことをメモし続けるのは、「定着」つまり「完全」に「正解」に身につけるため。
このポイントから、ノートの取り方、ノートのまとめ方も工夫しよう。

※スラスラ言えるまでにするのに一番よいのは、「音読」つまり「声に出して読む」こと。
何十回も、何百回も、一度「うんなるほど」とよく「理解」した内容を「音読」すると、何も見ずに正確に言えるようになる。

※「覚えようとして覚え込むこと」も大事。


・何も見ないで正確にスラスラに言えるようになったら、その内容を何も見ずに正確に楷書(かいしょ)で書けるようになるまで、「書き取りの練習」を何十回、何百回も繰り返すこと。

※正確に書けなければ、相手に正確に伝わらない。(テストでは得点もできない)

※「練習、練習、また練習」は部活動と同じ。


・授業や教科書でやったような基本的な問題は、その意味や内容が「うんなるほど」と「理解」できたら、問題を見た瞬間に条件反射で正解が出るまで、何十回、何百回も練習、練習、また練習で「問題練習」を繰り返すこと。

※一度やってよく理解できている問題は、「パッ、パッ」と瞬間的に答えが出るまでにしてはじめて、身についた、つまり「定着」したと言える。




[B]「仕事」についても、「仕事」の内容を一度「うんなるほど」と「理解」したら、その内容が「スラスラ口をついて正確に言えること」や「正確に楷書(かいしょ)で書けること」、仕事の上での基本的な計算は「問題を見た瞬間に正解が条件反射で出る」までにしておくことが求められる。

※「仕事」の内容について「一度うんなるほど」と「理解」したことを完全、正確に「定着」させるためには、学校での授業内容の「定着」と同様に、「音読」「書き取り」「計算(問題)練習」を何十回、何百回も繰り返すこと、つまり「練習、練習、また練習」が大切。
学校での勉強の方法と全く同じ。




[C]仕事を身につけるには、メモを自分自身のノート、マイ・ノートブックに取り続け、そのメモを完全、正確に自分のものとして身につけることが最も効果的。
学校での勉強方法(「理解」→「定着」)がそのまま役に立つ。


(ウ)「授業」等で一度「うんなるほど」と「理解」し、その内容を完全、正確に「定着」、身に付けた後はその「応用」が大切。




[A]「応用」には2つの内容がある。

・「理解」→「定着」した内容を活用し、テスト等で十分な得点(合格点)が取れること。

※そのためには、過去に出題された問題を5~ 10 年分くらい自分自身の力でゆっくり解き、正確に解けなかった問題を研究すること。
どこかで間違った問題があったら、間違えた原因は何かを考える。

(a)「理解」が足りなければ、教科書や参考書、ノートなどをもう一度勉強し直し、「うんなるほど」と「よくわかる」ようにする。
どうしても、自分一人の力ではわかるようにならなければ、先生に質問する。

(b)「定着」が足りないことが原因で間違えたのであれば、「音読」「書き取り」「問題練習」を何十回、何百回も繰り返す。
「練習、練習、又練習」で完全、正確に身に付くまでにする。

(c)「応用」力が不足することが原因でできなかったのであれば、少し難しめの問題や、その試験で実際に出題された問題を数多く解く練習をする。

※同じ問題が出たら二度と間違えないようにするには、5~6回同じ問題を解くこと。

・実際の生活で役に立てる力を身につけること。(社会で役立てること)

※そのためには、間違えることを恐れず、どんどん使ってみること。
チャレンジする以外にない。




[B]この「応用」の勉強方法こそ、「仕事」に最も役立つ。
仕事の上では、放っておけば同じような問題が毎日のように発生することもある。
問題が発生し続けることを放置し続ければ、よい仕事はできない。
お客様の問題解決にならない。
問題の発生する原因を発見し、どんどん解決し続ける必要がある。

※なぜ「仕事」がうまくできないのか、その原因を考えて、対策を練り上げ、うまく「仕事」ができるようにしてはじめて、よい「結果」を出せる。

(エ)このように、中学での勉強の方法や生活の方法は、仕事に役立つ(Decent Work ディーセント・ワーク)に直結する。

2012年1月28日土曜日

何のために仕事をするのか(1)

東京都江戸川区立瑞江第三中学校第3学年
出張授業資料
2006 年11 月17 日(金)

-ディーセント・ワーク(Decent Work)に就くことをめざそう-


1.「人は何のために働くのか」を考えよう

(1)「ディーセント・ワーク」(Decent Work)という考えがある。


(2)decent には、「適正な」「ちゃんとした」という意味がある。
では、何がDecent Work(ディーセント・ワーク)なのか。

(ア)生活できるだけの収入が得られる仕事

(イ)自己実現できる仕事


(3)「仕事」とは何か。

(ア)世の中に役に立つこと。人様のお役に立つこと。

(イ)世の中や人様のお役に立つとは何か。
仕事には、「お客様」がいる。
その「お客様」の「問題解決」になること。

(ウ)「お客様」の「問題解決」になってはじめて「仕事」をしたことになる。
「結果」を出さなければ、「仕事」をしたことにはならない。


(4)「お客様」の「問題」は、時代の変化とともに急激に変化し続ける。
「急激」に変化し続ける「お客様」の「問題」を「解決」してはじめて「仕事」をしたといえ
る。


(5)「仕事」をしていると必ず「競争相手」が存在する。
「競走相手」もまた、「急激」に変化し続ける「お客様」の「問題」を「解決」しようと創意工夫をし続ける。


(6)「競争相手」との「競争」に負けると、「仕事」を失い、「失業」することになる。


(7)ただし、いくら競争相手に勝っても、社会のルールに反した方法で仕事をしてはならない。

(ア)刑罰の対象になる行為は認められない。

(イ)法律違反は認められない。

(ウ)道徳に反する行為は認められない。

(エ)社内の規定に反する行為も認められない。
※そのためには、刑罰の対象となる行為とは何か、法律とは何か、道徳とは何か、社内で決めた規定とは何かを知らなければならない。「知らない」ことは認められない。


(8)これに加えて、「企業の社会的責任」
(CSR:Corporate Social Responsibility コーポリート・ソーシャル・リスポンシビリティー)が求められる。


(9)最も大切なことは、「社会的使命」(missio、ミッション)といえる。
企業に課せられた「社会的使命」、「企業目的」、「企業倫理」とは何かをいつも考え仕事をし続けること。


(10)「労働生産性」が低ければ、国内外の競争に勝つことはできない。




2.中学生時代に学んでほしいこと
-中学校での勉強の方法、生活の方法は、仕事に役立つ(Decent Workに直結する)-

(1)学習には3段階ある(学習の3段階理論)

(ア)「理解」:うんなるほどと納得すること。よくわかること。腑(ふ)に落ちること。


[A]理解をするために必要なこと。
・「欠席」、「遅刻」、「早退」をしないこと。
※授業に欠席、遅刻、早退をしては、先生がいくら熱心にていねいに教えてくれても、そこに存在しないのだから「理解」は難しい。

・「忘れ物」をしないこと。
※教科書や副教材、ノート、筆記用具、その他授業に必要な「道具」を忘れると、授業を受け「理解」することが難しい場合が多い。
学習効果が半減する場合が多い。

・「私語(おしゃべり)」をしないこと。
※「私語(おしゃべり)」は、先生の話を注意して聞いていないのだから、自分の「理解」が減少されると同時に、「話し相手」の「理解」や「周囲の人々」の「理解」も妨げる。
授業をする先生の授業計画の進行も大いに妨害する行為。

・「居眠り」をしないこと。
※眠っていては、「理解」はできない。

・身体の状況がよいこと。
※体調が悪くては、「理解」はできない。

・授業の内容以外のことをやったり、考えたりしないこと。
※授業に集中しなければ、「理解」はできない。


[B]仕事をするときも全く同じ。
上記のようなことがあると、仕事にはならない。職場でこのようなことが度重なると、仕事を失う原因ともなる。


[C]仕事をする上で、新しいことを学び続ける必要がたえず生じる。
そのときにこのようなことがあると、必要なことを学ぶ第一歩としての「理解」が妨
げられる。


[D]学校での授業態度は、仕事の上でも非常に役立つ。
特に「早寝、早起き、朝ごはん」つまり「規則正しい生活」や「健康(身体の健康、心の健康)」は大切。
※病気がある場合には、病気と闘って、少しでもよくなるように努力しよう。


[E]この「理解」は、「学校」で先生の授業を聞かなくても、職場で誰かから教わらなくても、本やその他のもので自分一人でも可能。
ただし、わからないことが出てくることが多いの
で、「辞書」や「参考書」、「インターネット」などで調べる方法を身に付けておく必要がある。
「図書館」の使い方も身につけておく必要がある。

2012年1月27日金曜日

なぜ学ぶのかを考える

東京都足立区立千寿青葉中学校
1 年1・2 組B グループ出張授業資料
2006 年9 月27日


-学ぶことを怠るとどうなるか-


1.仕事の内容(なぜこの仕事をしているのか)

(1)仕事の内容は「問題解決」

・何が問題なのか

・なぜその問題が起こったのか

・a とりあえずどうしたらよいのか
b 4~5年先までにどうしたらよいか


(2)株式会社開倫塾代表取締役社長


(3)マニー株式会社社外取締役


(4)宇都宮大学大学院情報工学研究科非常勤講師


(5)栃木県教育委員会栃木県社会教育委員


(6)宇都宮市教育委員会学校制度改革委員会委員


(7)学校法人有朋学園東日本高等学院評議員


(8)社会福祉法人両崖福祉会特別養護老人ホーム清明苑理事・評議員


(9)社団法人経済同友会幹事、NPO社会起業委員会副委員長



2.学校で学んだことがどう仕事に生きているのか

(1)自己学習能力(自分で勉強する力)


(2)学習の3段階

・理解…授業を受け、「うんなるほど」とよくわかること

・定着…よくわかった内容を確実に身につけること
a 「音読」で、何も見ないでスラスラ言えるようになる
b 「書き取り」で、何も見ないで楷書(かいしょ)で書ける
c 「問題練習」で、やさしい問題はサッと答えが出せる

・応用…a テストで満点が取れる
b 社会でどんどん使える


(3)読書図書館の使い方を知り、活用する…「書き抜き読書ノート」


(4)新聞を毎日読んで考える…新聞記事の切り抜き


(5)部活動の目的
美しい立居振舞い(たちいふるまい)
身体を鍛える
躾(しつけ)を身につける
敬語表現を含む言葉づかい


(6)生徒会活動、学級活動


(7)そうじ、運動会、修学旅行


(8)一番役に立つのは実技4科



3.好きなことば


(1)一生青春、一生勉強(相田みつを)


(2)教育ある人とは勉強し続ける人(ドラッカー)


(3)ブルドック魂、食いついたらはなすな(岡田忠治先生…中学校の担任)


(4)自他共栄(椎名弘先生…講道館の教え、中学校の部活動の先生)


(5)一所懸命(足利高校マラソン大会のスローガン)


(6)独立自尊(慶應義塾創始者福沢諭吉)

2012年1月25日水曜日

ディーセント・ワーク(Decent Work)をめざして (3)

Q:仕事や活動をする上での、今後の課題は何ですか。



A:「人口減少」と「国際化」、「IT 化」の3つです。

少子化、高齢化の進む日本は、人口が減り始める「人口減少」の社会に突入しました。

FTA(Free Trade Agreement フリー・トレード・アグリーメント自由貿易協定)や

EPA(Economic Partnership Agreement エコノミック・パートナーシップ・アグリーメント経済連携協定)などが、

これから多くの国々と日本との間で締結されますので、人の動き、ものやサービスの動き、お金の動きが今まで以上に自由になり、「国際化」が進みます。

IT を中心にした通信技術が数10 倍単位、いやそれ以上の単位でどんどん進歩し、「IT 化」がとめどなく進んでいきます。





Q:世の中の動きと仕事の内容は関係があるのですか。



A:仕事も社会的活動も世の中の動きに合わせて内容を変えていかなければ、何の役にも立たなくなる場合がほとんどですので、大いに関係があります。

世の中の動きを見誤って、昨日のように今日があり、今日のように明日があると考え、十年一日の如(ごと)く仕事のやり方を全く変えずにいると、

お客様はどんどん減っていき、「生活できるだけの収入」を得ることが難しくなる場合が多いようです。

企業であれば、倒産する場合もあります。





Q:進路を考えるにあたって、中学校、高等学校時代にしておくべきことは何ですか。



A:本日、私の話をお聴き下さっている皆様方の大部分は、高校卒業後に4年制の大学に進学なさると思います。

そうであるなら、大学に進学しても困らないだけの基礎的な学力を、中学校、高校時代に身につけておくことをおすすめします。

一番のおすすめは、興味や関心のある科目あるいは得意科目は、遠慮なく好きなだけ勉強することです。

学年に関係なく、知りたいという欲求つまり「知的な欲求」があったら、中学生であっても高校生の内容にまで、

高校生であっても大学生や大学院生の内容にまで踏み込んで、どんどん自分の力で先へ先へと勉強なさることをおすすめします。

だからといって、タウリンを入手して動物や人体に実験するなどといった法令違反、倫理に反する行いだけは絶対にしないこと。

作ることができるからといって、爆弾を作ったり、それを実際に使用することは、厳に戒めるべきことです。





Q:興味のもてない科目や、不得意科目はどうしたらよいのですか。



A:大学センター入試や、二次試験に合格できるだけの力はどんなことがあっても身につけるべきです。

これに加えて、自分が進学したい学部をできるだけ早く決めて、その学部で勉強するのに必要な中学、高校の科目は抜かりなく勉強しておくことをおすすめします。

例えば、地域環境の勉強を大学でしたいのなら、生物、化学、物理だけでなく地学も必要です。

大学入試科目としてとらなくても、高校で地学の授業があったら必ず履修して下さい。

地学の授業がなければやさしい高校生用の参考書を自分で買い、高校1年生のうちから勉強することです。

中学生のうちから勉強してもよいのですよ。勉強に遠慮は要りません。

2012年1月24日火曜日

ディーセント・ワーク(Decent Work)をめざして (2)

Q:社会で役に立つ仕事とは、どのようなものですか。




A:「仕事」は、お客様のために「製品(もの)をつくること」と、お客様に「サービスを提供すること」の2つに分けられます。


「製品(もの)をつくること」、「サービスを提供すること」のどちらも、お客様にとって「問題解決」になっていなければ仕事とは言えず、
仕事の「対価」として「生活できるだけの収入を得る」ことはできません。


また、いくら「製品(もの)」をつくり「サービス」を提供してお客様の「問題解決」になっても、
「価格(値段)」が高すぎたり、不便な「場所」で提供されたりしたのでは、お客様は受け取ったり利用したりすることができません。


さらに、製品やサービスの販売促進やPR、つまりお客様とのコミュニケーションが不十分であると、お客様にそのよさ(価値)を知ってもらうことができず、
せっかくつくったものや用意したサービスを買ってもらえません。


つまり、お客様が抱えている「問題解決」になるような「製品やサービス」を、お客様が買うことのできる手ごろな「価格」で、利用しやすい便利な場所で提供し、
そのよさ(価値)をお客様とのコミュニケーションで十分知ってもらい、お客様のお役に立つ、その結果はじめて「生活できるだけの収入を得ること」ができるといえます。





Q:「生活できるだけの収入を得る」ことは、世の中の役に立つことだと考えればよいのですね。



A:その通りです。
だからこそ、「仕事」は収入を得るだけではなく人生の貴重な時間の一部を注ぎ込むに値するものであると私は思います。


先ほど、「ディーセント・ワーク」の意味として、「働く価値のある仕事」と紹介しましたが、
「働く価値がある仕事」であるからこそ「仕事を通して自己実現」できる、つまり「その仕事に人生を懸けて打ち込める」といえます。


私は、「一つの所に命を懸ける」くらい熱心にものごとを行うという意味での「一所懸命」ということばが好きです。


1つ1つの仕事の「社会的使命(mission,ミッション)」、つまり社会における自分の仕事の意味・大事さが分かれば分かるほど、自分の人生の貴重な一部をそのために使いたいと思うようになりました。
これが、仕事を通しての「自己実現」です。





Q:仕事をして得た喜びはありますか。やりがいはありますか。



A:私が現在行っているのは、「企業の経営者としての仕事」と「社会的な活動」の2つです。


どちらも、「企業としての社会的な使命(mission,ミッション)」や社会的な活動としての「社会的な使命(mission,ミッション)」を少しでも果たすことができたときには、
喜びがあり、やりがいを感じます。





Q:仕事をしていて失敗はありますか。



A:あとで考えれば、毎日が失敗の連続のような気もします。
ああすれば、もっとよりよくできたのにと思うことばかりです。


小学生の時に、一日の終わりに反省会というものがありました。
今でも毎日が反省会の連続です。


ただ、仕事の上での失敗は一回は許されても二回は許されません。
同じような失敗をしないように失敗から教訓を学び取るようにしています。


仕事の上で事前に入念な「段取り」、つまり準備を丹念に行っておけば、失敗する確率はかなり減ります。
複雑なものほど、仕事の順序(process プロセス、手順)を抜かりなく考えるようにしています。


また、大事な問題ほど「耳に痛いことを言ってくれる人ほど尊い人だ」と考えるようにしています。
スタッフには、
・どこに問題があるのか
・その原因は何だと推定されるのか
・緊急措置としてとりあえずどうすればよいのか
・ゆくゆくはどのようにシステムを改革したらよいのか
などを、できるだけ具体的に、そして自由に発言してもらうようにしています。


「問題点を先送りにしない」ことが大事なので、タブーなしで自由に発言してもらってから、最高責任者が私の場合には自分の責任で一人で決定を下します。


ただ、私の考えた決定と異なる考え方をする人が一人でもいる場合には、私が決定に到ったプロセス(process, 過程)をできるだけ具体的に分かりやすく説明し、
理解した上で協力してもらえるように努力しています。
これを「説明責任(accountability, アカウンタビリティ)」といいます。

2012年1月23日月曜日

ディーセント・ワーク(Decent Work)をめざして(1)

社会で働くことの意義を考える



Q:人間は、何のために働くのですか。働くことの意義は何ですか。



A:(林明夫:以下省略)「生活できるだけの収入を得ること」と同時に、自己実現をすること」であると私は考えます。

皆さんは、「ディーセント・ワーク」ということばをご存知ですか。
英語でdecent(ディーセント)とは、「見苦しくない、上品な、かなり(りっぱ)な、寛大な、親切な」という意味です。

*参考までに、形容詞decent の名詞形はdecency で「礼儀(正しさ)、上品さ、寛大、親切」の意味があり、decency の複数形decencies は「礼儀作法、見苦しくない生活状況」を意味します。

このdecent(ディーセント)にwork(ワーク)をつけたのが、decent work(ディーセント・ワーク)ということばです。







Q:何ですか。その「ディーセント・ワーク」というのは。



A:国際連合の一機関であるILO(International Labor Organization インターナショナル・レイバー・オーガニゼーション世界労働機関)の事務局長のジュアン・ソマビア(Mr. Juan Somavia)という人が、1999 年に就任した際に、ILO のこれからの理念・活動目標として示したのが「ディーセント・ワーク」です。

「ディーセント・ワーク」とは何か。このことばからは、いろいろな意味が考えられます。たとえば、「きちんとした仕事」、「働く価値のある仕事」、「適正な仕事」、「人間らしい仕事」、「尊厳ある仕事」、「人間としての尊厳を保つ仕事」、などなどです。

堀内光子ILO 駐日代表は、ディーセント・ワークを「働く人の権利が確保され、社会保護が保障され、労使対話のある仕事。
いってみれば、「人間らしく安心して働ける仕事」と説明しています。

私は、このILO の示した「ディーセント・ワーク」ということばを参考にして、働くことの意
義、意味を「生活できるだけの収入を得ること」と「自己実現をすること」と考えました。







Q:「仕事」というものは、社会で役に立つのですか。



A:ある人が自分の仕事だと考え行っていることでも、法令に反したり、倫理に反するものは、社会で役に立たないと考えられます。

しかし、法令に反しないこと、倫理に反しないことであるなら、ほとんどの仕事は社会で役に立つものばかりだと考えられます。


次回:社会で役に立つ仕事とは