2012年9月17日月曜日

「勉強とは何か」を考える(8)


---続き

(3)更に、その内容を他人に伝えた方がよければ、わかりやすいことばで説明をし、伝えるためにはどうしたらよいかを考えること。

他人のために伝えようと考えたことを文章にしておくことも有用です。そのとき大事なのは、次の孔子の教えです。

「論語」に、「曽(そう)子(し)曰(い)わく、吾(われ)、日に三たび吾が身を省(かえり)みる。

人の為(ため)に謀(はかり)りて忠(ちゆう)ならざるか。

朋友(ほうゆう)と交わりて信ならざるか。

習わざるを伝(つと)うるか。

(通釈)孔子の門人の曽子が言った。

私は一日の中で何回も何回も主として次の点について反省する。

一つは、他人のために相談に乗った時、ほんとうに誠意をもって考えてやったか、ということ。

二つは、友達との交際において、信義を尽くさないことはなかっただろうか。

そして、三つには、まだ自分の知識として完全に消化されていない事がらを、他人に教え伝えはしなかっただろうか、と。」(四-四)とあります。

*前掲書、4~5ページより引用。

孔子の教えにあるように、自分でよくわからないことは伝えないことが、相手のことをよく考えれば当然であります。

《4.経営者あるいは経営幹部として活躍し続けるために今勉強されているテーマは何でしょうか?今後勉強すべきだと自覚されているテーマは何でしょうか?3つ程あげて下さい。》

Q:経営者あるいは経営幹部としての勉強にはどのようなものがあるとお考えですか。
A:経営者としての「一般教養」、経営者としての「専門的教養」、経営者としての「専門知識」、この3つだと私は思います。

Q:経営者としての「一般教養」とは何ですか。
A:人間とは一体何なのか、人間の幸せとは一体何なのか。

人は何のために生きるのか。人類はどのような歴史をたどって現在に至ったのか。

日本は、この地域は、これまでどのような状況で、これからどうなるのか。

日本をとりまく国々は現在どのような状況なのか。これからどうなるのか。

とりわけ、地域紛争は、戦争はどのような状況か。

日本、アジア、世界の経済状況はどのようになっているのか。当地の経済状況はどうなっている
か。

日本の財政、少子高齢化、人口減少、外国政策、消費税の動向はどうか。為替の状況。円高が進めば進むほど増える失業の状況。

要するに、世界や日本の歴史・地理・哲学・思想などをふまえ、日本経済新聞に書いてある程度のことがよく「理解」できるか否かが経営者としての「一般教養」の目標かもしれません。

併せて、日刊紙「ヘラルドトリビューン」「フィナンシャル・タイムズ」やロンドンで編集されている週刊経済誌「The Economist(エコノミスト)」が読みこなせるレベルが、経営者としての「一般教養」の目標かもしれません。

Q:「経営者としての専門的教養」とは何ですか。

A:チェーン展開(多店舗展開)するのに、チェーンストア理論を知らないでするのは、戦いに行くのに武器なしで行くのと同じで、負けははじめから決まっています。

会社が大きくなっているのに、「財務」、「マーケティング」や「戦略論」を知らないのでは話にもなりません。

---続く 

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2012年9月10日月曜日

「勉強とは何か」を考える(7)

---続き

その分野の「師匠」、「大家」の先生の教えは、はじめの数年間は別世界、もっといえば宇宙の言葉を聞いているようですが、だんだん慣れてきますと、例えば10~15年くらいたつと霧が晴れたように「ああ、あれはそういうことだったのか」と、「ジワーッ」とわかってくることが多いようです。

ただ、頭でいくらかはわかっても、実際にそれが実行できるまでにはもう5~10年くらいはかかるのが普通です。

なぜなら、頭ではわかっても、しくみがなかなかでき上がらないからです。

その道の「大家」、「師匠」の教えが実行できるまでには、早くて15年、普通20年~25年かかるのではないかと考えます。

ただ、時間はかかっても、その道の「大家」「師匠」の下に就くのと、そうでない人の下で学ぶのとでは雲泥の差が生じます。

第3は、「励まし合う仲間」を一人でも多くもつことです。

「勉強」は「一所懸命」になればなるほど辛いものです。

その辛さ、ストレスのために、勉強を途中で中断する人は山ほどいます。

そこで大切なのが「励まし合う仲間」を一人でも多くもつことだと思います。

様々な勉強会に行き、心と心が触れ合った人とちょっとの間だけでも立ち話をしたり、時間があったら食事をしたり、お茶を飲むこと。

できれば、行き帰りを一緒にしてその間に話をすること。

もっと親しくなったら、相互に訪問し合い、率直に意見交換をすることが「勉強」を進める上で大事です。

例えば、高井伸夫先生の主宰する「東京高井倶楽部」のメンバーは、高井伸夫先生を囲んでの勉強会が終了後、近くのカフェでソフトドリンクを飲みながら、近況報告をし、お互いの悩みを打ち明けたり、これからどうするかを親しく話し合っています。

「励まし合う仲間」を高井先生によって作ってもらえたと喜び感謝しています。

第4は、自分自身で勉強会を主宰し、志を同じとする人をたとえ数名でも集めて、定期的にお互いの勉強を深めることです。

例えば、開倫塾では1997年より経営品質について研究をし、日本経営品質賞を目指した取り組みをスタート。

地方版ではありますが、教育機関としては日本で初めて2002年に栃木県経営品質賞知事賞を受賞しました。

教育機関で経営品質の勉強をするところはないかと探しましたが、見い出すことができませんでしたので、受賞後、全国の教育機関の中で経営品質の勉強をしたい人を募り「教育経営品質研究会」を立ち上げ(2003年度)、毎年10回位勉強会を開催しています。

2007年度で4年目に入りました。

10名内外の小さな研究会ですが、メンバー同志が相互訪問をしたり、昨年よりその研究会のメンバーが中心となって、年1回先生方の授業の腕を競う「全国模擬授業大会」を開催するに至りました。

2008年度は、日本の学習塾や予備校にあたる韓国の「学院」の先生方にも日本の先生の授業を見て頂く計画をしています。

第5は、勉強した内容を自分なりによく「理解」し、その内容を「身に付ける」、つまり「定着」させて、実際の生活や活動、仕事に「役立てる」ことです。

(1)よく理解するためには、厚目のノート・ブックに勉強している内容の「メモ」を取り続けること。

取った「メモ」や勉強会等で配付された資料に十分目を通して「理解」したり、必要な内容を「定着」(身に付ける)するための「時間」が必要と考えます。

昼間の空いている時間、夜の1時間や早朝の1時間は、勉強した内容の「理解」と「定着」のための時間とすることが大切だと考えます。

(2)同時に、「理解」「定着」した内容を「自分の頭でまとめること」、まとめ上げたことをできるだけ簡単な文章にして残しておくこと。

そのまとめ上げた文章を何回も何十回も読み直し、どうしたらよいかを考え抜くことも大切かと思います。

---続く

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2012年9月5日水曜日

「勉強とは何か」を考える(6)

---続き

第4は、旅行です。

人は、国内・国外を問わず様々な場所を訪れることにより、多様性(自分と異なった文化、言語、価値観をもった人々が存在し、生きていること)を知ることができます。

自分と自分と共に生きている人を大切にするように、旅行中に訪れる地の人々も、自分自身と共に生きる人たちを大切にしていることを知ることで、「寛容」とは何か、「寛容な心」の大切さを学ぶことができます。

第5は、少人数、できれば1対1で議論することです。

10名までの少人数の勉強会は非常に有用です。

とりわけ1対1、つまり2人での「対話」は、「本格的な勉強」のためには有用と考えます。

第6は、以上第1から第5の「勉強」をふまえて、ものごとの本質を自分の頭で考える自分自身での自問自答、「自分自身との対話」が最も「勉強」になる方法と確信いたします。

Q:勉強の成果を上げるためにどのような工夫をしていますか。5つ程あげて下さい。

A:第1は、まずはその分野で日本で最高の勉強ができる場所、できれば全世界で最高の勉強ができる場所を探し当て、そこで開かれる勉強会に積極的に参加することです。
例えば、私は「マニー株式会社」の「社外取締役」に3年前に就任しました。
その7年前の1997年より、企業統治(コーポレート・ガバナンス)の勉強をしていました。
企業統治(コーポレート・ガバナンス)の勉強をするのに世界で最もよいと思われる団体が、ICGN(International Corporate Governance Network、インターナショナル・コーポレート・ガバナンス・ネットワーク)であることを知りました。
その後、日本で世界大会が開催されたとき会議に参加させて頂いて以来、会員になっております。
日程の都合で世界大会や会合には余り出席はできませんが、郵便やe-mailで配信されてくるICGからの最新の情報は、できるだけ目を通しています。
来年の2008年には、6月にソウルで世界大会があるので、是非参加しようと考えています。
日本でのコーポレート・ガバナンスの勉強は、①「日本コーポレート・ガバナンス・フォーラム」、②「日本取締役協会」、③「全国社外取締役ネットワーク」などが盛んなようです。
私は①と③に入会し、時間が許す範囲で参加しています。
特に③の「全国社外取締役ネットワーク」は、大規模、中規模の勉強会の他に、5~6名の少人数での意見交換を目指すグループでの活動が頻繁に開催されて、社外取締役としての実務上の「勉強」に役立っています。
第2は、その分野での「師匠」、「大家」と呼ぶに値する先生を探し当て、その先生が主宰する勉強会に何をおいても参加させて頂くことです。
例えば、開倫塾はチェーンでの校舎展開を目指しておりますので、チェーンストア理論に基づいた経営が求められます。
日本でのチェーンストア理論の権威は渥美俊一先生ですので、私は渥美俊一先生の主宰するペガサスクラブに入会させて頂き、渥美先生の御著書をできるだけ読むと同時に、ペガサスセミナーにできるだけ参加させて頂いています。
また、ペガサスクラブの速記録で公刊されているものは、できるだけ買い求め、手元に置き、何回も読み返しています。
同時に、ペガサスクラブで教えを受けた講師の先生(例えば、川崎進一先生、会田玲司先生、武川先生)の本もできるだけ買い求め、読み進めると同時に、先生方の勉強会、例えば会田玲司先生の主宰する日本ホームセンター研究所の会員になり、その勉強会にも参加しています。
---続く
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