2012年5月24日木曜日
公務員(国家公務員、地方公務員)の免職法制の活用を(1)
Q:国および地方の行政改革は、民間企業の目から見れば財務がほぼ破綻状況にあるため避けて通れないようです。国や地方自治体の予算のうち人件費の占める割合が高いようですが、公務員は財政状況悪化を理由に免職つまり解雇できるのでしょうか。
A:(林明夫:以下省略)公務員の身分を規定する国家公務員法と地方公務員法の上では、免職つまり解雇は可能です。
『国家公務員法78条 職員が、左の各号の一に該当する場合においては、人事院規則の定めるところにより、その意に反してこれを降任し、又は免職することができる。四(号)官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合』
『地方公務員法第28条 ①職員が左の各号の一に該当する場合においては、その意に反して、これを降任し、又は免職することができる。四(号)職制若しくは定数の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合』
Q:国家公務員、地方公務員ともに、仕事がなくなったり、仕事に割当てられた定員が削減されたり0(ゼロ)になったりしたときや予算が少なくなって仕事がなくなったり、人員が多すぎたときは免職つまり解雇できるのですね。驚きました。今までに、この条文を使って免職つまり解雇をしたことはあるのですか。
A:昭和20年代の前半、吉田内閣の下で、戦争が終わって軍隊から戻った国家公務員数万人は、国家公務員法第78条第4号の適用があり免職つまり解雇されたようです。以来、この国家公務員法第78条第4号の適用事例はありません。
Q:林さんは、国家公務員や地方公務員の免職つまり解雇には賛成なのですか。
A:仕事がなくなったり、財政状況が悪化して予算が組めなくなったなど国家公務員法第78条第4号や地方公務員法第28条第4号に規定されている場合には、公務員であっても免職つまり解雇される場合がありうると考えます。
簡素で効率的な政府(中央政府、地方政府)」づくりに、この法律を積極活用すべきと考えます。
Q:この法律を活用するにはどうしたらよいのですか。
A:国家公務員法第78条に関する「人事院規則」を定めることが先決です。先頃、憲法改正に関する国民投票法が制定されました。憲法の条文の中には国民投票を経て憲法を改正する条項があるのに、憲法改正の国民投票法という手続き法がないために、実質上憲法改正ができない状況が憲法制定以来続きました。法的整合性の欠如、何もしなかったことの責任(不作為責任、ふさくいせきにん)が問われ、先頃ようやく憲法改正に関する国民投票法が成立の運びとなりました。同様に、この国家公務員法第78条の国家公務員の免職条項についても、人事院規則の未整備は、法的整合性の欠如、何もしなかったことの責任つまり不作為(ふさくい)責任が問われますので、早急な法規定の整備が求められます。
2012年5月19日土曜日
地方の中堅・中小企業の活性化や事業継承に、外国企業も含め戦略的MandAの最大活用を
丸の内北口通信(4) 2007年9月4日
-事業縮小や事業削減は地方経済を直撃する-
Q:林さんは、地方経済活性化の決め手は何だと考えますか。
A:(林明夫:以下省略)はい。3つあると考えます。
1つは、国際競争力のある企業の「本社」や国際競争力のある企業の「RandD機能付きの事業部」の立地であると確信します。
2つ目は、地方の中堅企業・中小企業の活性化のために、外国企業も含め戦略的MandAを最大活用することと考えます。
3つ目は、1と2を加味しながら国際競争力のある地域クラスター(産業集積)を促進することです。
Q:2つ目を少し詳しく説明して下さい。
A:デフレ経済の下で少子高齢化が進むと、地方の中堅企業や中小企業での事業の活性化が進まず、また、事業承継が困難になり、企業の倒産に到らないまでも、事業縮小や事業消滅する企業がジリジリと増えることが予想されます。
税収が減り、地方財政が改善しないだけでなく、雇用の吸収力が減少し、失業率が増し、地域に住む人々の生活基盤自体が脅かされる直接の原因となります。
ではどのようにしたらよいかといえば、外国からの投資も含めての戦略的なMandAを通じて、事業を活性化させると同時に、事業の継承の道をしっかりとつくり続けることも一つの解決策と考えます。
Q:戦略的なMandAとは何ですか。
A:本業つまりコアコンピタンス(核となる能力)、企業ドメインを明確化し、それからはずれた事業は、外国企業も含め得意な方にどんどん売却する。
本業をより強くすることに必要と思われる会社や他の会社の事業部門は、外国企業も含めどんどん買収する。
地元の企業が規模縮小したり、消滅してしまうことによる地域経済の打撃は計り知れません。
失業ということになれば、人々の生活の基盤さえ脅かします。税収が減れば、福祉や教育、社会インフラの整備がたち行かなくなり、住むことのできない街になってしまいます。
企業の最大の社会的責任(CSR)は、事業の規模を縮小しないこと、会社を消滅させないこととも言えます。
地方の中堅企業・中小企業であっても、グローバル化が進んだ今日、国際競争力のある活動が求められますので、MandAの分野でも対内直接投資(FDI. Foreign Direct Investment フォーリン・ダイレクト・インベストメント)は戦略的に考えて歓迎すべきと考えます。
外国企業の買収も積極的に行うべきと考えます。
地方自治体としても、中堅企業や中小企業の事業縮小や事業承継者が見つからないことによる事業消滅問題を産業政策上の大切な課題と考え、MandAを外国からの対内直接投資(FDI)も含めて積極的に促進すべきと考えます。
*外国企業が日本企業や日本企業の一部分を買収する場合には、管理責任者は、単身ではなく家族とともに日本の地元に住むことになります。
地方自治体として、外国人が安心して住むことのできる社会インフラ、つまり英語ですべての授業が行われる国際学校(インターナショナルスクール)、英語の通じる病院、街なかの公共施設・商業施設における英語によるありとあらゆる表示などの整備が求められます。
外国人にとっての優しい街づくり(Foreigner Friendly Town)が緊急課題となります。
2012年5月17日木曜日
独立行政法人の見直し後には、徹底した「事業仕分け」の導入を (2)
3.見直し後の独立行政法人に一番必要なのは、「経営能力」のある人材。
(1)公務員であった者は、すぐに事業体の経営を行えと命じても、事実上は不可能であることが多い。
アッと言う間に大赤字の垂れ流しに陥ることが多い。
(2)これを避けるには、2つの方法がある。
・予め「経営者人材」を準備するしくみをつくり上げること。2007年問題を上手に活用すれば、高い志を持つ有能な人材は民間に「山ほど」存在する。
・独立行政法人の中に現在いる人材を活用せざるを得ないのであれば、インターンシップを含む「研修システム」を構築する以外にない。
4.世界各国の行政改革には、独立行政法人の合理化の先進事例、ベストプラクティスと失敗事例は、山ほどある。
日本は、この分野では、「遅れて来た者の利益(Late Comer's Advantage レイト・カマーズ・アドバンテージ)」を十分享受できる立場にある。
もうこれ以上の失敗は許されないのだから、国民の利益のために慎重かつ大胆に改革を進めたい。
2012年5月16日水曜日
独立行政法人の見直し後には、徹底した「事業仕分け」の導入を (1)
丸の内北口通信(3) 2007年8月28日
-見直し後の経営能力ある経営(だれが何をやるか)が肝要-
1.どんどん進む独立行政法人の見直し
(1)政府の行財政改革推進本部は、経済財政諮問会議の民間議員からの提案「独立行政法人のゼロベースでの見直しを(2007年5月9日提出)」を踏まえての「骨太方針2007(6月19日閣議決定)」に基づき、
「行政減量・効率化有識者会議」を発足させ、独立行政法人全101法人の整理合理化計画策定に向け検討。
(2)有識者会議は、8月10日に「独立行政法人整理合理化計画の策定に係わる基本方針」を取りまとめ、閣議決定された。
(3)①8月末までに、各主務大臣が独立行政法人整理合理化案を提出
②9月以降、有識者会議と関連会議において議論
③12月下旬に、政府は、「独立行政法人整理合理化計画」を決定
の予定だ。
2.独立行政法人の見直し後には、徹底した「事業仕分け」の導入を
(1)「見直し」も大事だが、「見直し」後に納税者の視点でどこまで徹底した改革を行うかを、今回の改革では忘れてはならないと確信する。
(2)私は、「見直し後」つまり「合理化計画」を政府が決定した直後から、具体的には2008年1月から、所謂(いわゆる)「事業仕分け」の手法で各独立行政法人の全業務を詳細に「仕分け」ることを提言したい。
(3)「有識者会議」や「関連会議」では、独立行政法人版の「事業仕分け」の具体的手法を本年中に議論し、「事業仕分け」の指針を予め明示。
「見直し後の独立行政法人の評価項目」の中に、予め明示すべきと考える。
(4)「事業仕分け」を、独立行政法人に応用して考える。
①まずは、その事業が必要かどうかを判断し、不要であれば廃止。
必要である場合は、民間企業ができるものであれば、すべて民間企業に委ねる。
つまり、事業を開放する。既得権益化しない。
②見直し後の各々の独立行政法人のすべての業務を、「市場化テスト」つまり「官民競争入札」の対象とすることも考えられる。
③民間に委ねるべき業務でないものでも、他の自治体等も含む公的機関や独立行政法人が行った方が効率性が高いものは、そちらに委ねる。
(5)「事業仕分け」には、外部の「目利き能力」のある「仕分け協力グループ」の存在が不可欠である。
経済同友会などの経済団体や弁護士、税理士、公認会計士、コンサルタントなどの専門家の業界団体、ニュービジネス協議会や全国社外取締役ネットワーク、
日本評価学会、経済学や経営学関係の各学会などにも呼びかけ、「事業仕分け」協力者グループを予め組織化しておくことも必要だ。
2012年5月12日土曜日
学社(学校と社会)融合を目指して -千葉県習志野市立鷺沼小学校から学ぶ-(2)
5.学社(学校と社会)融合の大きな成果
(1)このような活動が継続されてくると
①教育内容が充実し、子どもの学校生活が豊かになる。
②大人の喜びになり、地域活動が積極的になる。
③コミュニケーションの幅が広がり、人間関係作りの能力が育成できる。
*今の充実とこれからの育成に意義がある。
(2)このように、学校と地域の融合は、学校開放という視点だけでなく、人と人との結びつきによる「教育の充 実」と「街づくり」の視点で考えられる。
①地域にいる多様な能力を持つ大人と子どもが結びついての街づくりとなっていけば、どのようなことでも推進できる。
②自分の住む街をよりよくしたいという願いは、すべての人が持っているから。
③その中核に、子どもがいる。
6.「できる人が、できる時に」「無理なく」「楽しく」、これが連続していける学社(学校と社会)融合の秘訣
(1)活動を共にした子どもを知っている大人が地域にいるので
①成長して、中・高校生になったあとも
②放課後や休日にも 地域の人が子どもを見守ってくれる。
(2)教師には、その地域からの転勤があるが、地域の多くの人は転居しない。
(3)コミュニケィスクールは年間200日×8時間だが、スクールコミュニティは年間365日×24時間。
①教育内容が充実し、街づくりが推進され、子どもは元気になる。
②子どもが、自分の家族以外に信頼できる大人や家族が地域にいること。
③親もまた、地域の家族に目を向けられるように。
7.原風景が人間形成に及ぼす影響は大である
以上の内容は、宮崎稔大妻女子大学非常勤講師、前鷺沼小学校校長からお伺いしたものである。(文責、明夫)
実質上財政破綻している中で、高額な税金を使って建設した学校設備が、少子化のため児童・生徒数が減少して十分に使われない状況にある。
社会に開放して、公共財の有効活用を図るべきである。
また、学校教育の抱える問題が多岐・複雑で、学校だけでは解決不可能な場合も多い。
この学社融合の取り組みは、検討に値すると確信する。
2012年5月8日火曜日
学社(学校と社会)融合を目指して -千葉県習志野市立鷺沼小学校から学ぶ-(1)
鷺沼小では、朝9時から夜9時まで土、日も学校の空教室の民間開放をすすめている。
1.授業以外でも、地域の人による子どもとの交流がある。
(1)「学校という聖域」で大人と子どもが活動する学社融合は、世代間交流による街づくりそのもの。ここに、地域再生・教育改革の鍵がある。
(2)技術を持たない人でも自由に参加できるので、若い父親や母親が子どもと共に参加して、高齢の人と共に活動する。
(3)例えば、鷺沼小の「おやじの会」によるヤキイモ会では、廃材を切ったり薪割りをするところから始まる。子どもたちは、6年生になるまで「まさかり」は使わせてもらえない。これは、鷺沼小の「おやじの会」の厳しい約束だ。
2.鷺沼小の授業事例
(1)技術を持っている人は、生き甲斐(がい)を持って小学校の学社融合活動に参加する。
①高齢者の生き甲斐は、人々への役立ち感を持ちながら生き続けること。街で子どもたちに出会ったときに、声を掛けられたりすると無上の喜びとなる。
②高齢者は、「技術がある」「時間がある」「子どもの学びのペースで待つことができる」。
(2)高齢者は、経験がある。
①それを語れる場があることで、役立ち感となる。
②戦争体験の語り授業。今は病気療養中だが、枕元には子どもからの感想文がある。「来年も6年生に語れるように、元気にならなくちゃ!」と療養に励んでいる。
(3)授業は、学校生活で一番重要なもの。
①校長も、率先して授業研究を行うとよい。
②担任以外の大人が日常的に教室に来るという雰囲気が当たり前になる一方で、授業を大切にする校内の緊張感が高まる。
③ボランティアによる放課後の授業も。「陶芸」は、大人も楽しみ。
④無理のない範囲で子どもとの触れ合いが活発に行われることは、地域で共に生活する大人(特に高齢者)にとって喜びとなる。
3.安全を守る
(1)日常的な活動の積み上げを通して、学校からの「子どもを守ろう」という呼びかけにも、地域はすぐに反応する。
(2)自分の孫が通う学校、自分の子どもが通った学校は、「おらが街の学校」そのものだからだ。
4.街づくりのための「人材」についての3つの考え
(1)学校へ来てくれる、能力ある大人。
-学校へ来てくれること自体が、能力と考える-
(人材バンクとして固定するのではない)
(2)ただ学校で子どもと共に過ごす大人
-大人の後ろ姿を、子どもに見せたい-
(3)子どもこそ「人材」ということが、街づくりの過程でわかってきた
*子どもの安全に関する参加は、街づくりの意識を形成するのに取り掛かりやすい
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