2012年10月27日土曜日

モラルハザードに陥った日本(2)

---続き

6.まず、長期債の暴落(長期金利の急上昇)からはじまり、円安、株安に波及していくと予想される。

国債を大量に保有している金融機関の預金に対する取り付け騒ぎが発生することまで、考えておくべきであろう。

公共事業に依存する企業や借入金過多の企業の株は売られる。

政府保証が付いている中小企業向けの融資についても、将来的な不確実性の高まりは否定できず、想定される倒産確率の変更も不可避となり、企業間信用がパニックに陥る。外国人投資家の日本売りと日本の預金者の外貨買いが殺到するため、為替は「円暴落」となるだろう。

7.日銀は混乱を収拾するため、短期金融市場に大量の資金を供給するという事態に追い込まれる可能性が強い。

すなわち紙幣を大量に印刷して市中にバラ撒く状況である。

人々のインフレ心理に火が付き、国内の物価が急速に上昇する恐れさえも否定できない。

そうなれば、現在の円建ての預金や債券の実質価値も下落する。

8.しかし、「市場の反乱」は同時に、日本再生の、一つの悲しいシナリオを描き出す。

最初に、輸出によって外貨を稼ぐことのできる製造業輸出企業が立ち上がる。

外貨から見ると円は急落し、国内の労働者に支払う賃金も同様の調整を受ける。

こうした、日本の輸出企業の価格競争力の急速な回復を喜ぶべきなのかどうか。

9.アジア通貨危機を経験した韓国が良い例である。

アジア通貨危機の結果、韓国ウォンは急速に下がり、日本円や米ドル建てで評価した韓国内の労働者の賃金は大幅に低下した。

多くの韓国国民は生活水準の低下に苦しむことになった。

しかし、国内の業界再編と企業淘汰が進展した結果、現在の韓国の電機会社、たとえば三星(サムスン)やLG は、日本の国際的な電機メーカーと比較すると、「選択と集中」を強制的に迫られる局面をくぐらされることになった。

価格競争力の回復も見られた。

10.政府はどうなるか。

政府債務は相当分、実質減額となることが考えられる。

年金支給についてはインフレによる目減りは回避できず、社会的な摩擦の種が一挙に撒かれることになる。

年金生活者や高齢者を困窮させることが、どのような社会的影響をもたらすのか、誰も予想できない局面を迎えよう。

---続く

p.s
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2012年10月22日月曜日

モラルハザードに陥った日本

日本経済再生のために最優先で取り組むべきは財政再建である。


厳格な財政規律を欠いたままの財政運営を漫然と続けるならば、「市場の反乱」が起きる可能性が高い。

市場が望む形で財政再建を行うのであれば、徹底的な歳出削減と、政府活動の規模のダウンサイジングを合わせた超緊縮財政以外に選択肢はない。

国際的な比較をすれば、消費税率の15%程度までの引き上げは可能であるが、もし長期金利が現状より3%程度上昇すればそれだけで増税分は借金の利払い費用に消えるため、財政再建は進まない。

1.日本経済が再び持続的成長経路を発見するために、最優先でやらなければならないことは財政再建である。

財政収支の改善見通しもなく、規律に欠ける財政運営を漫然と続けるならば、この先2015 年までのどこかで、「市場の反乱」が起きる可能性が高い。

2.「市場の反乱」とは、市場規律や市場メカニズムを無視するような形で長期間にわたり形成されてきた相場の歪みに対して、経済の本当の実力、すなわちファンダメンタルズ(基礎的諸条件)ゆがを反映するような本来の相場水準を「回復」すべく、市場メカニズムが突如覚醒することを指す。
3.「市場の反乱」は暴力的であり、過激な形で生じる。

したがって、反乱が収束しても「バブル崩壊」という表現が使われることが多い。

日本の場合は、国債バブル、すなわち高過ぎる債券価格・低過ぎる長期金利を一気に是正する圧力がかかる可能性がある。

4.「市場の反乱」の特徴が暴走や混乱と異なるのは、国債バブルが崩壊した後のシナリオがそれなりに描かれている点である。

持続性のある適正な相場水準と、現在の行き過ぎて歪んだ相場水準との間の価格差を、狙撃するものだからだ。

価格発見機能や価格メカニズムによる効率的な資源配分機能を取り戻そうとして、蓄積したマグマが噴出する、市場の自律的な動きであるともいえよう。

5.それでは日本国債に対して「市場の反乱」が起きたとすればどうなるか。   ---続く   p.s 開倫塾では中学3年生の高校入試のための「合格必勝パック」を全国販売しております。 詳しくはこちら

2012年10月13日土曜日

「勉強とは何か」を考える(10)

---続き

(2)仕事上の知識を身に付けるのに教科書は普通ありません。

上司、同僚、顧客、ビジネスパートナー、地域社会の皆様から教えて頂いたものをどのように身に付けるかが大事です。

私の提案は、仕事の上で必要と思われることはひたすら「メモ」を取り続けること。

取った「メモ」をスミからスミまで何回も何十回も繰り返し読み、すべて確実に身につけることです。


(3)こま切れの時間を活用して、本をたくさん、ゆっくり時間をかけて読むこと。これはという本は5~6回読み返すこと。

読んでいて「ここは大事」と思ったところには「傍線」を引いておくこと。

印象も考えておくこと。

お気に入りのノートを「書き抜き読書ノート」とし、本を読んで大切と思ったことや心に触れたことを一行でも二行でも書き抜いておくこと。

「書き抜き読書ノート」に書き抜いた内容を、折に触れて何回も何回も読み直し、自分自身のものにすることをお奨めします。

(4)新聞を1日に1時間以上読んで考える習慣を身に付けること。

日本語で読んだ新聞の中でよく内容のわかった記事について、英字新聞でも1日1時間以上読んで考える習慣を一日も早く身につけること。

余程気になる語句以外は辞書で引かないこと。

「ヘラルドトリビューン」か「フィナンシャル・タイムズ」を、日本語の新聞を読んだ後に読むこと。

どうしても大変なら「NIKKEI WEEKLY(ニッケイ・ウィークリー)」を一週間かけて読むことも役に立ちます。

(5)「休みの日」を利用して「ベストプラクティスのベンチマーキング」に出掛けること。

これぞと考えるベストプラクティスを志を、同じくした社内外の仲間と礼を尽くして訪問することを月に1~2回継続して行うこと。

1日1回は心静かに机の前に座り、その日1日をふり返ること。

週に1日は楽しいことをして、ストレスを次の週にためないこと。

学校時代の友達や卒業後知り合った友達に時々会い、友情をあたためること。

人と会ったときは、その人の悪いところは一切見ず、よいところだけを見ること。

自分のよさを伸ばすこと。(欠点は少しずつ直すこと)

《6.勉強においてあなたが心掛けていることは何ですか。》

Q:勉強においてあなたが大切にしていることは何ですか。

A:「一生勉強、一生青春(足利在住の書家相田みつを先生のことば)」、「教育ある人とは勉強し続ける人(ドラッカー先生)」という考えが、「いつまでも若々しく生きる(中村天風先生)」、一生涯よく生き続けるために大切と考えて毎日を過ごしています。

p.s
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2012年10月3日水曜日

「勉強とは何か」を考える(9)

---続き

ドラッカーやコトラー、マイケル・ポーターなど各先生の著作は、本格的に腰を落ち着けて読めば読むほど実効性が高いことがわかります。

消費者保護法、個人情報保護法、会社法や労働法、独占禁止法などをはじめとするビジネス法規の無知は許されません。

製造業では、ISOの取得がなければ取引すらできない場合がありますので、経営者はその骨格を知る必要があります。

株式を公開したり、上場している会社では「内部統制」のしくみが十分整えられる必要があり、経営者としての専門的教養として、内部統制の知識は不可欠です。


Q:「経営者としての専門知識」とは何ですか。

A:まずは、その会社の業務内容を、顧客や地域社会、ビジネスパートナーにわかりやすく説明できるレベルまですべて熟知すること。

経営トップとして、会社の企業ドメイン(事業領域)、競争状況、財務状況、組織上の問題点、各事業別の問題点、人事の問題点を熟知すること。

これから新商品、新技術、新販路、新業態をどう開発するかについてリーダーシップが発揮できるだけの専門知識が経営者としては求められます。
Q:今後、林さんが勉強すべきだと自覚しているテーマは何ですか。

A:第1は、「サービス産業の生産性の向上のために製造業から学べることは何か」です。

日本の製造業と比べ、日本のサービス業の生産性は極めて低いと大きな問題となっています。

「2010年までに日本のサービス産業の生産性を現在の1.5倍にする」と政府の骨太方針にも記された程であります。

人口減少社会の影響を受け続けている学習塾も他のサービス業と同様、生産性が低く、教職員の待遇改善も十分にできない状況が続く学習塾も多いのが現状です。

開倫塾でも早急に生産性向上の取り組みが求められていますので、私の取り組むべき最大のテーマは、サービス産業における生産性の向上を製造業から学ぶことであります。

第2は、開倫ユネスコ協会の設立基本理念であり、来秋国立宇都宮大学国際学部で講義を担当する「人間の安全保障」についての勉強を深めることであります。

第3は、OECD(経済協力開発機構)のIMHE(高等教育管理)プログラムのメンバーにならせて頂いておりますので、OECDのIMHEを中心として大学等の高等教育機関の経営についての勉強を深めることです。

大学コンソーシアムとちぎの研究員としてレポートをすると同時に、開倫塾でスタートしようとしている企業内教職専門職大学院2010年スタートに向けた準備のために、この第3の勉強は私にとり必要不可欠と考えています。

《5.若きビジネスマンに勉強に関して助言されたいことを5つ程リストアップして下さい。》

Q:若いビジネスマンが勉強するとき気をつけた方がよいことは何でしょうか。

A:(1)小学校や中学校、高校、大学、大学院、専門学校、専修学校、学習塾、予備校などで勉強したときに使った教科書や参考書、ノートは、大事な宝物として確実に保存した上で、折に触れて読み直し、社会人としての生活に役立てて下さい。

ありとあらゆる仕事は、学校での勉強の上に成り立っています。   仕事の基礎はすべて、学校の教科書や参考書、ノートの中にあります。   切角、保護者の皆様のお陰で学校での勉強をなさったのですから、学校での勉強を大切に大切にして頂き、その上に仕事上の知識を身に付けて下さい。  

---続く 

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